1.充電池の特徴とは?乾電池との違いや寿命を解説
充電池と乾電池の違いを知ると、効率的に電池を使用できます。それぞれの特徴を知り、目的に合った電池を見つける参考にしてください。
●充電池とは繰り返し使える充電式電池
充電池は、使用後に専用の充電器で繰り返し充電できる電池です。使い捨て乾電池と異なる点は、以下の内容があげられます。
・繰り返し充電ができるので購入する手間が少ない
・最初の購入費用は高いが、トータルのコストは低い
・ゴミの量が減らせてエコに貢献できる
・最後まで安定した電力が出力できる
一般的なニッケル水素充電池は500回以上の充電が可能で、従来の乾電池より経済的な負担が減らせます。
充電池は化学反応を利用して電気を蓄え、放電時にその電気を取り出して使用する仕組みです。最近は自己放電が少なく高性能な製品が増え、2,000回以上充電できるものや10年以上使用できる製品もあります。
使い捨ての乾電池と比べて、ゴミの削減もできるエコに配慮した製品です。
●充電池の種類
充電池には主に4種類あり、それぞれ特徴があります。
種類 |
特徴 |
ニッケル水素電池 |
一般的な家電製品に使われ、高い容量と安定した性能が特徴である |
リチウムイオン電池 |
スマートフォンやノートPCなどに使用され、軽量で高性能である |
ニカド電池 |
工具などの高出力機器に向いているが、現在は健康被害への配慮から使用頻度は減少している |
リン酸鉄リチウムイオン電池 |
安全性が高く長寿命の電池で、蓄電システムなどに採用されている |
用途に合わせたさまざまなタイプの充電池があり、使い捨て乾電池の代替品として使用されるものはニッケル水素電池です。
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●充電池の寿命の目安
一般的な充電池の寿命は使用方法や環境によって大きく異なります。
ニッケル水素電池の場合、500〜1000回程度の繰り返し充電が可能です。平均的な使用で、おおよそ3〜5年が寿命の目安です。
製品によって充電ができる回数は大きく異なり、2,000回以上の充電が可能なシリーズもあります。
リチウムイオン電池は300〜500回の繰り返し充電が目安で、容量は徐々に低下していきます。ただし、過充電や過放電を避け、適切な温度環境で使用すると、寿命を延ばすことが可能です。
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●充電池のメリット4選
充電池には以下のような大きなメリットがあります。
・使い捨て乾電池よりも経済的である
・ゴミが減るため環境に配慮できる
・寒冷地でも安定して使用できる
・出力が安定している
繰り返し使用できるため、長期的な費用削減につながります。使い捨て電池と比べてゴミの量が大幅に減少し、環境に優しい製品です。充電池は低温環境下でも安定した性能を発揮し、-20℃程度まで使用可能な製品もあります。
放電中の電圧変動が少ないため、放電が安定しており、機器の性能を最大限に引き出すことが可能です。最後まで安定した出力を維持します。
2.【目的別】適した充電池の選び方3選

用途によって最適な充電池は異なります。以下のポイントを参考に、適した充電池を選びましょう。
①電池のサイズが合っているか確認する
使用する機器に適したサイズの電池を選択する必要があります。一般的な充電池のサイズは、単1形から単4形までの円筒形4種類と、9V形の角型1種類です。
デジタルカメラやゲーム機器には専用の充電池パックが必要な場合もあります。機器の説明書やバッテリー収納部の表示を確認し、正しいサイズを選択しましょう。間違ったサイズを使用すると、機器の故障や性能低下の原因となる可能性があります。
②使用目的に合わせたバッテリー容量で選ぶ
バッテリーは容量が多いほど使用できる時間が長くなるため、電化製品の稼働できる時間に直結する重要な要素です。
デジタルカメラなど消費電力の大きい機器には、2,000mAh以上の大容量タイプが適しています。一方、リモコンなど消費電力の少ない機器では、1,000mAh程度の標準タイプで十分なことが多いです。目的に合わせたバッテリー容量の充電池を選ぶと、無駄なコストを減らせます。
大容量のバッテリーが必要な製品は、ポータブル電源の併用がおすすめです。ポータブル電源があると充電池を繰り返し充電可能なので、電源が確保できないアウトドアなどの場面でも活躍します。Jackery(ジャクリ)のポータブル電源はソーラーパネルとセットのモデルも多く、長時間の使用も可能です。
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③充電できる回数で選ぶ
一般的なニッケル水素電池は500回以上、製品によっては2,000回以上充電できます。
頻繁に使用する機器では、充電回数の多い製品を選ぶと、長期的なコストを抑えることが可能です。同じバッテリー容量の製品で選択に迷った場合は、充電回数の多いものを選択しましょう。
3.寿命が長持ちする充電池を選ぶコツ3選
充電池の寿命を最大限に引き出すには、製品選びが重要です。以下のポイントを押さえて、長持ちする充電池を選びましょう。
①自然放電が少ないタイプを選ぶ
電池は使用していなくても少しずつ放電しており、長期間使わずに放置すると、容量が減ってしまいます。自然放電の少ない充電池を選ぶと、長期保存時の性能低下を防ぐことが可能です。
例えば低自己放電型の充電池であるPanasonicのエネループ「スタンダードモデル」は、1年後に約90%、10年後も約70%の容量を維持します。災害用の備蓄やたまにしか使用しない場合は、こういった自然放電の少ないタイプがおすすめです。
製品のパッケージに自己放電率が記載されていることが多いので、購入時の参考にしましょう。
②充電池と充電器がセットのものを選ぶ
専用充電器とのセット製品は、充電池と充電器の相性が保証されており、過充電や過放電(※)を防ぐ保護機能が備わっています。対応する充電器を使用すると、充電池の劣化を最小限に抑えられます。
参考:Panasonic「パナソニック製以外の充電池をパナソニックの充電器で充電できますか?」
※過充電とは電池の容量が100%を超えてさらに充電し続け、エネルギーを詰め込もうとしている状態。過放電とは電池の容量が残っていない状態でさらに放電してしまう状態です。
過充電と過放電、どちらも電池に負荷がかかるため劣化や破損の原因になります。
互換性のない充電器の使用は、電池の故障や不具合の原因なので使用しないようにしましょう。
セット製品は初期投資が若干高くなる場合もありますが、充電池の寿命と安全性を考えると長期的にはお得です。充電池とセットもしくは、互換性のある充電器を使用しましょう。
③液漏れ防止設計のものを選ぶ
電池を使用する機器を守り、安全性を高めるために、液漏れ防止設計の充電池を選ぶことが大切です。
高品質な充電池には、内部圧力上昇時のガス放出を抑制し、電解液漏れを防ぐ構造が採用されています。特に高温環境での使用や長期保存を考えている場合は、液漏れ対策がされている製品を選びましょう。
4.おすすめの充電池シリーズ4選
長持ちしてお得に使用できる、おすすめの充電池を紹介します。
①パナソニック|エネループ・エボルタ
エネループシリーズは独自技術により自然放電が少なく、充電しておけば10年後も約70%の容量をキープできるのが特徴です。寒い場所に強く-20℃の低温でも使用できるため、雪山やスキー場など冬場のアウトドアでも使用できます。
単三電池・単四電池のさまざまな容量の電池を取り扱っているだけでなく、単一電池・単二電池の取り扱いもあります。専用の充電器や電池のサイズを変更できるスペーサーも取り扱っているため、目的に合った製品を見つけましょう。
参考:Panasonic「充電池・充電器」、「エネループ(ニッケル水素電池)」
②東芝|インパルス
デジタルカメラなど消費電力の大きい機器に適した高容量タイプから、リモコンなどで使用するライトタイプまで販売されています。容量ごとに電池のパッケージも異なり、用途に合わせて電池を選びやすいのが特徴です。
スタンダードタイプは、フル充電後1年間経過しても約90%の容量を保っている低自己放電タイプなので、長期間の使用にも適しています。充電回数の多さも特徴で、スタンダードタイプでは約2,100回、ライトタイプでは約5,000回可能です。充電可能な回数が多いと、電池が長期間使用できるので、よりお得に活用できます。
参考:TOSHIBA「ニッケル水素電池「充電式IMPULSE」と充電器の新製品発売について」
③富士通|HR-UTC、HR-UTHC
HR-UTCは標準タイプで、一般的な電子機器に最適です。HR-UTHCは大容量タイプで、デジタルカメラやゲーム機器などの高負荷の機器に適しています。どちらも自己放電が少なく、長期保存に適しています。
デジタルスチルカメラなど大きな容量が必要な機器でも安定して長時間の使用が可能です。−20℃の低温でも使用できるため、寒冷地やアウトドアでも使用できます。幅広い用途で使用できる充電池シリーズです。
④アイリスオオヤマ| BIGCAPA Recharge
幅広い機器に使用できる「スタンダードタイプ」と消費電力の小さい機器に適した「くり返し使用に強いタイプ」の2種類があります。
「スタンダードタイプ」では約1000回、「くり返し使用に強いタイプ」は約5,000回の充電が可能です。繰り返し使用できる回数が多いので、使用後に電池を処分する手間を省けます。
参考:繰り返し使用で資源削減使用機器によって選べる2種類「ニッケル水素電池 BIGCAPA Recharge ビッグキャパ リチャージ 」発売
5.いざというときに役立つ!充電池以外のおすすめ充電器3選

緊急時や外出先などでスマホを充電したいときなど、充電器を探す場面はよくあります。電力を確保するためのさまざまな選択肢を知り、いざというときに充電に困らないようにしましょう。
①ポータブル電源
ポータブル電源は、高容量で多様な機器に対応できる万能な電源です。
充電池の充電はもちろん、コンセントが使用できるのでテレビや電子レンジなど、さまざまな電化製品に直接給電が可能です。特にソーラーパネル付きのモデルは、電源がなくても繰り返し充電できるので災害時や屋外活動で重宝します。ポータブル電源のおすすめの使い方を紹介します。
・キャンプで電気毛布やランタンの使用
・災害時にスマホ・懐中電灯の充電や電気ケトルの使用
・ソーラーパネル充電を活用して電気代を節約
販売台数500万台を超えるJackery(ジャクリ)のポータブル電源、バッテリー容量は幅広いラインナップがあり、用途に応じた製品を選択可能です。いざというときに備えて、充電池だけでなくポータブル電源を準備して非常時に困らない対策をしましょう。
関連人気記事:ポータブル電源のコンセントは便利!商品を上手に選ぶ 9つのポイント
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②モバイルバッテリー
モバイルバッテリーはコンパクトで携帯性に優れた充電器で、災害時に備えて準備しておきたい製品です。
10,000mAh程度の容量があれば、スマートフォンを3〜4回充電できます。ただし、モバイルバッテリー自体の充電も必要なため、長期の災害時には太陽光充電可能なポータブル電源との併用がおすすめです。
災害時に慌てないために、複数の充電方法を確保しておきましょう。
関連人気記事:【多機能】モバイルバッテリーの充電方法を解説!ポータブル電源との違いとは?
③手回し充電器
手回し充電器は、電力供給が絶たれた緊急時に役立つ製品です。
人力で発電するため、電源がなくても使用できる点が特徴です。種類によって発電効率は異なりますが、目安として1分間の手回しで約1〜2分の通話ができます。効率はよくないですが、災害時の非常用として備えておくと良いでしょう。
懐中電灯や簡易ラジオ機能を備えたモデルもあり、防災用品として優れています。
6.充電池を長く安全に使うために注意すること5選
充電池は間違った使用により、劣化や故障の原因となるため注意が必要です。適切な使用と管理で充電池の寿命を延ばし、安全に使用できます。
①過放電の状態にならないようにする
充電池の残量がない状態で、さらに放電してしまう「過放電」は充電池の寿命を大きく縮める原因です。過放電の状態を放置すると、電池の劣化を進めてしまいます。
長期間電池を保管する場合は、充電をした状態で保存しましょう。さらに1年に一度程度は状態を確認して、再充電することが大切です。
②残量がなくなる前に充電をする
充電池は残量が20〜30%程度になったら再充電をおすすめします。残量が0の完全放電を繰り返すことは、電池の性能が低下する原因です。
充電池の多くは継ぎ足し充電に強い設計になっているため、電池切れになる前に充電しましょう。
③電池の状態を合わせて使用する
複数の充電池を一緒に使用する場合は、充電状態や劣化の程度を揃えることが重要です。新品と使用済みの充電池を混ぜた使用は、性能の低下や故障の原因となります。
異なるメーカーや種類の充電池を組み合わせることも避けましょう。同じ時期に購入した同一製品を使用し、充電も同時に行うと、安定した性能を維持できます。
④液漏れや破損したときは使用しない
液漏れや膨張、変形など異常が確認された充電池は、直ちに使用を中止してください。液漏れなどの症状は内部で故障が発生している証拠です。液漏れした電解液は腐食性があり、機器を損傷する可能性があります。
異常が見られた充電池は適切な方法で廃棄し、機器もしっかり清掃してから新しい電池を使用しましょう。
⑤充電池が使用できない場合もある
全ての機器で充電池が使用できるわけではありません。
精密機器や医療機器、特定の計測機器は、電圧の安定性や安全性の観点から、専用電池や使い捨て電池の使用が指定されていることがあります。
機器の説明書を確認し、推奨される電池タイプを使用することが重要です。無理に充電池を使用すると、機器の故障や事故の原因となる可能性があります。
7.充電池に関するよくある質問
充電池の使用に関して、多くの方が疑問に感じる点を解説します。
●充電池を捨てるときはどうしたらいい?
充電池は、以下の方法で適切に処分しましょう。
・家電量販店やスーパーマーケットの回収ボックスを利用する
・自治体の指定する回収・処理方法に従う
・製造メーカーのリサイクルプログラムを利用する
一般のゴミとして捨てると、火災や環境汚染の原因となる可能
性があります。特にリチウムイオン電池は発火の危険性があるため、端子部分をテープで絶縁するなどの処理が必要です。住んでいる地域の処理方法も確認しておきましょう。
参考:東京都 環境局「リチウムイオン電池 混ぜて捨てちゃダメ!」プロジェクト
●充電池と乾電池はどちらが得?
一般的に、頻繁に電池交換が必要な機器では、充電池のほうが経済的にお得です。ただし使い捨て乾電池は長期保存に向いているメリットがあります。非常用など使用頻度が低い場合には、使い捨て電池も用意しておくのがおすすめです。
充電池は初期投資が高くなりますが、長期的な目線でどちらが良いか判断しましょう。
まとめ
充電池は環境にやさしく経済的なメリットもある製品ですが、適切な選び方と使用方法が重要です。用途に応じた種類とサイズの選択、正しい充電管理、適切な保管方法を心がけると、長期間にわたって安全に使用できます。
緊急時に備えてポータブル電源などの代替電源も検討しておくと安心です。充電池の特性を理解し、適切に使用して充電池を有効活用しましょう。
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