ポータブル電源とモバイルバッテリーの違いとは
スマートフォン等のデジタルデバイスの持ち運びが一般化する中で、需要が発生して普及したのがモバイルバッテリーです。リチウムイオン電池の技術革新により小型化、低価格化をすすめ多くの人が持ち歩くアイテムとなりました。
しかし、モバイルバッテリーには物足りなさを感じることも多々あります。充電可能時間、容量の少なさや用途が限られていること、充電方法の制限等です。
これを置き換えるアイテムとして登場したのがポータブル電源です。モバイルバッテリーと似ている部分もありますが、その違いとは一体何なのでしょうか。
本記事ではモバイルバッテリーとポータブル電源について、その違いを解説します。
モバイルバッテリーとポータブル電源の共通点
モバイルバッテリー、ポータブル電源の両者とも、家庭などのコンセントがない状況で電気を利用する機器に給電するために利用するためのバッテリーです。
電気を充電して貯めておき、蓄えた電気を他のデジタル機器や家電製品などに給電することが目的の道具といえます。
現在ではリチウムイオン電池を内蔵したものが主流です。
共通する部分も多いモバイルバッテリーとポータブル電源ですが、大きな違いとなるのは、容量と電流の強さです。以下では、その違いについて見ていきましょう。
※Jackery ポータブル電源240・モバイルバッテリー
容量と出力の違い
・モバイルバッテリー
モバイルバッテリーは名前の通り、スマホやタブレット、PCといったモバイルの充電および給電が主なターゲットです。一方、ポータブル電源は家庭用の電源並みの電力供給が可能なため、幅広い機器に利用することができます。他に電気供給のための機器としては発電機がありますが、出力は高いものの燃料を利用するため取り扱いに注意が必要なことや騒音、排気などの問題があり、利用のハードルは高めです。
モバイルバッテリーは2021年8月13日現在の主力製品では、10000mAhから30000mAh(※)程度のスマホの充電に対応した容量となっています。最新式のiPhone12シリーズで一回の充電が可能な容量です。PCへの利用やUSBで給電する電子タバコ機器等にも利用することができます。電力は最新の急速充電可能な規格(QC3.0)に対応したものでMAX18W(※)、電流は3A(※)程度となっています。
モバイルバッテリーは電気用品安全法(PSE)により、出力に制限があります。内蔵する単電池1個当たりの体積エネルギー密度が400Wh/L(ワット時毎リットル)を超える製品は平成30年より販売が規制されています。このため、モバイルバッテリーは定格出力を押さえており、主な給電端子であるUSBの新規格USB Power Delievryの最大値である100Wを超える製品は見当たりません。現在人気の商品では最大18Wの出力をもつ製品が多数を占めます。従って、モバイルバッテリーの出力で使用できる機器はPC、タブレット、スマホ、電子タバコ機器、ワイヤレスイヤホンの給電、充電、USB接続の扇風機等の利用に限られます。詳細はモバイルバッテリー製品によって違うため、製品の情報を確認しましょう。
※mAh:ミリ・アンペア・アワー。一時間に流せる電流の量を示す単位。
※A:アンペア。電流量をあらわす単位。1000mA=1A。
※W:ワット。消費される電気エネルギー、電力を表す単位。
・ポータブル電源
ポータブル電源の場合は製品にもよりますが、モバイルバッテリーよりも大容量、高出力を実現しています。
定格出力は製品によって異なりますが、電化製品の出力は下記の値が目安となります。また、起動時には消費電力が上がる製品も多々存在しており、最大電力は起動時電力を超えている必要があります。
比較対象として、実際のJackeryの製品を例に見てみましょう。
画像 | 製品名 | 規格 (容量、電流量、電力) | 利用例(目安)(※) |
240Wh
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ライト5W21時間
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400Wh
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ライト5W35時間
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708Wh
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ライト5W54時間
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1002Wh
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ライト5W76時間
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1,534.68Wh
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ライト5W105時間
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モバイルバッテリー |
2021/8/14時点、Amazonで人気の商品 |
40Wh
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iPhone12シリーズを2回充電可能 |
※:上記の例は目安であり、充電回数、使用時間、利用環境、給電対象の機器により、利用可能時間や回数は変ることがあります。
接続端子の違い
モバイルバッテリーの電気製品への接続口は主にUSB接続です。接続機器により端子はTypeCなどを利用します。用途および容量などの理由により、同時に接続可能な端子の数は一つの場合が多くなっています。モバイルへの充電が主用途のためそれ以外の端子はあまり必要がないのかもしれません。PC用に利用できる製品の場合は、AC接続端子を持つ場合もあります。
ポータブル電源は用途を幅広く想定しており、様々な機器で利用できるよう複数の接続端子を併せ持つ場合が多いです。USBはもちろん、一般的な家電製品を接続するためのコンセント(AC)接続が可能です。車載製品に利用するためのシガーソケット出力端子も利用できる製品もあります。機器にもよりますが、USBやコンセントなどの接続端子が複数有り、同時の複数接続に対応している製品も多いです。
利用シーンの違い
モバイルバッテリーはモバイル(スマホ、タブレット)専用です。あらゆる外出でスマホとともに持ち歩く人も多いことでしょう。通勤、通学などの日常的な生活の中が利用シーンとなります。
ポータブル電源はその容量を活かして様々なイベントなどのシーンでの活躍が可能です。特に屋外で強い電力を長時間利用できることが特徴的です。具体的な活躍シーンを見ていきましょう。
ポータブル電源はキャンプやBBQ、アウトドアといった屋外の遊びで大活躍します。ライトやランタンといった照明機器。TVやラジオ、音楽プレイヤーといった映像や音楽を楽しむ機器。扇風機や小型の冷蔵庫、電気毛布などの冷暖房設備。コーヒーメーカーや炊飯器などの調理器具。外での遊びに便利さをもたらしてくれます。
ポータブル電源はモバイルを外に持ち出してのテレワークでも利用することが可能です。PCやスマホ、タブレットなどの機器はもちろん、冷暖房設備なども利用することができるため、ベランダや公園を快適な仕事環境に変えることができます。
ポータブル電源は災害時のエネルギー供給源として準備しておくのにも向いています。半年に一回程度の充電を行っておくことで、緊急時に備えておけます。スマホなどの連絡のための機器の充電、ラジオやTVといった情報源の確保、冷暖房での健康の維持といった用途に役立てることが可能です。
室外作業でもポータブル電源は活躍してくれます。電動工具の利用、芝刈り機の電源として、夜間作業用の照明などの用途で活躍します。撮影取材、釣り、農作業やお子さんとのビニールプール遊びといった室外での活動では、TVやラジオ、湯沸しポット、扇風機、スマホの充電などに活躍してくれそうです。
車中泊でもポータブル電源は大活躍します。冷暖房器具や調理器具などに利用できます。排気もないため、室内での利用にも問題がありません。
ポータブル電源の利用について、注意点となるのはサイズと重量です。モバイルバッテリーより大きいため、普段携帯するのには適していません。
活躍シーン |
利用機器 |
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ポータブル電源 |
アウトドア |
照明機器 オーディオ、映像機器 冷暖房設備 調理器具 |
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テレワーク |
PC、スマホ、タブレット 冷暖房設備 |
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災害時の非常電源 |
テレビ、ラジオ等情報機器 スマホ等連絡手段の確保 冷暖房設備 調理器具 |
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室外作業 |
電動工具、芝刈り機 照明器具 |
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車中泊 |
冷暖房設備 調理器具 |
モバイルバッテリー |
日常生活が主 |
スマホ、タブレット、PC |
充電方法の違い
モバイルバッテリーはUSB端子からの充電か、コンセントからACアダプタを経由しての充電を行います。
ポータブル電源はコンセントからの充電をはじめ、製品によっては充電方法の拡張性が用意されています。例えば、多くの製品が車のシガーソケットから充電が可能です。また、ジェネレーター(発電機)と連携して充電が可能な製品も存在しています。
さらにJackeryの製品は、拡張パーツとしてソーラーパネルによる充電が用意されています。災害時の利用、コンセントからの充電の利用時間の延長、電気代の節約など、そもそも電気がない場所でも利用できる、ポータブル電源の可能性を広げる大活躍の拡張アイテムです。
まとめ
モバイルバッテリーもポータブル電源も、コンセントなどによる電気供給ができない屋外等で、機器に電気を供給するための道具です。一種の充電電池といえます。
大きな違いは、蓄積できる電気の量と供給できる電流、電力の量がポータブル電源の方が圧倒的に多いということです。モバイルバッテリーはモバイルの充電が主な使用目的ですが、ポータブル電源はその容量と電流、電力の大きさにより様々な電気機器の長時間の利用が可能です。この特徴を活かし、アウトドア、テレワーク、車中泊、災害時の備え、室外作業時等、幅広いシーンで活躍することができます。
また、ポータブル電源には充電方法も拡張性が用意されており、コンセントからの充電に加え、シガーソケット、ジェネレーターといったチョイスも用意しています。さらにJackeryでは専用のソーラーパネルをオプションとして提供。エコな再生可能エネルギーを利用することができ、長時間の屋外活動、緊急時の電源確保といった目的でも活躍可能です。
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