1.安否確認システムは緊急時の状況確認に欠かせないシステム
地震や津波、台風などの災害が起きると、回線の混雑によって携帯で連絡を取りにくくなります。通話サービスが不調になる緊急時でも従業員の状況確認に役立つのが、安否確認システムです。
システムを使わない電話での安否確認は非常に手間がかかります。電話がつながらなければ二度手間になり、従業員の負荷も増えてしまうでしょう。本来、事業の復旧に割くべきリソースも、安否確認に回ってしまいます。
防災備蓄サービスを運営する「株式会社Laspy」の調査によれば、企業の総務担当者の33.3%が、緊急連絡網や安否確認システムによる防災対策を優先すべきと考えています。
引用:PR TIMES「2024年度 最新版 企業の総務担当者を対象とした防災対策状況調査」
安否確認システムは防災対策に欠かせないシステムとして認知されており、いまや企業防災のトレンドとなっています。
2.安否確認システムの主な機能
安否確認システムには、主に以下の機能が搭載されています。
・安否確認メールの一斉配信
・応答がない人物への再配信
・部署・グループごとの配信
・災害情報の自動配信
・メールへの返信数自動集計
・システムのテスト運用
・従業員の家族安否確認
・災害別の対策配信
メールの一斉配信・再配信機能、災害情報の自動取得、災害の種類ごとに設定した対策メール送信など、災害時の行動を支援する機能が豊富です。次は、これらの機能がもたらすメリットを解説します。
3.安否確認システム導入で得られる4つのメリット
安否確認システムの導入には4つのメリットがあります。
・安否確認の負担を軽減できる
・電話回線がパンクした状況でも安否を確認できる
・BCP(事業継続計画)の情報収集に活かせる
・通常業務を効率化できる
順番にチェックしていきましょう。
●安否確認の負担を軽減できる
まずあげられるメリットは、安否確認作業の負担軽減です。従業員ひとりに電話をかけるだけでも数分かかり、緊急時には冷静な応答も難しくなるでしょう。安否確認の完了記録、応答がない相手への再架電などを手動で進めると、確認ミスが起こりかねません。
また、相手が津波や建物の倒壊から避難している最中に電話をかけてしまうと、避難の妨げになる可能性もあります。安否確認システムがあれば、安否を確認する側とされる側、両方の負担軽減が可能です。
●電話回線がパンクした状況でも安否を確認できる
緊急時には電話回線が混雑し、電話がつながりにくくなります。しかし、安否確認システムは電話回線の影響を受けないため、安心して従業員の安否を確認できます。
電話回線の影響を避ける連絡手段としては、NTTが提供している災害用伝言板サービスなども役立つでしょう。ただし、このサービスは電話番号入力の手間がかかるため、確認に手間と時間がかかります。
災害時に従業員の確実な応答を求めるなら、安否確認システムの導入をおすすめします。
●BCP(事業継続計画)の情報収集に活かせる
BCP(事業継続計画)とは地震・津波などの自然災害や感染症、テロ発生時の緊急事態に、企業の柱である事業をスムーズに復旧するための計画です。
BCPの実行時には最優先の業務を迅速に進めるために、事業復旧にかかる時間や資材、人員、資金などの確認が不可欠。安否確認システムを活用すると稼働できる従業員を正確に確認でき、BCPの実行にかかる時間を短縮できます。
●通常業務を効率化できる
安否確認システムは、日常業務の効率化にも貢献します。メールの一斉配信やアンケートの自動集計機能には、以下のような使用方法があります。
・部署ごとの申し送り事項共有
・社内行事への出欠者数自動集計
・定期報告や緊急性の高い情報の一斉配信
安否確認システムは、このように迅速な情報伝達が可能です。普段から使い慣れておけば、緊急時の安否確認もスムーズに行えるでしょう。
4.おすすめの安否確認システムを7つ紹介
安否確認システムは次の7つがおすすめです。
・セコム安否確認サービス
・安否コール
・安否確認サービス Cuenote
・Yahoo!安否確認サービス
・安否確認サービス2
・ANPIC
・Biz安否確認 / 一斉通報
それぞれの機能を詳しく解説します。
●セコム安否確認サービス
引用:セコム安否確認サービス
【セコム安否確認サービスの主な特徴】
・30日間無料体験可能
・年中無休のサポート体制
・契約社数約9,000社の実績
・BCP(事業継続計画)策定のサポート
セコム安否確認サービスは無料体験を実施すると、11~22万円の初期費用を55,000円に抑えられます。24時間365日のサポート体制を備え、安否確認の応答がない従業員に再送信する機能も完備。BCPの相談も受け付ており、復旧計画の策定や相談をしたい方におすすめです。
参考:セコム安否確認サービス
●安否コール
引用:安否コール
【安否コールの主な特徴】
・1ヶ月の無料体験が可能
・ID・パスワードの入力なし
・地震発生時の稼働実績あり
・快適・シンプルな操作性
安否コールはID・パスワードが不要で、災害時に即使用できるメリットがあります。熊本地震や能登半島地震などの発災時にも問題なく稼働した実績があり、信頼性の高さが強みです。
また、多くの企業がシンプルな操作性を高く評価しています。電子機器の操作に慣れない方におすすめのシステムです。
参考:安否コール
●安否確認サービス Cuenote
【安否確認サービス Cuenoteの主な特徴】
・無料トライアル可能
・15年以上の稼働実績
・メール以外にSMS対応
・救援活動の緊急要請可能
・管理者に伝えず個人アドレスを登録可能
安否確認サービス Cuenoteは15年以上稼働し続け、月間81億通の配信を安定して行う実績を持ちます。SMS(ショートメッセージサービス)に対応し、システム以外の機能でも安否を確認可能です。
個人アドレスを会社に伝えずシステムに登録できるため、社用携帯以外でも緊急時の通知を受け取ることができます。
●Yahoo!安否確認サービス
【Yahoo!安否確認サービスの主な特徴】
・初期費用0円
・10日間無料トライアル
・LINEとの連携オプションあり
・安否確認メールの設問設定が可能
・月間624億件のアクセスに耐えるシステム
Yahoo!安否確認サービスは、初期費用0円・無料トライアル可能と高いコストパフォーマンスを誇ります。安否確認メールの内容を10種類設定し、地震・津波・台風などの災害別に対応した連絡が可能です。
膨大なアクセス数に耐える技術を誇り、システムの負荷対策は万全。安否確認システムを試してみたい方におすすめします。
●安否確認サービス2
【安否確認サービス2の主な特徴】
・初期費用無料
・30日間の無料体験
・多彩なプランから選択
・利用者の99.8%が継続使用
・情報共有できる掲示板を搭載
安否確認サービス2には4つのプランがあり、企業のニーズに合った機能を選択可能です。30日間無料で試せるため、操作性の良し悪しも確認できます。
掲示板はメッセージの送受信だけでなく、画像や動画を添付して被害状況を知らせることも可能。家族のアドレスを登録すると、身内限定のやり取りにも対応します。利用社数は4,000社を超え、幅広い業界で支持される安否確認システムです。
●ANPIC
【安否確認システム ANPICの主な特徴】
・約30日間の無料体験
・利用者数100万人以上
・ID・パスワード不要の快適性
・月額5,130円からの低価格プラン
・安否確認メールの過剰な送信を抑制
ANPICは届いたメールから状況を連絡できるため、IDとパスワードは不要です。最低月額5,130円のプランは50人まで対応し、初期費用も25,000円。初期費用が10万円を超える安否確認システムも多いので、ANICは導入コストを抑えたい方におすすめです。
また、メールの過剰な送信を防止する機能を備え、余震が続いた際の通知を抑制し、災害時の緊急対応に集中できます。
●Biz安否確認 / 一斉通報
引用:Biz安否確認/一斉通報
【Biz安否確認 / 一斉通報の主な特徴】
・2週間の無料体験
・アドレスを3種類登録可能
・24時間対応のヘルプデスク
・最大5回のメール再送信機能
・災害時はID・パスワードの入力不要
Biz安否確認 / 一斉通報はアドレスを複数登録し、社用・個人用携帯の両方で安否を確認できます。災害時に限りIDとパスワードは不要で、避難後の安否確認の手間を省けます。メールで回答された安否情報をCSVデータとしてダウンロードできるため、報告書の作成にも利用可能です。
企業からのシステムに対する信頼性や操作性の評価も高く、災害対策に安心して使用できるシステムです。
参考:Biz安否確認/一斉通報
5.安否確認システムを利用する際の注意事項
安否確認システムを利用する際、3つの注意事項を守らなければなりません。
・安否確認時の連絡方法を統一する
・有事に備えてテストを行っておく
・連絡先情報を定期的に更新する
システムを適切に運用し、緊急時に備えておきましょう。
●安否確認時の連絡方法を統一する
安否確認の時間を省くためには、連絡方法の統一がおすすめです。複数の連絡手段は安否確認の確実性を高めますが、管理者の手間が増えます。たとえば、導入したシステムのメール一斉配信のみで安否を確認すれば、電話や他の防災アプリでの連絡に時間をかけずに済むでしょう。
安否確認を複数の方法で行えば、集計漏れのリスクも大きくなり、結果的に事業復旧が遅れます。企業を迅速に立ち直らせるためにも、安否確認の連絡方法は統一しておきましょう。
●有事に備えてテストを行っておく
有事の際に従業員が安否確認メールを確実に送信できるようにするためには、企業全体でのテストが有効です。一度も機能を使わないままでは緊急時に落ち着いて操作できず、安否確認が遅れてしまいます。連絡先の入力ミスでメールが届かず、安否が確認できないリスクもあるでしょう。
安否確認システムは緊急時の迅速な事業復旧に役立ちますが、機能に慣れるまで時間がかかる方もいます。テスト運用でシステムの使用方法を周知し、安否確認を確実にこなしましょう。
●連絡先情報を定期的に更新する
安否確認システムを運用するうえで、連絡先情報の定期更新は欠かせません。連絡先の登録ミスはメール送受信の不備につながり、緊急時に安否を確認できなくなったり、安否確認に遅れを生じさせる可能性があります。
多くの安否確認システムは、メールの送信可否を常に確認可能です。定期的に登録情報の注意喚起メールを送ることで、連絡先の登録ミスを防げます。
6.ポータブル電源を非常用電源として活用してオフィスと従業員を守ろう
安否確認システムは従業員の確実でスピーディな安否確認を可能にしますが、オフィスの安全性を高めつつ、事業を早期に復旧するためには防災対策も必須です。ここでは、非常用電源として活躍するポータブル電源を紹介します。
ポータブル電源は持ち運び可能なバッテリー装置で、容量と出力面においてモバイルバッテリーに勝ります。参考例として、Jackery(ジャクリ)の小型ポータブル電源と、20,000mAhのモバイルバッテリーを比較しました。
比較項目 |
Jackery ポータブル電源 240 New |
20,000mAhのモバイルバッテリー |
スマホの充電回数 |
約11回 |
約4.5回 |
バッテリー寿命 |
10年以上 |
約1~2年 |
小型のモデルでも、ポータブル電源はモバイルバッテリーに比べて、スマホの充電回数は約2~3倍です。3,000Wh大容量のモデルは、スマホなら126回、ノートPCなら20回もフル充電できます。また、AC電源(コンセント)を搭載し、停電時でもルーターを稼働させてパソコンをインターネットに接続できます。商品の販売・生産データなどを扱う基幹システムを動かし、迅速な事業復旧が可能です。
さらにJackery(ジャクリ)には、巨大地震や大雨の被災地で大活躍した実績があります。災害時に活用された実績が豊富なポータブル電源を導入したい方は、参考にしてください。
参考:令和6年7月25日に山形県で発生した大雨による災害のご支援について
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7.安否確認システムについてよくある質問
安否確認システムについてよくある質問にお答えします。
・無料で試せる安否確認システムは?
・企業コード・ID・パスワードを忘れてしまった場合は?
・安否確認システムを利用する以外に、社員の安否確認にどのような方法がありますか?
・中小企業でも安否確認システムを導入する必要がありますか?
システム周りの疑問を解消し、企業と従業員を守りましょう。
●無料で試せる安否確認システムは?
次の2つの安否確認システムは、20人まで無料で使用できます。
・e安否:10年以上の運用実績が強み
・You-OK:メールの一斉配信が3クリックで可能
ただし、上記2社の無料プランは、有料プランで使える機能が制限されています。自社に合ったシステムを採用したい方は、有料プラン移行前に他のシステムも無料体験し、機能や操作性を比べてみましょう。
参考:e安否
参考:You-OK
●企業コード・ID・パスワードを忘れてしまった場合は?
セキュリティ会社は、基本的にログイン情報を通知できません。例えば、e-革新で企業コード・ID・パスワードを忘れた場合、職場の管理担当部署への連絡が必要です。
入力情報を複数回間違えるとアカウントがロックされてしまい、解除に時間がかかることがあります。ロックされる前に管理部署に連絡し、正確な情報を確かめましょう。
参考:【共通】e-革新にログインする企業コードがわからない。
●安否確認システムを利用する以外に、社員の安否確認にどのような方法がありますか?
安否確認システム以外に社員の安否を確認するなら、次の方法がおすすめです。
・災害用伝言ダイヤル
・災害用伝言板(web171)
・携帯電話会社独自の災害用伝言板
これらは音声や文章の伝言を後で確認する方法で、避難行動の妨げになりません。ただし、災害時のメール自動送信機能はないため、正確かつスピーディに従業員の安否を確かめるなら安否確認システムがおすすめです。
●中小企業でも安否確認システムを導入する必要がありますか?
中小企業こそ安否確認システムが必須です。中小企業は大企業に比べて人手や資金が限られるため、従業員の安否確認が遅れるだけでも事業復旧・継続が難しくなります。
安否確認システムは連絡の手間を省き、事業復旧までの時間を短縮可能です。気象庁によれば、30年以内に南海トラフ地震が70~80%の確率で発生すると想定されています。安否確認システムを導入し、従業員と迅速に連絡できる体制を築きましょう。
まとめ
安否確認システムは、従業員の安否確認と企業の事業復旧をスムーズに進めるための必須ツールです。掲示板やアンケート機能も、通常業務の効率化に役立ちます。
また、地震・津波・台風など、日本ではさまざまな自然災害が発生します。緊急時にオフィスの機器類を動かして事業復旧を早めるためには、非常用電源も不可欠です。
大人数の携帯機器を充電できるポータブル電源を用意し、従業員と企業の将来を守りましょう。