リチウムイオン電池を徹底解説!仕組みや特徴、他の電池との違いについて
日々の生活や社会に欠かせないリチウムイオン電池は、他の電池と異なる特徴があります。電池が持つ性能を活かし安全に使うためには、特徴をよく理解することがおすすめです。またリチウムイオン電池の種類は、複数あることも注目したいポイントです。それぞれの電池には、どのような違いがあるのでしょうか?
この記事でリチウムイオン電池の特徴と種類、他の電池との違いを確認していきましょう。またおすすめのポータブル電源についても紹介しますので、ぜひご覧ください。
リチウムイオン電池とはどんな電池?
リチウムイオン電池は、どのような電池なのでしょうか。主な4つの項目を確認していきましょう。
●リチウムイオンの行き来で充電・放電する
リチウムイオン電池とは、リチウムイオンや電子がプラス極とマイナス極を行き来することで充電や放電を行います。
電気を貯める「充電」を行った場合、リチウムイオンはプラス極からセパレーターを通過してマイナス極へ移動します。またプラス極の電子も電線を通り、マイナス極に移動します。満充電の場合は、ほとんどのリチウムイオンがマイナス極に集まった状態になります。
一方で電気を使う「放電」を行うと、リチウムイオンはマイナス極からセパレーターを通過してプラス極へ移動します。マイナス極の電子は電線を通りプラス極に移動し、電気エネルギーを使えるというわけです。
●リチウムイオン電池はなにでできている?
リチウムイオン電池にはプラス極で使う「正極材」やマイナス極で使う「負極材」をはじめ、多くの素材が活用されています。代表的な5つの項目を、以下にまとめました。
項目 |
使われる物質等 |
正極材 |
リチウム化合物。電池の種類により素材が異なる |
負極材 |
炭素化合物。黒鉛を使う場合が多い |
電解液 |
有機溶媒(エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど) |
セパレーター |
ポリエチレン、ポリプロピレンなど |
外装 |
ステンレス、アルミニウムなど |
リチウムイオン電池には正極材の違いにより、複数の種類に分かれます。この項目は、「代表的な2つのリチウムイオン電池を紹介」で解説します。
●家電でも産業用でも幅広く使われる電池
リチウムイオン電池は、家電でも産業用でも幅広く使われています。代表的な製品を、以下に挙げました。
・スマートフォン
・ノートパソコン
・電動工具
・電気自動車
・ドローン
なかでもポータブル電源は、代表的な製品です。
●電池の形状は多種多様
リチウムイオン電池の形状は、多種多様です。代表的な4つのタイプを、以下にまとめました。
形状 |
特徴 |
使われる機器の例 |
円筒形 |
乾電池と似たような形状。電解液は液体の状態で封入される。外装は金属製 |
ノートパソコン、家電、電動工具など |
角形 |
平らな四角形の形状。電解液は液体の状態で封入される。外装は金属製が多い |
スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機など |
ラミネート型(パウチ型) |
平らな四角形の形状。電解液はゲル状または固体の物質に染み込ませた状態で封入。外装はラミネートフィルム |
ドローン、電動バイク、無人搬送車など |
ピン型 |
幅3.5mm、長さ2cm程度と小型。外装はステンレスなどの金属製 |
補聴器、ワイヤレスイヤホン、リストバンド端末など |
機器のサイズや形に応じて、適切な形状を選べることはリチウムイオン電池の強みです。
リチウムイオン電池の特徴
リチウムイオン電池は、さまざまな特徴を持っています。ここでは5つの項目を取り上げ、どのような特徴があるか確認していきましょう。
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●小型でパワーが大きく使い勝手も良い
リチウムイオン電池は公称電圧が3.2ボルト~3.7ボルトと、他の電池よりも高いことが特長です。同じサイズなら、大容量を持ちパワーを出せます。また同じ電圧や容量なら、サイズの小型化が可能です。
このような特徴があるため、スマートフォンに代表される小型の機器でも盛んに使われています。さまざまなサイズがありコンパクトで扱いやすく、使い勝手が良いことも強みです。
●自己放電が起きにくい
自己放電(自然放電)が起きにくいことも、リチウムイオン電池の特長です。ひと月当たりの自己放電率は1%~5%で、特にリン酸鉄リチウムイオン電池で低くなっています。この数字は、ニカド電池やニッケル水素電池、鉛蓄電池といった他の二次電池よりも低いです。
このためリチウムイオン電池は、貯めた電気を無駄にせず有効に使える電池です。都合の良い時期に電気を貯めておき、災害に備えるといった使い方もできるでしょう。
●メモリー効果が起きにくく継ぎ足し充電がおすすめ
リチウムイオン電池は、メモリー効果が起きにくい特徴を持っています。メモリー効果は充電池の残量がある状態で継ぎ足し充電をすると、電池を使える量が少なくなってしまう現象です。ニカド電池で起こりやすい一方で、リチウムイオン電池の場合はメモリー効果を気にする必要はありません。
むしろリチウムイオン電池では、継ぎ足し充電をおすすめします。満充電や電池残量がない状態では、電池の劣化が進みやすいためです。次の見出し「満充電や電池切れの状態では電池が劣化しやすい」で、その理由を確認していきましょう。
●満充電や電池切れの状態では電池が劣化しやすい
リチウムイオン電池は多くのメリットがある一方で、満充電や電池切れなど、電池残量が100%や0%の状態では電池が劣化しやすいことに注意が必要です。電極の劣化や電解液の分解が促進されてしまうことは、大きな理由の一つです。
特に過充電や過放電の状態になると、ガスが発生しやすくなります。電池が膨らむだけでなく、機器を損傷させるおそれがあることにも注意してください。
電池は20%~25%の状態になったら充電し、75%~85%になったら充電を止めるようにすると長持ちします。満充電や電池切れの時間がなるべく短くなるよう、こまめに充電するとよいでしょう。
●電解液に有機溶媒を使っているため取扱いに要注意
リチウムイオン電池は他の二次電池と異なり、電解液に引火性液体の有機溶媒が使われています。水と異なり、火が付けば電解液も燃えてしまい、火災に結びつきかねません。また電池内部の温度が高くなると、発煙から発火に結びつくおそれもあります。
このため電池を取扱う際には、以下の点に注意しましょう。
・投げる、落とすなど、乱暴に扱わない
・傷をつけたり分解したりしない
・高温の場所で使用、または保管しない
・放熱しにくい場所に置かない
代表的な2つのリチウムイオン電池を紹介
リチウムイオン電池には、さまざまな種類があります。ここからはよく使われる2種類のリチウムイオン電池について、特徴を紹介していきましょう。
①軽くて幅広く使われる「三元系リチウムイオン電池」
三元系リチウムイオン電池は、軽さと電圧の高さが特長です。正極材の素材は、ニッケル・マンガン・コバルトを使用した「三元系リチウム」です。また公称電圧は3.7ボルトあり、小さくても大きなパワーを出せます。加えて低温への強さも特徴的です。
寿命は500回ですが、メーカーによっては寿命を延ばす工夫も行っています。Jackery(ジャクリ)の「ポータブル電源 1500 Pro」や「ポータブル電源 3000 Pro」は、2000回の寿命を誇る製品です。
②繰り返しの充放電に強い「リン酸鉄リチウムイオン電池」
リン酸鉄リチウムイオン電池は、繰り返しの充放電や高温に強いことが特長です。寿命は1,000回から、長い製品では4,000回にもおよびます。JackeryのPlusシリーズは、4,000回の寿命を持つポータブル電源です。また45℃の高温でも充電を行え、発火しにくいことも強みです。
正極材の素材はリチウムと鉄、リンであり、レアメタルのニッケルやコバルトは使われていません。一方で公称電圧が3.2ボルトとやや低く、サイズも三元系よりもやや大きくなります。
リチウムイオン電池とその他電池を比較
家電をはじめとした電気機器では、リチウムイオン電池以外にも多種多様な電池が使われます。しかし電池の性能は、どれも同じではありません。ここからはよく使われる4つの電池を取り上げ、リチウムイオン電池との違いを確認します。
●リチウム一次電池との違い
リチウム一次電池とは、プラス極とマイナス極をセパレーターで分離した電池です。プラス極には二酸化マンガンまたはフッ化黒鉛など、マイナス極にはリチウムが使われています。公称電圧は3ボルトで、リチウムイオン電池の3.2ボルト~3.7ボルトよりもやや低めです。
リチウム一次電池とリチウムイオン電池との違いは、使い切りかどうか、また充電や放電の仕組みにあります。リチウム一次電池は、使い切りの電池です。充電を繰り返すとリチウムがマイナス極に不均一に積もり、やがてショートにつながるおそれがあるため、繰り返しの使用には不向きです。
一方でリチウムイオン電池は繰り返し使用でき、リチウムイオンの移動により充電や放電が行われます。リチウム一次電池のように、充電を繰り返してもマイナス極にリチウムが積もる心配がなく、ショートのリスクが少ないことは特長に挙げられます。
●アルカリ乾電池との違い
アルカリ乾電池はプラス極に二酸化マンガン、マイナス極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムを使った、使い切りの電池です。一方でリチウムイオン電池は繰り返し使用でき、電解液も有機溶媒であり水は使われていません。
電圧も異なります。アルカリ乾電池の公称電圧は1.5ボルトに対して、リチウムイオン電池は3.2ボルト~3.7ボルトです。同じサイズならリチウムイオン電池のほうが、アルカリ乾電池よりもパワーは大きくなります。
またアルカリ乾電池は電解液に水が使われているため、氷点下の環境では性能が著しく低下します。リチウムイオン電池も低温による性能の低下はありますが、使えなくなるほどではありません。
●鉛蓄電池との違い
鉛蓄電池はプラス極に酸化鉛、マイナス極に鉛、電解液に希硫酸を使った、繰り返し使用できる電池です。大きな電流や長時間使える安定性を持ち、自動車のバッテリーなどで使われています。
鉛蓄電池は充電中に水素ガスと酸素ガスが発生するため、火気厳禁です。また自然放電も起こしやすい電池です。このため定期的に水を補給するとともに、電池を使っていない場合でも1カ月から3カ月に1回充電を行わなければなりません。
リチウムイオン電池は途中で液体を補給する必要はなく、むしろ水濡れに注意が必要な電池です。また自然放電しにくいことも特徴に挙げられます。
●ニッケル水素電池との違い
ニッケル水素電池はプラス極に水酸化ニッケル、マイナス極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液を使用した、繰り返し使用できる電池です。乾電池タイプの充電式電池は、このタイプが多いです。
ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違いとして、電池のパワーと電解液が挙げられます。公称電圧はニッケル水素電池が1.2ボルトですが、リチウムイオン電池は3.2ボルト~3.7ボルトと高くなっています。リチウムイオン電池ならより小さいサイズで大きなパワーを出せるというわけです。
一方でリチウムイオン電池の電解液は、有機溶媒です。衝撃を加えたり穴を開けたりすると、発煙や火災につながります。ニッケル水素電池の電解液も強アルカリですから、漏れれば人体に悪影響がありますが、より注意して取り扱う必要がある電池はリチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池のポータブル電源はJackery(ジャクリ)がおすすめ!
ポータブル電源は、リチウムイオン電池を活用する代表的な機器です。さまざまなメーカーから発売されていますが、選ぶなら10年以上の歴史がある代表的なメーカー「Jackery」の製品をおすすめします。
Jackery(ジャクリ)では多種多様な製品を取り揃え、あなたのニーズにこたえます。Jackeryの強みとおすすめの製品を紹介していきましょう。
●Jackeryでは三元系・リン酸鉄どちらも優れた製品を備えている
Jackeryでは軽さとコンパクトさが特長の「三元系」、繰り返しの充電や高温に強い「リン酸鉄」それぞれに優れた製品があります。どちらも、以下の特長を持っています。
・バッテリーマネジメントシステムなど数多くの安全装置を搭載し、安心して使える
・使いやすく持ち運びやすいデザイン
・1つの機器でAC100V電源、USB-A、USB-C、シガーソケットへの出力が可能
・ProシリーズやPlusシリーズは、家庭用電源を使い2時間~3時間で満充電にできる
Jackeryが提供する三元系とリン酸鉄ポータブル電源の優れた項目を、以下にまとめました。
内蔵する電池 |
優れた項目 |
三元系 |
・同じパワーをより軽い電池で実現できる ・技術開発により、充電・放電回数2,000回の製品が登場 ・低温に強い(氷点下20度で使える製品がある) |
リン酸鉄 |
・繰り返し充電に強い(充電・放電回数4,000回) ・45℃での高温でも充電可能 ・容量が足りない場合はバッテリーパックの追加で対応できる |
さまざまなニーズにこたえられる製品を用意していることは、Jackeryの強みです。ここからはJackeryがおすすめする、4つのポータブル電源を紹介していきましょう。
●Jackery ポータブル電源 2000Plus
Jackeryポータブル電源 2000 Plusは、リン酸鉄リチウムイオン電池を使用したポータブル電源です。この製品には以下のとおり、さまざまなメリットがあります。
・本体の容量は2042Whと多く定格出力は3000Wあり、ほぼすべての家電を使える
・バッテリーパックを追加して最大12kWh(並列運転で24kWh)まで容量を増やせる
・毎日充電しても10年以上使える寿命の長さ
・自然放電が少なく長持ちする
・Jackeryアプリで電池の状態をチェックでき、充電を85%に抑える機能も選べる
・充電中の音量は30デシベル以下、動作中の音量は42デシベル以下と静か
容量が大きく重さがあることは、数少ないデメリットです。重量は27.9kgと重いですが、キャスターがついているため移動もラクラクです。
製品名 | Jackery ポータブル電源 2000 Plus |
容量 |
2042.8Wh(最大12kWhまで拡張可能) |
定格出力 |
3000W/正弦波(最大瞬間出力:6000W) |
出力ポート数 |
ACⅹ5、DCⅹ1、USBⅹ4 |
充電時間 |
AC充電:2時間 |
寿命/サイクル数 |
約4000回サイクル |
保証期間 |
5年間 |
●Jackery ポータブル電源 1000Plus
Jackeryポータブル電源 1000 Plusも、リン酸鉄リチウムイオン電池を使用しています。主なメリットを、以下に挙げました。
・本体の容量は1264Wh。バッテリーパックを追加して容量を最大5kWhまで拡張できる
・定格出力は2000Wあり、ほとんどの家電を動かせる
・毎日充電しても10年以上使える寿命の長さ
・Jackeryアプリで電池の状態をチェックでき、充電を85%に抑える機能も選べる
・充電中の音量は30デシベル以下、動作中の音量は42デシベル以下と静か
重量は14.5kgと、「Jackeryポータブル電源 2000 Plus」の半分程度に抑えられています。容量や定格出力は6割から7割程度あるため、コストパフォーマンスの良い製品といえるでしょう。
製品名 | Jackeryポータブル電源1000Pro |
容量 |
1264Wh(5kWhまで拡張可能) |
定格出力 |
2000W/正弦波(最大瞬間出力:4000W) |
出力ポート数 |
ACⅹ3、DCⅹ1、USBⅹ4 |
満充電時間 |
AC充電:1.7時間 |
寿命 |
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー採用 |
保証期間 |
5年間 |
●Jackery ポータブル電源 3000Pro
Jackeryポータブル電源 3000 Proは三元系リチウムイオン電池を使用した、Jackeryで最大のスペックを誇るポータブル電源です。製品の特長を確認していきましょう。
・本体の容量は3024Wh。小型の据置型蓄電池に迫る容量
・定格出力は3000Wもあり、99%の家電を動かせる
・氷点下20℃でも動作可能
・重量は29kgあるが、キャスターがついているため楽に持ち運べる
・騒音レベルは30デシベルから55デシベルと静か
・Jackeryアプリの活用で動作状況の確認や、静音充電モードの選択が可能
「できるだけ性能の高いポータブル電源が欲しいが、軽さや持ち運びやすさも追求したい」という方におすすめの製品です。
製品名 | Jackery Solar Generator 1500 Pro |
容量 |
3,024Wh |
定格出力 |
3,000W/正弦波(最大瞬間出力:6,000W) |
出力ポート数 |
ACⅹ5、DCⅹ1、USBⅹ4 |
充電時間 |
AC充電:2.8時間 |
寿命/サイクル数 |
2,000回のサイクル数 |
保証期間 |
5年間 |
●Jackery ポータブル電源 2000Pro
Jackeryポータブル電源 2000 Proも、三元系リチウムイオン電池を使用したポータブル電源です。製品の特徴を以下に挙げました。
・本体の容量は2160Whと大容量
・定格出力は2200Wあり、ほとんどの家電を使える
・重量は19.5kgと、リン酸鉄リチウムイオン電池の製品に比べて大幅に軽い
・競合他社よりも20%~50%軽く、サイズは10%~15%コンパクト
・充電・放電可能な回数は1000回
「ポータブル電源 2000 Plus」と比べて容量が5%ほど多く、重量が3分の2で済む点は見逃せないポイントです。「調理家電を使える程度のスペックでよいが、なるべく軽い製品がよい」方におすすめの製品です。
製品名 | Jackery Solar Generator 2000 Pro |
容量 |
2160Wh |
定格出力 |
2200W/正弦波(最大瞬間出力:4400W) |
出力ポート数 |
ACⅹ3、DCⅹ1、USBⅹ4 |
充電時間 |
AC充電:2.5時間 |
保証期間 |
5年間 |
電池の特徴を知り、生活に長く役立つ製品を選ぼう
リチウムイオン電池は長持ちして扱いやすい工夫がされた電池ですが、オールマイティーではありません。電池の特徴を把握することでより長く使えるとともに、コストパフォーマンスの良い製品を選べます。
Jackeryのポータブル電源も三元系に加えて、リン酸鉄リチウムイオン電池を使った製品を発売開始しました。三元系とリン酸鉄は特徴が異なります。「電池の特徴を知るなんて面倒」と思わず、積極的に知識を得ましょう。あなたの使い方に合った製品を選ぶことで、生活に長く役立つポータブル電源を使えます。
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