二方向避難とは?共同住宅や事務所での考え方を解説

二方向避難とは?共同住宅や事務所での考え方を解説

地震や災害による被害は、直接的なものだけでなくその後の二次災害にも注意する必要があります。地震や津波、火事などで万が一通常の出入口がふさがれてしまったときのために、確認しておきたいのが避難経路です。 本記事では、建築物を建設する際に定められている二方向避難の考え方を解説します。 避難経路を確保するためにできることもチェックして、災害時に備えておきましょう。

二方向避難とは?重要性を解説

二方向避難とは、火災や地震などが発生して一つの出入口がふさがれてしまった際に、別の避難経路を確保することです。

二方向避難は建築基準法施行令第121条第3項で、以下のとおり設置が義務付けられています。

"第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない(引用昭和二十三年法律第百八十六号 消防法

一般的なマンションやアパートなど共同住宅の場合、玄関だけでなくバルコニーや階段などから外に出られるようにすることを意味します。

避難経路を確保できない構造の場合は、避難器具としてはしごなどを用意しておかなければなりません。

また、階段までの道に共通の区間がある場合は、部屋から階段までの距離が半分を超えてはならないというルールもあります。

建築物を建てる際はこのルールが守られているので、事前に避難経路を確認しておくことが大切です。

●二方向避難はなぜ必要?その重要性を解説

二方向避難は、建築基準法施行令第121条で義務付けられています。

“建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。(引用昭和二十五年政令第三百三十八号 建築基準法施行令

マンションやアパートといった共同住宅など人が多く住んでいる場所で火災が発生した場合、経路が一つしかないと人がその出入口に殺到します。

避難が遅れるだけでなく押されたり踏まれたりしてけがをする、最悪の場合死亡してしまう可能性があります。

このような二次被害を防ぐために、二方向から避難できる出入口の設置が義務付けられるようになりました。

共同住宅だけでなく、劇場、ホテル、病院など多くの人が集まる施設も二方向避難の対象です。

二方向避難が義務付けられていなかった過去には、一つの避難経路しかないビルで50人以上の死傷者が出たこともあります。

悲惨な過去を繰り返さないためにも、二方向避難は非常に重要な考え方です。

二つ以上の直通階段が必要な建物

二つ以上の直通階段が必要な建物

二方向避難の考え方は建築物の構造や目的によって違いがあります。それぞれの特徴を確認し、二方向避難ができる設備があるかどうかを確認しましょう。

●劇場や映画館、集会場など

劇場や映画館、集会場など、客席や集会室がある建物は、二方向避難の対象です。

規模に関係なく、これらの目的の建築物はすべてに二方向避難のための出入口の設置が義務付けられています。

● 店舗

売り場のある店舗は、その売り場がある階のすべてが二方向避難の対象です。

売り場面積に関係なく、すべてのフロアに設置がぢ無づけられています。

●病院

病院では、床面積が50平方メートル以上の病室がある階が二方向避難の対象です。 ただし、主要の構造が準耐火構造または不燃材料の場合は、床面積が100平方メートル以上に緩和されます。

●ホテル

ホテルの場合は、宿泊室、居室、寝室のある階かつ床面積が100平方メートル以上の場所が二方向避難の対象です。

なお、主要の構造が準耐火構造または不燃材料の場合は、床面積200平方メートル以上に緩和されます。

●キャバレー、ナイトクラブなど

キャバレーやナイトクラブは、客席や客室のあるフロアが二方向避難の対象です。

基本的にすべてに二方向避難の設置が義務付けられていますが、以下の緩和措置もあります。

・5階以下の階

・その階の居室の床面積の合計が100平方メートル以下

・避難上有効なバルコニー、屋外通路などがある

・屋外避難階段、または特別避難階段がある

・避難階の直上階、または直下階

これらに該当する箇所は二方向避難の対象になりません。

●6階以上の階

6階以上の階は、居室のあるすべてのフロアが二方向避難の対象です。規模に関わらず、全てに適用されますが、以下の緩和措置があります。

・令121条1項一号~四号以外の用途で使われている

・その階の居室の床面積の合計が、100平方メートル以下

・避難上有効なバルコニー、屋外通路などがある

・屋外避難階段、または特別避難階段がある

●5階までの階

5階までの階は、居室のある階かつ床面積200平方メートル以上の場合が対象です。

ただし、主要構造部分が準耐火構造または不燃材料の場合、床面積が400平方メートル以上に緩和されます。

災害時に避難経路を確保するためにできること3選

一般的な共同住宅や商業施設には二方向避難経路が確保されています。ですが、実際に災害が起きたときにその通路がふさがれていると安全に避難ができなくなってしまいます。

また、避難経路を確認しておくことも大切なポイントです。災害時に安全に避難するためにできることを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

①共用部分やバルコニーに荷物を置かない

マンションやアパートなどの集団住宅のバルコニーには、荷物を置かないようにしましょう。

バルコニーに荷物があると、万が一の際にスムーズに避難ができない可能性があります。

共同住宅の場合、通常の玄関ともう一方の二方向避難経路としてバルコニーが設置されていることがほとんどです。

自分が避難できなくなるだけでなくほかの人の避難も困難になる可能性があるため、荷物の置きっぱなしなどには注意しましょう。

②避難経路を確認しておく

災害時にスムーズに避難できるよう、避難経路を確認しておきましょう。 避難経路は上記のとおり、緩和措置が適応されない場合はかならず用意されています。

用意されているにもかかわらず避難経路を把握していないと、避難が遅れてしまいます。 火災などの場合、最悪の事態に発展する可能性もあります。

ベランダや非常階段など避難経路を確認しておき、万が一の際に備えておきましょう。

③避難器具の使い方を理解しておく

二方向避難のための避難器具の使い方も理解しておきましょう。 バルコニーなどの避難経路を確保できない場合、避難器具としてはしごが用意されているケースもあります。

このはしごは非常時に使うものですが、通常時に使い方を確認しておくことで万が一の際もスムーズに避難できます。

また、はしごがスムーズに取り出せるよう、周辺に荷物を置かないことも大切です。

自宅でできる災害対策おすすめ5選

自宅でできる災害対策おすすめ5選

建築物は、火災などの事故に備えてさまざまな避難のための設備が用意されています。ですが、自分自身で災害対策をきちんとしておくことも大切です。以下からは、自宅でできる災害対策を紹介します。日頃からきちんと備えておき、万が一の災害に対応できるようにしましょう。

① 防災バッグを用意する

近年自宅でできる災害対策として人気が高まっているのが、防災バッグです。

非常時に必要なアイテムが一つのバッグに入っているので、それだけ持ってスムーズに避難できる内容です。非常食や非常用トイレ、衛生用品、懐中電灯などが入っているのが一般的です。

自分で必要なものを用意する方法もありますが、最初からセットになって販売されているものもあります。防災バッグを用意し、いつでもスムーズに手が届く場所、玄関の近くなどに置いておきましょう。

関連人気記事:防災グッズで実際に役立ったもの9選|災害停電対策の最強グッズも紹介

②家具の置き方を工夫する

家具の置き方を工夫することで、災害時の被害を抑えることが可能です。

例えば、倒れやすい本棚や食器棚は滑り止めをつける、天井との隙間を埋めるアイテムを使うなどがあります。棚の中身が倒れてきそうな場所にベッドやソファを置かないなども有効です。

さらに、万が一火災などが発生した際に一直線に玄関や避難出口に向かえるように動線を考えて家具を配置することもおすすめです。

関連人気記事:冷蔵庫の地震対策は転倒防止対策を!おすすめの転倒防止グッズや注意点を紹介

③安否確認方法を共有しておく

安否確認方法を共有しておくことも大切です。 離れた場所で暮らしている家族などと、どのように安否確認するかを決めておけば万が一の際の対応もすぐに考えられるでしょう。

災害時は通信障害が起きたり回線が込み合ったりする可能性があります。通常の連絡方法が取れないときの対策を確認し、情報を共有しておくことが大切です。

とくに高齢者と離れて暮らしている場合などは、混乱しないようわかりやすい連絡方法を共有しておきましょう。

④避難経路や避難場所を知っておく

避難経路や避難場所について、日頃から確認しておきましょう。 建物だけでなく地域でも、避難経路や避難場所は用意されています。

ですが近隣との交流が少ない場合、これらの情報が入ってきにくいという問題があります。

どこをとおって避難すればいいのか、どこに避難すればいいのかを確認し、万が一の際にもスムーズに移動できるようにしましょう。反対に、災害時にとおらないほうがいい危険な通路などを理解しておくことも大切です。

⑤停電時の電力確保に備える

災害が起きると停電する可能性もあるため、電力確保の方法も考えておきましょう。地震や台風などが多い日本では、常に停電に備えておく必要があります。

停電時にも電力を確保できれば、防寒ができる、温かい料理を食べられる、テレビやスマホで情報を確認できるなどさまざまなメリットがあります。

電力確保方法は多数ありますが、おすすめなのがポータブル電源です。

ポータブル電源を事前に充電しておけば、万が一の際にも本体につなぐだけで通常どおりAC電力を使えます。

電力容量によって対応できる電化製品は違うので、災害時の備えとするのであればできるだけ電力容量の大きいポータブル電源を用意しておきましょう。

非常時にも安心を!Jackeryポータブル電源で災害対策を万全に

非常時にも安心を!Jackeryポータブル電源で災害対策を万全に

災害の停電で活躍するポータブル電源は、Jackeryのものがおすすめです。Jackery(ジャクリ)はアメリカで生まれたポータブル電源のメーカーで、日本でも防災意識が高い方、アウトドアを楽しみたい方などから高く評価されています。

日本国内の厳しい基準を満たしたポータブル電源なので、長期間安心して利用し続けられる点も魅力です。災害におすすめのポータブル電源を2機種紹介するので、自宅の防災アイテムの一つとしてぜひ検討してみてください。

● Jackery ポータブル電源 2000 Plus

Jackeryのポータブル電源のなかでももっとも新しく、大容量のタイプです。3000Wの高出力で、多くの電力が必要な電気ケトルや冷蔵庫などを問題なく使うことが可能です。

容量が大きい分サイズも重さもありますが、ローラーや取っ手がついていて持ち運びやすい設計になっています。

また、長寿命のバッテリーを搭載しており、4000回フル充電しても使い続けられます。

防災時の備えだけでなく車に積めばアウトドアにも活用できるので、長くたくさん使えるポータブル電源を選びたい方におすすめです。

製品名 Jackery ポータブル電源 2000 Plus

容量

2042.8Wh(最大12kWhまで拡張可能)

定格出力

3000W/正弦波(最大瞬間出力:6000W)

出力ポート数

ACⅹ5、DCⅹ1、USBⅹ4

充電時間

AC充電:2時間
ソーラー充電:最速2時間
シガーアダプター:25時間

寿命/サイクル数

約4000回サイクル
※4,000回サイクル放充電後も工場出荷時の容量の70%以上をキープできます。

保証期間

5年間

●Jackery ポータブル電源 1000 Plus

●Jackery ポータブル電源 300 Plus

容量よりもコンパクトさにこだわりたい方には、Jackery ポータブル電源 300Plusがおすすめです。

定格出力は300W程度で、スマホやパソコンの充電などに活用できます。 災害時にも家族と連絡を取りたい、最新の情報を確認したい方なら、300Plusでも十分に満足できるでしょう。

リュックにも入るコンパクトな設計なので、防災バッグに入れておくことも可能です。 最小限の備えだけしておきたい方は、300Plusをチェックしてみましょう。

製品名 Jackery ポータブル電源 300 Plus

容量

288Wh

定格出力

300W/正弦波(最大瞬間出力:600W)

出力ポート数

ACⅹ1、DCⅹ1、USBⅹ3

満充電時間

AC充電:2時間
ソーラー充電:最速3.8時間
シガーアダプター:5.5時間

寿命

リン酸鉄リチウムイオンバッテリー採用
3000サイクル数(10年使える)

保証期間

5年間

災害時の備えを万全にしておこう

建築物の二方向避難は、法律で義務付けられています。

ですが、自分たちが普段使っている建物の避難経路や避難方法を把握していなければ、万が一の事態に対応できない可能性があります。

避難経路だけでなく、災害時の備えについても日々意識し、とっさの判断ができるようにしておきましょう。

停電などの被害に備えて、ポータブル電源を用意しておくこともおすすめです。 改めて災害対策グッズを見直したい方は、Jackeryのポータブル電源もチェックしてみてくださいね。