車のエンジンをつけっぱなしは大丈夫?引き起こすトラブルとその対処法

車のエンジンをつけっぱなしは大丈夫?引き起こすトラブルとその対処法

コンビニやスーパーの駐車場で、エンジンをつけっぱなしで長時間停車している車を目にした方は多いと思います。車のエンジンをつけっぱなしでエアコンをかけ続けていたり、スマホの充電や照明器具、ヘッドライトなども利用していると、様々なトラブルを引き起こしてしまう恐れがあります。

今回の記事では、車エンジンのつけっぱなしによるトラブルについてくわしく解説します。対処法も一緒にまとめていますので、普段からエンジンをかけたまま過ごすことの多い方はご覧になって参考にしていただければ幸いです。

車エンジンつけっぱなしの状態について|必要なシーンを紹介

車のエンジンをつけっぱなしでいる状態は、エンジンをかけて何か車の機能を利用している時が多いです。車内で少し時間潰しをするためにスマホを充電しながら使っていたり、寒くて車のヒーターをかけていたりと、エンジンをかけたままの状態にしておく必要があるからです。

●車のエンジンをつけっぱなしで利用すること

一般的な考え方として、「エンジンをかけていればバッテリーは上がらない」と思っている方は多いと思います。だから、停車中に車の機能を使うときにはエンジンをかけて使うことが普通です。車のエンジンをつけっぱなしにしたアイドリング状態で利用することと言えば、車の持つ機能を利用しているときです。ここでは3つの利用手段を例にあげてみました。

〇エアコンの使用

暑さや寒さを和らげるための手段として、車のエアコンを使うのが最も多いエンジンをつけっぱなしで利用する手段と言えるでしょう。車のエアコンをかければ、車内は快適な温度に保つことができます。

〇スマホなどの充電

シガーライターケーブルの電源を利用して、スマホを充電することも多いのではないでしょうか。最近ではタバコも電子タバコが主流になりつつあり、デバイスの充電に利用することも少なくありません。

〇ルームランプの使用

夜間に車の中で過ごすときや、乗せた荷物を探すときなど手元を明るく照らす照明器具として重宝するルームランプ。車内で本を読んだりするときは、長時間使用することもあります。

これらの利用は、車の電源を利用して使用するものです。多用すればバッテリーにそれだけ負荷をかけてしまい、寿命を縮める原因やバッテリーを上げてしまう要因にもなってしまいます。

●アイドリングと最近のクルマにある機能

最近の車には、「アイドリングストップ機能」が装備されている車が増えてきています。アイドリングストップ機能は、ブレーキを踏んで車を停車させた際に、エンジンが自動でストップする機能のことです。

しかし、この機能は車を停車させていたときには作動せず、そのままエンジンをつけっぱなしの状態を維持します。ハイブリッドカーでは停車中はエンジンがかからず、バッテリーを消耗して一定のラインよりも下回ったときにエンジンが自動で作動して充電する仕組みになっています。ハイブリッドカーでのエアコンは効きが悪い傾向にあるので、使用するときは車内から設定でアイドリングストップ機能を停止させて使用すると改善します。

●エンジンをつけっぱなしは燃料を消費する

エンジンを動かすために燃料を消費するため、エンジンつけっぱなしの状態を続けるとその分燃料を消費します。エンジンの回転数を表示しているタコメーターが付いている車なら、停車中でもエンジンの回転数がわかるので明確です。車のエアコンや電気を使っていなくても、それだけの回転数を維持し続けるための燃料が消費されていることになります。

エンジンをつけっぱなしでエアコンを使うとどうなる

エアコンを使うと、コンプレッサーが作動して外から取り入れた空気が冷やされて車内に出てきます。車の電装品の中でエアコンが一番燃費に影響するものです。コンプレッサーはエンジンを動力源として動くため、エンジンには負荷がかかり、その分燃料を消費します。エンジンをつけっぱなしの状態で使用すると、その分燃費も悪くなります。

車のエンジンをつけっぱなしにして起こる4つのトラブル

車のエンジンをつけっぱなしにして起こる4つのトラブル

車にとってエンジンのつけっぱなしを長時間続けることは、トラブルを発生させる原因となります。ここでは車エンジンのつけっぱなしで起こりうるトラブルを4つご紹介します。

●トラブル1「バッテリー上がりや寿命を縮める恐れがある」

エンジンをかけていれば、逐次充電されているためバッテリーは上がらないと考えるのは早計です。車のエンジンによって発電できる量を超える電気を車内で使用していると、バッテリーは上がってしまうからです。

・ライトを点灯させたままにしている

・カーエアコンを使っている

・車で音楽をかけている

・ルームランプをつけっぱなしの状態にしている

これらが複数重なると、その分バッテリーは消耗してしまいます。また、バッテリーは暑さや寒さに弱い性質を持っています。真冬の寒さの中で電力消費が多いと、弱っているバッテリーにそれだけ負担をかけてしまうため危険です。

●トラブル2「燃料を消費するためガス欠の恐れがある」

エンジンのつけっぱなしは燃料を消費してしまいます。仮に一晩つけっぱなしにしたまま車内で寝ていた場合、朝起きると想像以上に燃料を消費していることでしょう。10分間のアイドリング状態を続けることで、約130mlのガソリンを消費すると言われています。

これが一晩を8時間とすると、6240ml(6.2L)も消費してしまう計算になります。燃料が乏しいことにきづかないでいたときは、ガス欠になる可能性があるので注意しましょう。

●トラブル3「道路交通法違反になる恐れがある」

エンジンをつけっぱなしにした状態で、トイレに行ったり、コンビニで買い物しに行くこともあるかもしれません。実は、この行為は道路交通法違反になる恐れがあります。

道路交通法 第七十一条 五項にあてはまる可能性があるのです。

「車両を離れるときは、その原動機を停め、完全にブレーキをかけるなど当該車両が停止の状態を保つために必要な処置を講ずること 自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が無断で運転されないようにするために必要な処置を講ずること」

とあります。エンジンをつけっぱなしで車から少しでも離れることは、時間関係なく違反の対象になるので注意が必要です。

参考:道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)

●トラブル4「排気ガスによる環境汚染や騒音被害」

排気ガスは大気汚染を引き起こす環境汚染の対象となっています。自動車の排気ガスは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの1つ、CO2が多く含まれていることから、将来のことを考えるとエンジンのつけっぱなしはおすすめできません。

また、少なからずエンジンをかけていればエンジン音はします。オートキャンプ場などの施設での車中泊など、静まり返った夜間にエンジン音は響くため、周囲の迷惑になることもあります。

車エンジンのつけっぱなしとバッテリーの関係性

車のバッテリーは、発電された電気を蓄えて車を動かすために必要な電気をエンジンや各電装品に供給する役割を持っています。オルタネータと呼ばれる発電機はエンジンと繋がっていて、エンジンと一緒に回転することにより電力を充電します。

前述した内容では、エンジンをかけたままでもバッテリーが上がってしまう可能性があるとしました。ここではバッテリーとの関係性を具体的に解説し、原因について深堀していきます。

●アイドリング状態でのバッテリーの状態

オルタネーターはアイドリング中でもエンジンが始動しているため発電します。しかし、回転数は走行中よりも低いため、充電できる容量は少なくなります。アイドリング中の発電量は、一定速度の走行中に比べて約40%と言われており、アイドリング中に電力を多く消費することは避けた方が良いでしょう。注意点をまとめると、

・発電量より消費量が上回る状態が長く続けば、バッテリーは上がってしまう

・車内での待機時間や渋滞走行中は、大量の電力消費は避けた方が良い

・チョイ乗りなどの1回の走行距離が短いと、充電不足状態になる可能性がある

ことです。一般の車には発電量を教えてくれる計測器はついていません。気づかないうちにバッテリーを消耗してしまっていることに気づかないことが多々あるので注意が必要です。

●クルマの消費電力ってどれくらい?

車で何気に使っている書く電装品の数々が、いったいどれくらいの電力消費量なのか。記事の内容を読まれたら気になる方もいらっしゃるかと思います。車を使用するときに使う機能にかかる電気負荷を表にまとめました。

エンジン始動

90~190A

電動スライドドア

8~10A

ヘッドライト

6~18A

カーステレオ

2~6A

ルームランプ

1A

ドライブレコーダー

10~20mA

この表から見ると、エンジンをかけるときが一番電気負荷がかかることがわかります。よくルームランプやヘッドライトは問題なく点灯するにも関わらず、エンジンがかからないことがあります。これは、エンジン始動時の電気負荷が高いせいです。

●負荷をかけすぎるとバッテリーが上がってしまう

個々の電力負荷が小さくても、複数使用していればそれだけ負荷量は加算されていきます。加算された総量が負荷となってバッテリーを弱らせてしまう原因となるのです。末期状態では走行中でもヘッドライトや電装品が暗くなったり、突然パワステが効かなくなったりします。最悪はエンジンが停止してしまうことにもなりかねません。ほかに考えられるケースでは以下の3つが考えられます。

・バッテリーを2年以上使用していて寿命が尽きかけている

・オルタネーターが古くなっていて十分な発電ができなくなっている

・発電量よりも消費量が多く、バッテリーの蓄電量から供給されている

このような状態のときは、電気不足の傾向が出てきます。バッテリーの定期的な点検と交換は、症状が出てくる前に行うことがベストです。

●とくに夏と冬はバッテリー上がりの危険性が上がる

夏と冬は、車を運転中やアイドリング中でも常にエアコンをつけている状態のときが多いです。また、バッテリーも暑さや寒さに弱いので、バッテリーへの負荷はかなり大きいでしょう。

・夏場は冷房を過大にかけてしまいがちになる

・冬場はバッテリー液の温度が下がって十分な発電能力を得られない

真夏の渋滞時はエアコンの効きが悪いと感じることがあるのではないでしょうか。エンジンの回転数が上がらない状態が長く続くことや、ブレーキランプを常に付けている状態が続くことが理由として考えられます。バッテリーへの負荷がかかっているので、暑いのをちょっと我慢してエアコンの風量を抑えるなどの対策をしてバッテリー上がりを防ぎましょう。

車内で一定時間過ごすときのトラブルを防ぐ4つの対策法

車内で一定時間過ごすときのトラブルを防ぐ4つの対策法

車内でエンジンをつけっぱなしにして一定時間過ごすときの、様々なトラブルを防ぐ方法をご紹介します。エンジンのつけっぱなしはここ最近のガソリン価格を考えると燃料費もかかるのでおすすめしません。しかし、必要なときもありますよね。前述しているトラブルを防ぐ方法を知っておくのも大切です。

①定期的に車を動かしてバッテリーを充電させる

定期的に車を動かすことで、エンジンの回転数を上げて十分な充電量を確保する方法です。

「充電量<電力消費量」

となる時間を短縮し、バッテリー上がりを防ぐことができます。アイドリング中はバッテリーに蓄えられる電力が少ないです。走行することで充電量をアップさせて、バッテリーへの負担を軽減させましょう。

②騒音被害の影響の少ない場所や迷惑のかからない場所を選ぶ

住宅の多い地域のコンビニの駐車場には、

「停車するときはエンジンを切るようお願いいたします」

という看板が掲示されているお店を見たことはありませんか?そういった場所でエンジンをつけっぱなしで長時間滞在すると、近隣住民の迷惑となりトラブルに発展してしまう可能性があります。周囲に住宅がない場所であったり、人気の少ない場所を選ぶのもトラブルを避ける方法です。

③エンジンをつけっぱなしにする必要のない環境を整える

エンジンをつけっぱなしにする必要をなくすことでも、トラブルを回避できます。その方法は、車内にエンジンをかけた状態でしか使用できないものを揃えることです。車内環境を整えることで、エンジンをつけっぱなしにする必要がなくなります。その装備品と共にくわしく解説します。

〇ポータブル電源を装備する

車内で一定時間過ごすときのトラブルを防ぐ4つの対策法

ポータブル電源は、事前に大容量の電力を貯めておき、電源のない場所でもAC出力ポートとUSB、DC出力ポートから様々な家電や電子機器に給電できるコンパクトで持ち運び便利なアイテムです。充電方法は、ACコンセントだけではなく、車の走行充電とソーラーパネルによる太陽光発電でポータブル電源に充電できます。車中泊や日常、車にポータブル電源を用意しておけば、エンジンをかけなくても電気を自由に使えます。使い道は、

・スマホやタブレット、電子タバコも充電できる

・扇風機や暖房器具が車内で使えるようになる

・照明器具も充電でき、利用できる

など、車内で使う電気製品全てに電力供給ができるので、エンジンをかけて燃料を消費する必要もなくなります。

Jackery ポータブル電源 2000 Plus

容量:2042Wh(最大12Kwhまで)
定格出力:3000W

Jackery ポータブル電源 1000 Plus

容量:1264Wh(最大5Kwhまで)
定格出力:2000W

Jackery ポータブル電源 300Plus

容量:288Wh
定格出力:300W

Jackery Explorer 100 Plus

容量:99Wh
定格出力:128W

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Jackery ポータブル電源 3000 Pro

容量:2160Wh
定格出力:2200W

Jackery ポータブル電源 1000 Pro

容量:1002Wh
定格出力:1000W

Jackery ポータブル電源 2000 Pro

容量:2160Wh
定格出力:2200W

Jackery ポータブル電源 1500 Pro

容量:1512Wh
定格出力:1800W

Jackery ポータブル電源 1500

容量:1,534.68Wh
定格出力:1800W

Jackery ポータブル電源 1000

容量:1002Wh
定格出力:1000W

Jackery ポータブル電源 708

容量:708W
定格出力:500W

Jackery ポータブル電源 400

容量:400Wh
定格出力:200W

Jackery ポータブル電源 240

容量:241.9Wh
定格出力:200W

〇照明器具を装備する

充電式の照明器具であれば、長時間ルームランプよりも明るい光を利用できるようになります。車内で本を読んだり、調べものをするときなどルームランプでは少し暗さを感じることも。

小型の照明器具の中にはクリップ式もあるので、サンバイザーやアシストグリップに挟んで使えて便利です。

〇寒さ対策や暑さ対策を装備する

暑さや寒さを和らげるために車のヒーターやエアコンを利用する方は多いかと思います。それに代わる装備としては、

・扇風機や充電式の冷風機を装備する

・充電式ヒーターを装備する

ことで解消できます。電熱ブランケットなどはモバイルバッテリーで動くものもあります。ポータブル電源と併用すれば、長時間車内でエンジンをかけずに過ごすことも可能です。車中泊などをする際に最適ですね。

④もしものときにジャンプスターターキットを装備する

最悪のケースを考えて、バッテリーが上がってしまった時の装備も車に乗せておくと、もしものときの対策は万全です。バッテリー上がりを回復させるジャンプスターターがあれば、ロードサービスを呼ぶ必要はありません。

ブースターケーブルでも構いませんが、ほかに車が1台必要になるので、見知らぬ人に声をかけて車を繋げてもらわないといけません。人見知りする方だと抵抗を感じるかもしれないので、自分で何とかできる方法としてはジャンプスターターが一番です。ジャンプスターターでエンジンがかかったとしても、近日中にバッテリーは整備士さんに診てもらうことをおすすめします。

まとめ:定期的なバッテリー点検をしてトラブルを回避しよう

今回の記事では、車のエンジンのつけっぱなしによるトラブルとなる原因についてくわしく解説しました。エンジンのつけっぱなしの状態から引き起こすトラブルとともに、対処法も一緒にまとめています。参考になれば幸いです。

バッテリーは上げてしまうと、かなり消耗し寿命を縮めてしまいます。普段の運転中ではバッテリーの状態を知ることは難しいので、定期的な点検を行い寿命が尽きる前に交換することをおすすめします。