地熱発電の仕組みとは
地下1,000m〜3,000m付近にある地熱貯留層に溜まった高温の熱水から、蒸気を取り出し、タービンを回して発電する方法が地熱発電です。蒸気を取り出すには、地上から井戸を掘り、地熱貯留層の蒸気や熱水を噴出させます。
出典:中部電力
地下深くの熱水や蒸気を噴出させる井戸の深さは、地熱貯留層の分布によって左右されます。日本において最も深い井戸の深さは、森発電所の3,250mです。
地熱発電の3つの種類
地熱貯留層にある200〜300℃を超える蒸気で直接タービンを回して発電する方法には、以下の3つの種類があります。それぞれの熱水の取り扱い方が異なるのが特徴です。
シングルフラッシュ方式
地下で蒸気と熱水が混合した地熱流体から、気水分離器を使い、1回だけ蒸気を取り出す方法が、シングルフラッシュ方式です。日本にあるほとんど全ての地熱発電所でシングルフラッシュ方式が採用されています。
ダブルフラッシュ方式
地下から蒸気(1次蒸気)と共に噴出された熱水は、フラッシャーへと送られ、減圧膨張させて蒸気(2次蒸気)を発生させます。残った熱水は、再度地中深くへと戻っていきます。
この1次蒸気と2次蒸気を動力源にして、地熱発電を行う方法がダブルフラッシュ方式です。地熱流体が高温高圧の場合にのみ採用されます。シングルフラッシュ発電よりも発電量が10〜25%多いです。
ドライスチーム方式
地下から取り出された地熱流体に、熱水をほとんど含まず、湿分除去のみでタービンを回す方法が、ドライスチーム方式です。熱水を含まないので、気水分離器は使われません。
最もシンプルな発電方法であるドライスチーム方式は、日本では松川発電所のみで採用されています。
地熱発電の5つのメリット
世界第3位の資源量を誇る日本は、地熱発電で国民の生活がさらに豊かになる可能性を秘めています。地熱発電の主なメリットは、以下の5点です。
二酸化炭素をほとんど排出しない
地熱発電の最大のメリットは、二酸化炭素をほとんど排出しない点です。二酸化炭素が増えることによって、地球の気温は上昇し、生態系や気候に影響を与えます。それによって、食糧不足や健康被害など、人間の生活を脅かす危険があります。
発電所の建設から稼働までに発生する二酸化炭素の排出量を示した「ライフサイクルCO2排出量」では、太陽光発電や風力発電、原子力発電などの主要な再生可能エネルギーと比較しても、地熱発電で発生する二酸化炭素量は少ないです。
■1kWhあたりのライフサイクルCO2排出量
発電方法 |
CO2排出量 [g・CO2/kWh] |
太陽光発電 |
38 |
風力発電 |
26 |
原子力発電 |
19 |
地熱発電 |
13 |
エネルギー源が枯渇しない
地熱発電は、地球の内部に眠るマグマの熱を使用するため、エネルギー源が枯渇する心配がいりません。また、日本は環太平洋火山帯に位置しているため、世界第3位の資源量を誇り、エネルギー源を利用しやすい国と言えるでしょう。
季節・天候・昼夜による影響を受けにくい
地熱発電は地下の熱源を利用しているので、地上の季節や天候、昼夜の影響を受けません。太陽光発電では、曇りや雨、夜などの太陽が隠れてしまうタイミングでは発電量が大幅に減ります。風力発電の発電量は、風の状況に依存します。
他の発電方法と比較しても、地熱発電は地上の影響を受けずに、安定的な発電が可能です。
蒸気・熱水を再利用できる
地熱発電によって使用された蒸気や熱水は、農業ハウスや養殖、暖房などに再利用が可能です。実際に蒸気や熱水が再利用されている例を紹介します。
実施機関 |
再利用例 |
秋田県湯沢市 |
・温泉井戸から噴出した熱水を、三つ葉やパクチーの栽培する農業ハウスに提供している ・牛乳の低温殺菌に熱水が使われる ・農作物の乾燥施設で熱水が活用される |
北海道壮瞥町幸内地区 |
地熱を利用した温室でトマトを栽培している |
国内で供給できる
地熱発電は、国内で供給できる再生可能エネルギーです。日本におけるエネルギー自給率は、世界的に見て低い順位にあります。エネルギー自給率が低い原因は、エネルギー資源が乏しいからです。
日本で利用しているエネルギーのほとんどは、海外から輸入した石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料に依存しています。東日本大震災が発生してからは、化石燃料への依存度がさらに高まっています。
海外にエネルギー資源を依存していると、国際情勢の影響を受けやすいです。そのため、エネルギー供給が安定的に行えず、日本の経済にも影響を及ぼします。その一方で、地熱発電によるエネルギーは国内での供給が可能なので、他国の影響を受けません。
地熱発電の3つのデメリット
日本は世界有数の資源量を誇るにも関わらず、地熱発電が広まっていないのには理由があります。地熱発電の主なデメリットは、以下の通りです。
発電量が安定しない
地上の影響を受けない地熱発電ですが、注意深い計画に基づいて運用を進めなければ発電量は減少してしまいます。発電量が減少する理由は以下の通りです。
・熱水に溶け込む鉱物による水垢が、配管やタービンに付着するため
・大量の蒸気や熱水を取り出すと、枯渇する恐れがあるため
配管の内径やタービンに水垢が付着すると、蒸気の動きが妨げられてしまいます。また、蒸気や熱水の元になっているのは、地中に染み込んだ雨水です。大量の蒸気や熱水を取り出すと、地中に染み込んだ雨量を超えてしまう場合があります。
開発コストが高い
地熱発電は、他の再生可能エネルギーと比較しても開発コストが高いです。地熱発電所を建設するためには、以下のような工程に多くの時間を要します。
・土地が地熱発電に向いているかの地質調査を行う
・地下深くから蒸気と熱水を取り出すための掘削作業を行う
・土地に合わせた規模と発電方式の発電設備を設置する
出典:資源エネルギー庁
また、地熱発電には多額の建設費がかかります。風力発電や太陽光発電と比較すると、地熱発電の建設費は2倍〜4倍です。それぞれの発電方法にかかる建設費を紹介します。
発電方法 |
建設費(出力規模:3万キロワット) |
地熱発電 |
237億円 |
風力発電 |
104億円 |
太陽光発電 |
5,200万円 |
近隣住民の理解が必要になる
地熱発電は事例こそないものの、温泉が枯渇する恐れがあると言われています。また、地下深くまでの掘削作業によって、騒音や振動が発生しかねません。
そのため、地熱発電を開発するためには、地域の住民と密にコミュニケーションを取り、理解を得る必要があります。地域住民と協力し合うことで、地熱発電の実現に向けた障壁が取り除かれていくでしょう。
地熱発電の普及が難しい4つのリスク
日本では、1966年に初めて地熱発電所が開設されました。早い段階から地熱発電に取り組んでいたにも関わらず、開発は停滞しています。地熱発電の普及が難しいとされるリスクは、以下の通りです。
掘削に失敗する
有望地点とされている場所に井戸を掘削したとしても、十分な熱水量や蒸気量が得られない可能性があります。掘削の成功率は約 70%です。井戸1本あたり数億円から十数億円の費用がかかるため、1本失敗しただけでも経済的に大きな負担になります。
大規模の地熱発電所を建設する場合、生産井と還元井が複数必要になり、運用後も発電量低下のリスクから追加井が必要です。地下構造は場所によって異なるので、実際に掘ってみないと実際の蒸気量や熱水量は予測できません。
景観を損ねる
地熱発電の熱源となる場所は、国公立公園や温泉地帯に多く存在します。そのため、地熱発電所を建設することで、観光地の景観を損ねる恐れがあるのです。
また、国公立公園への建設は法律によって制限されているため、より困難を極めます。自然保護区域に人の手が及ぶことで自然破壊に繋がる恐れもあるでしょう。
地熱発電所の建設を円滑に進めるためには、地域住民との協力が必要不可欠です。しかし、景観を損ねるリスクを説明して納得が得られない可能性もあります。
地盤沈下や地すべりを起こす
地熱発電所の周囲では、地下水を汲み上げる際に地盤沈下や地すべりを起こす恐れがあります。実際に、東北の発電所では過去に2例、地盤沈下や地すべりが起きました。
地盤沈下が起きると元に戻ることはありません。一度地盤沈下すると進行が早く、周囲の住宅にまで影響が及ぶ危険があります。地すべりや地盤沈下によって傾斜が変わると、頭痛や食欲不振、睡眠障害を発症する可能性があるのです。
地震によって発電量が変動する
地震が起きて地盤変動が起きると、地下水の流れが変わるため、発電量に大きく影響する恐れがあります。日本は世界的に見ても地震大国なので、安定した電力供給が求められる地熱発電にとっては大きなリスクと言えるでしょう。
また、地震によって地熱発電に悪影響を与えるだけでなく、地熱発電自体が地震を誘発する可能性も危惧されています。2017年に韓国でマグニチュード5.4の地震が起き、地熱発電が原因であったと発表されました。地熱発電で地下の熱水の圧力が変化することで、地震を誘発すると考えられています。
手軽に導入できる再生可能エネルギー「太陽光」
日本国内の地熱発電設備は、今後増加していく見込みですが、実用化されるまでには長い年月がかかるでしょう。そこで、今すぐ家庭で導入できる再生可能エネルギーとして太陽光発電が挙げられます。
太陽光発電の魅力
太陽光発電では、太陽からの光エネルギーを電力に変換します。太陽光発電の一番の魅力は家庭への導入のしやすさです。屋根や庭などに太陽光パネルを設置することで、手軽に電気を作り出せます。
太陽光発電で作り出した電気は、勿論無料です。据え置きタイプの太陽光発電機器で発電し、家庭内での使用量よりも発電量が上回った場合は、電力会社に電気を売ることもできます。
おすすめの太陽光発電機器「Jackery Solar Generator」
家庭で使用するソーラー発電機は、ポータブル電源とソーラーパネルを組み合わせる方法がおすすめです。持ち運びできるソーラーパネルで発電した電気をポータブル電源に溜めておくことで、いつでもどこでも電気を使用できます。
ポータブル電源とソーラーパネルを組み合わせるメリットは、以下の通りです。
・庭やベランダに置くソーラーパネルを日の当たる角度に微調整できる
・多彩なポートから家庭内の複数の家電に同時給電できる
・災害で電気の供給が止まっても、避難所や自宅で電気を発電できる
・キャンプや車中泊などのアウトドアで、家電を使って快適に過ごせる
・コンセントがない環境でも、PCの充電を気にせず仕事ができる
個人での使用におすすめなのが、Jackery製のポータブル電源とソーラーパネルのセットである「Jackery Solar Generator」です。Jackery製のポータブル電源は、創業から11年間で世界販売台数300万台を突破した実績を誇り、少ない自然放電や高い安全性を備えています。Jackeryのおすすめの機種は、以下の通りです。
Jackery Solar Generator 1000 Plus
1264Whの大容量かつ2000Wの定格出力を備えた「Jackery ポータブル電源 1000 Plus」と「Jackery SolarSaga 100W ソーラーパネル」により、太陽光発電した電気を、自宅にあるほとんど全ての家電に給電できます。
■商品の特徴
・家庭や外出先で計8台の家電に同時に給電できる
・ソーラーパネルはIBCセル技術の採用により、業界トップクラスの変換効率で最短2時間でフル充電できる
・リン酸鉄リチウムイオン電池を採用しているため、毎日の生活で使用したとしても10年以上使用し続けられる
・国際的な認証機関「TÜV SÜD」から二酸化炭素排出量の検証認定を受けているので、環境にも優しい
・合計62個の保護システムと12重のBMS保護システムを搭載し、衝撃が加わりやすいアウトドアでも安心して使用できる
Jackery Solar Generator 2000 Plus
2042Whの大容量と定格出力3000Wを備えた「Jackery ポータブル電源 2000 Plus」と「Jackery SolarSaga 200W ソーラーパネル」により、太陽光発電した電気を、自宅にあるほとんど全ての家電に同時に複数台給電できます。
■商品の特徴
・使用人数が多くても、合計10ポートから全員に対して電気を給電できる
・24kWhまで拡張できるので、長期旅行や連泊キャンプでも大活躍する
・365日経過で自然放電は10%程度なので、災害時にすぐに使用できる
・ソーラーパネルは業界最高レベルの最大25%の変換効率を実現している
・約30dB以下の静音設計により、生活の邪魔にならない
・キャスターやハンドル付きなので、外出時も持ち運びやすい
まとめ|地熱発電には実用化が難しい理由がある
地熱発電は、地下1,000m〜3,000m付近の熱水から蒸気を取り出し、その蒸気によってタービンを回して発電する方法です。地上の天候や時間帯の影響を受けなかったり、輸入に頼る必要がなかったりと多くのメリットがあります。
しかし、日本は世界第3位の地熱発電の資源量を誇るにも関わらず、開発コストの高さや発電量の不安定さなど、実用化に至るまでには多くの課題があります。
すぐにでも再生可能エネルギーを家庭に取り入れて、環境にも家計にも優しく電気を使いたいという方は、ポータブル電源とソーラーパネルを用いて、太陽光発電をぜひ取り入れてみてください。