1.Whとは電力量のこと
Whは「電力量」を表す単位です。また、蓄電池などの「容量」を示す単位としても使われています。
とはいえ、これだけでは何のことか分からないでしょう。まずはこのWhと、日常生活でよく目にする似た単位との違いを詳しく解説します。
●WhとWの違い
WhとW(ワット)は、時間の概念が含まれるかどうかが大きな違いです。Wは1秒あたりの電力を表す単位で、例えば100Wは「1秒間に100ジュールのエネルギーを消費する」という意味。一方、Whは電力量を表し、「その電力を1時間維持した場合の総エネルギー量」を指します。
家電に例えると、100Wの電球を1時間点灯させた場合の消費電力量が100Whです。同じ100Wの電球でも、2時間使用すれば200Wh、30分使用すれば50Whと、使用時間によって電力量は変化します。Wは瞬間的な電力、Whは使用した電気の総量と覚えておくとわかりやすいでしょう。
なお、あなたが普段支払っている電気料金の計算にも、この電力量(Wh)が基準として使用されています。
●WhとAhの違い
Ah(アンペアアワー)は電流と時間の積で、バッテリーがどれだけの電流を流せるかを示す単位です。Whと同じく、バッテリー容量を表す単位としても使われています。しかし、同じバッテリー容量を表す単位でも、その算出方法は以下のとおり異なります。
・Wh:電圧(V)×電流(A)×時間(h)
・Ah:電流(A)×時間(h)
AhはWhから電圧の要素を除いた値です。異なる電圧のバッテリーを比較する場合、Ahだけでは正確な容量比較ができません。たとえば、5V・2,000mAhのモバイルバッテリーと、3.7V・2,000mAhのスマートフォンバッテリーでは、実際の容量(Wh)が異なります。バッテリーの本当の容量を比べる場合は、Whで統一して考える必要があるでしょう。
●WhとkWhの違い
WhとkWh(キロワットアワー)はどちらも電力量や容量の単位で、1kWhは1,000Whを表します。つまり、1kWhは1Whの1,000倍です。
ポータブル電源などの可搬型バッテリー容量は「Wh」での表示が一般的ですが、太陽光発電システムや家庭用蓄電池など大容量の据付型製品では「kWh」の表示が使われる傾向があります。
なお、一般家庭の電力消費量は大きいため、電気料金の請求書などでも通常「kWh」の単位が使われています。
●whとmAhの違い
mAh(ミリアンペアアワー)は、Ahの1,000分の1を表す単位です。主にスマートフォンやタブレットなど、小型機器のバッテリー容量を示すのに使用されます。AhとmAhの換算式は以下のとおりです。
・1Ah=1,000mAh
・2Ah=2,000mAh
・0.5Ah=500mAh
mAhをWhに変換するには「電圧」の要素が必要になってくるため、単純な換算はできません。たとえば、4,000mAhのスマートフォンバッテリーは、電圧が3.7Vの場合【4,000mAh×3.7V÷1,000=14.8Wh】で約14.8Whとなります。
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2.さまざまな単位からWhを求める方法
電力量や容量の基本単位である「Wh」を求める方法を、具体例を交えつつ改めて確認しましょう。
●V(電圧)とA(電流)・使用時間からWhを求める方法
Whを電圧・電流・使用時間をもとに求める基本的な計算式は「V(電圧)×A(電流)×h(時間)」です。たとえば、5Vで2Aの電流を3時間流し続けた場合は以下のように計算します。
・5V×2A×3h=30Wh
なお、この計算方法は、USB機器の消費電力量を見積もる際によく用いられます。スマートフォンの充電では、5V・2A程度の出力が一般的なため、1時間の充電で消費する電力量は約10Whです。
●W(消費電力)と使用時間からWhを求める方法
すでに消費電力(W)が分かっている場合は、「W×h(時間)」で簡単にWhを求められます。たとえば、150Wのテレビを2時間視聴した場合のWhは以下のとおりです。
・150W×2h=300Wh
一般的な家電製品は消費電力(W)が表示されているため、この計算方法がもっとも実用的でしょう。
●mAhからWhに変換する方法
スマートフォンなどのバッテリー容量は、一般的にmAhで表示されます。これをWhに換算する場合は「mAh×V(電圧)÷1,000」の計算式を使います。たとえば、3.7Vで5,000mAhのバッテリーの場合の計算式は以下の通りです。
・5,000mAh×3.7V÷1,000=18.5Wh
ちなみに、モバイルバッテリーをはじめとする多くのリチウムイオンバッテリーは3.7V程度の電圧を使用しているため、この換算式を覚えておくと便利です。
●【おまけ】kWhをWhに戻す方法
kWhからWhに戻すには、単純に「kWhに1,000を掛けるだけ」でOKです。具体例を見てみましょう。
・0.5kWh=500Wh
・2kWh=2,000Wh
・4.8kWh=4,800Wh
家庭用蓄電池やポータブル電源のカタログを見るとき、kWhとWhが混在していることがあります。このような場合、Whに統一して比べるとわかりやすいでしょう。
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3.Whを求めれば電気代が算出できる!

電力量を示すWhを知ることで電気代の計算が可能になります。「全国家庭電気製品公正取引協議会」が定める現在の電力目安単価(1kWh=31円)を使って、身近な家電ごとの具体的な電気代をシミュレーションしてみましょう。
・計算式:電気代=電力量(Wh)÷1,000×31円
【例①液晶テレビ(消費電力:100W)を3時間使用した場合】
・100W×3h=300Wh
・300Wh÷1,000×31円=9.3円
【例②冷蔵庫(消費電力:150W)を24時間使用した場合】
・150W×24h=3,600Wh
・3,600Wh÷1,000×31円=111.6円
【例③エアコン(900W)を5時間使用した場合】
・900W×5H=4,500Wh
・4,500Wh÷1,000×31円=139.5円
このように計算すれば、各家電がどれくらいの電気代を消費しているのかの目安が分かります(※ただし、家電のカタログなどに記載された消費電力は最大値のため、使用状況により実際の消費電力および電気代は変動します)。使用頻度が高い家電の電気代を意識しておけば、節約意識が高まり電気代を安く抑えられるかもしれません。
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4.Whはバッテリーの容量単位にも採用されている
Whはバッテリーの容量を示す単位としても広く使用されています。ここでは、容量の単位にWhを使用することが多い「家庭用蓄電池」と「ポータブル電源」を紹介します。
●家庭用蓄電池
家庭用蓄電池は、主に屋外に設置する据付型の蓄電池のこと。容量が大きいため、一般的に「kWh」の単位で容量が表示されています。
家庭用蓄電池は、屋根の上に設置する太陽光発電システムとセットで設置されることが多いです。電気代の節約に一役買い、停電対策にも効果が期待できる一方で、導入費用の高さがネックとなっています。
●ポータブル電源
ポータブル電源は、コンセントのない場所でも電源を確保できる持ち運び可能な蓄電池です。容量は主に「Wh」の単位で表示され、100Wh程度の小型タイプから2,000Whを超える大容量タイプまで、用途に応じて幅広く選べます。
1式で100万円以上する家庭用蓄電池と比べて、数万円~数十万円程度の手頃な価格で導入できるのがポータブル電源の特徴。価格が安いとはいえ性能面では劣らず、しっかりと停電時の備えとして活躍します。
さらに持ち運びが可能なため、キャンプや車中泊、屋外イベントなど使用シーンを選ばない便利な電源です。最近では、家庭用蓄電池の代わりにポータブル電源を採用する家庭も増えてきています。
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5.Whの値が大きいほどバッテリーの容量は多い
バッテリーの容量を表すWhは、数値が大きいほど蓄えられる電気量が多くなります。実際の使用時間を計算する方法と、容量別の使用例を見ていきましょう。
●バッテリーの使用可能時間は「バッテリーのWh÷電化製品のW」で計算できる
バッテリーで電化製品を何時間使えるかは、以下のシンプルな計算式で求められます。
・使用可能時間(h)=バッテリー容量(Wh)÷電化製品の消費電力(W)
たとえば、1,000Whのポータブル電源で60Wの電気毛布を使用する場合は【1,000Wh÷60W = 16.6時間】が使用可能時間です。ただし、あくまでこれは理論値で、実際の使用可能時間は変換ロスにより「計算結果の80%程度」となります。「思ったより容量が足りなかった……」と後悔しないためには、計算結果に0.8をかけて、より正確な使用可能時間を算出しましょう。
●どのくらい使える?2,000Whクラスポータブル電源の家電使用可能時間シミュレーション
Jackery ポータブル電源 2000 New(2,042Wh)を例に、一般的な電化製品の使用可能時間をシミュレーションしてみましょう。なお、使用時間は電力の変換ロスを考慮し、計算結果に0.8をかけて算出しています。
・LED照明(10W):約163時間
・32型液晶テレビ(60W):約27時間
・扇風機(30W):約54時間
・スマートフォン充電(15W):約109時間
・小型冷蔵庫(90W):約18時間
・電気ケトル(800W):約2時間
・電気毛布(75W):約21時間
・ノートパソコン(65W):約25時間
これだけの大容量バッテリーがあれば、キャンプや車中泊でケトルや電気毛布など複数の家電を同時に動かしたり、停電時に冷蔵庫などの大型家電を長時間稼働させたりすることも可能です。太陽光パネルを併用すれば、さらに長時間の使用が実現できます。使いたい家電の消費電力をチェックして、用途に合った容量のバッテリーを探してみましょう。
6.Wh(容量)が多くて防災やアウトドアで大活躍!Jackeryポータブル電源を紹介
当社Jackery(ジャクリ)のポータブル電源は、100Whクラスから3,000Whクラス、さらには拡張バッテリーで24KWhまで容量増強できるモデルまで豊富なラインナップをご用意。使用者のニーズに合った商品展開により、13年間で500万台以上ものポータブル電源が全世界で使われています。
また、最新の「リン酸鉄リチウムイオン電池」を採用することで、10年以上の長寿命を実現しました。震度7以上の地震にも耐えられる堅牢な設計、かつ他社の同クラス製品と比較し、20~25%程度軽量・コンパクトな持ち運びの手軽さもポイント。どこにでも気軽に持ち運んで、しかも長く安全に使えるポータブル電源です。
さらに、ソーラーパネルがセットになったお得なラインナップもご用意しています。太陽光発電システムと家庭用蓄電池を価格面が理由で諦めている方は、ポータブル電源とソーラーパネルのセット「Jackery Solar Generator」シリーズから、予算にあったモデルを探してみてはいかがでしょうか。
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7.Whとは?に関連するよくある質問
「Wh」の単位に関連するよくある質問と、その回答をまとめました。
●サイズに用いられる「Wh」って何?
家具やインテリアのサイズ表記でよく見かける「Wh」は、Width(幅)とHeight(高さ)の略語を組み合わせたものです。たとえば「W60×H120」という表記は「幅60cm×高さ120cm」を意味します。つまり、電力量のWh(ワットアワー)とは関係がありません。ちなみに、奥行きも含めたサイズ表記には「WDH(Width:幅/Depth:奥行き/Height:高さ)」が使われます。
●政治でも「WH」という略語が使われるけど電力量の「Wh」とは関係ある?
政治の文脈で使用される「WH」はアメリカの大統領官邸「White House(ホワイトハウス)」の略語で、電力量を表す「Wh」とは全く関係ありません。ニュースなどで「WH高官が発表」といった表現を見かけますが、これはホワイトハウスの関係者による発表であることを意味しています。
電力量の単位「Wh」は必ず小文字の「h」を使用するため、大文字の「WH」とは区別できます。
まとめ
Wh(ワットアワー)は電力量を表す単位のこと。電気料金の計算やバッテリー容量などに用いられており、私たちの生活にも密接にかかわっています。
近年はポータブル電源や家庭用蓄電池の普及が進み、容量の単位「Wh」の単位が製品選びにおける重要な指標となっています。容量が大きいほどWhの値も大きくなりますが、一方で価格も高くなりがちです。使う家電の消費電力(W)と使用時間を計算し、ムダのない製品を選ぶのがコスパをよくするポイントとなります。
当社Jackery(ジャクリ)では、容量100Wh~3,000Wh程度のポータブル電源を豊富にラインナップしています。用途にフィットするモデルを選んでお得に使いましょう。
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