地震が起きたらどうすればいい?地震発生時の対応と備えておきたいものも紹介
地震は予測がしづらく、日本に住んでいる限り避けては通れない自然災害です。実際に地震が発生した際に、とっさに正しい行動を取ることができず怖い思いをしたという方も多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、地震が起きたらするべきとことや取るべき行動、地震防災に備えておきたいもの11選について詳しく解説していきます。ぜひ、最後までご覧ください。
地震が起きたらどのような被害が想定されるのか
過去に発生した大地震及び起きた被害状況
●関東大震災
1923年9月1日、関東地方と首都圏を直撃した関東大震災は、日本史上有数の大地震でした。東京や横浜を含む広い範囲に甚大な被害をもたらしました。
地震はマグニチュード7.9の規模で、震源地は神奈川県中部から房総半島南端まで約100㎞にわたり、地震の影響は東京よりも神奈川県で大きく、2日間にわたり火災が続きました。
この災害により、東京の都心から下町にかけて広範囲が焼失し、横浜や他の地域も壊滅的な被害を受け、死者や行方不明者は10万人以上に上っています。
関東大震災では、焼死が多かったのが特徴でした。これは、当時の東京市(東京15区など)などで木造住宅が密集しており、台風の強風が関東地方に吹き込んで火災が広がったためと考えられています。
●阪神・淡路大震災
1995年1月17日の午前5時46分、日本で初めての大都市直下型地震となる阪神・淡路大震災が発生しました。震源地は淡路市と神戸市の間の海上で、震源の深さは16km、この地震のマグニチュードは7.3であり、震度7に達しました。
産業面では企業の移転や被災による生産量の減少、港湾施設の被害によるコンテナ貨物の他港への転送、高速道路の寸断や復旧工事による交通容量の制約などがあり、神戸だけでなく日本経済にも大きな影響を及ぼしました。
この震災は直接的な被害だけでなく、避難所での生活に伴う精神的な疲労や、子供や高齢者、障害者などへの心理的な影響、学校や教育機能の低下、ライフラインの復旧の遅れや交通渋滞などによる都市機能の低下、雇用の不安定化など、市民生活にさまざまな面で深刻な影響を与えることになりました。
●東日本大震災
東日本大震災とは、2011年3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖で発生したマグニチュード9.0の地震です。
この大災害は、強い揺れと史上最大の津波をもたらし、東北地方および関東地方を中心に広範囲に甚大な被害をもたらしました。また、福島第一原子力発電所の事故により放射性物質の漏れが発生し、深刻な状況となりました。
津波は北海道から沖縄県まで広範囲に観測され、岩手県、宮城県、福島県の東北3県では浸水高が10メートルを超え、最大の遡上高は40.0メートルと、明治三陸沖地震(1896年)を上回る史上最大のものとなりました。
宮城県気仙沼市では、津波によって倒れたタンクの重油が引火し、大規模な火災が発生したほか、停電や断水も広い範囲で発生し、太平洋沿岸の港湾や鉄道、仙台空港なども津波の被害を受け、交通網が寸断されました。
首都圏でも交通機関が運行停止し、多くの人々が帰宅困難となりました。さらに、大きな余震も頻繁に発生し、関東北部や長野県、新潟県などでも土砂崩れや建物の倒壊、断水などの被害が報告されました。
地震が起きたらどのように行動すればよいのか(屋内編)
●家の中にいるときに地震が起きたら
●人がたくさんいる施設にいるときに地震が起きたら
商業施設にいるときに大地震が起きたら、ショーケースや陳列棚から離れ、エレベーターホールや柱の近くに身を寄せるようにしましょう。
ただし、陳列棚が倒れたり、商品が落下したりする危険性があるため、頭を保護するために必ずカバンなどで頭を覆いましょう。
特にスーパーやコンビニでは、買い物かごをヘルメットのように使って頭を守る方法も有効です。ただし、かごを頭にぴったりとかぶるのではなく、少し浮かせて持つようにしましょう。
揺れが収まった後も、慌てて出口に向かうことは避け、従業員の指示に従って行動しましょう。商業施設では停電時でも非常照明が作動するため、落ち着いて待つことができます。
●エレベーター内にいるときに地震が起きたら
エレベーターに乗っている場合、地震が起きたらすぐに全ての階のボタンを押し、最初に停まった階で降りるようにしましょう。
もしエレベーター内で閉じ込められた場合は、非常用呼び出しボタンやインターホンを使って外部に連絡をしましょう。
連絡がつかない場合は、エレベーター内に掲示されているサービス会社や消防署に電話して助けを求めます。
大地震時は多くの人が同じようにエレベーターに閉じ込められる可能性があるため、救助には時間がかかることが予想されます。
一部のエレベーターでは防災用品として水や食料、簡易トイレなどが備えられている場合もあるので、落ち着いて復旧や救助を待ちましょう。
●屋内から避難場所への移動時に心がけること
地震が起きたらするべきこと(屋外編)
●車に乗っているときに地震が起きたら
車を運転中に地震が発生したら、慌ててハンドルを切らずにまずは冷静に行動しましょう。地震の揺れを感じたり、周囲の兆候に異変を感じた場合は、安全な場所への停車を目指します。
急ブレーキや急ハンドルは避け、周囲の車両や障害物に注意しながら、ハザードランプを点灯させながら安全な場所に停車しましょう。路肩や駐車スペースなど、他の車両や交通の妨げにならない場所に停めることが重要です。
また、緊急車両の通行スペースを確保するために、可能な限り左側に寄せて停めることを心掛けます。
揺れが続いている間は、車内の方が比較的安全です。ただし、崖やがけからの落石や土砂崩れの危険がある場合や、建物の崩壊が予想される場合など、車の外がより安全な場合は外に避難しましょう。
揺れが収まった後も、外の状況を確認せずに車外に出ることは避け、ラジオやスマホなどを通じて情報を収集します。
大地震の後は停電が発生し、街灯や信号が機能しなくなる可能性があります。揺れが収まった後、信号の動作が停止している場合は、十分な注意を払って周囲の状況を確認し、安全に車を運転しましょう。
なお、高速道路は大地震の際には通行止めになることがあります。もし高速道路上で地震に遭遇した場合は、パトカーなどの指示に従って停車し、ラジオを通じて情報を収集しましょう。
後続車に追突される事故を避けるために、車内や路肩にとどまらず、安全な場所に避難することが重要です。また、長いトンネルの場合は、定められた非常口からの避難が求められることもあります。
●地下鉄や電車に乗っているときに地震が起きたら
地下鉄や電車に乗っている際に地震が起きたら、まずは落ち着いて行動します。
つり革や手すりにしっかりとつかまり、安定した姿勢を保ちましょう。車内アナウンスや車掌の指示に注目し、適切な行動を取ります。ドア付近や柱のそばに移動することで安定性を高めることができます。
緊急停車した場合、車内で待機し、避難が必要な場合は指示に従って迅速に行動します。ただし、ホームやトンネル内に避難することは避け、列車の中にとどまります。地震が収まった後は、再度運行が始まるまで待ちましょう。情報を確認するためにラジオやスマホを利用し、安全な移動手段を選択します。
周囲の人々と協力し合い、混乱を避けるために冷静な判断を心がけましょう。また、揺れが収まった後は、運行再開や交通情報を確認しながら安全なルートを選んで移動しましょう。
安全な場所への避難や必要な支援を求める際には、関係者や救助チームの指示に従って行動します。
●山にいるときに地震が起きたら
地震による土砂災害は通常のものよりも規模が大きくなる傾向があります。土砂崩れや地割れによって道路が寸断され、大きな岩や土砂が落下することで人や車両に危険が及びます。
地震を感じたら、以下のポイントに注意しながら下山を開始しましょう。
①頑丈な木などにしっかりとつかまり、低い姿勢で揺れが収まるのを待つ。
②急斜面や崖など危険な場所から素早く離れる。
土石流は谷筋に沿って流れるため、谷筋と直角になる方向に避難することが重要です。これらのポイントを意識しながら、冷静に行動しましょう。
●海や河口の近くにいるときに地震が起きたら
海岸沿いで地震が発生した場合、津波に最も警戒が必要です。
揺れが小さい場合でも、大きな津波に襲われる可能性があるため、迅速に避難することが重要です。津波の前兆として潮が引くことがあると言われていますが、必ずしも潮が引くわけではありません。海へ行って津波の有無を確かめることは危険ですので絶対に避けましょう。
また、津波は複数回押し寄せたり、波が重なって高くなることもありますので、最初の波が最大の高さとは限りません。津波注意報や警報が解除されるまで、避難場所にとどまることが重要です。
●地震発生時屋外にいて帰宅困難になった場合はどうすればいいのか
災害時には交通機関が麻痺しており、帰宅ができない状況になることがありますが、この段階では不用意な移動は避けるべきです。
大勢の人々が同時に帰宅を試みると、駅周辺や道路で大混雑が生じる可能性があり、混雑した状況では集団転倒などの危険性も高まります。
また、混雑によって緊急車両が進めなくなり、人命救助の妨げにもなる可能性があります。
最初にすべきは、外出中に地震や台風など災害が発生した場合には自身の安全を確保し、スマホを活用して正確な災害情報や交通情報を入手することです。
自宅に帰ることができない場合は、安全な場所に避難し、指示や案内に従いましょう。避難所や一時滞在施設などが設置されている場合は、その利用を検討することも重要です。
揺れがおさまった直後にするべきこと
家の中にいて揺れがおさまった直後は、まずは自分の身の回りを確認しましょう。
足元に割れたガラスや尖ったものなど、足を傷つけるものがないかどうかを確認します。可能であればスリッパを履いておきましょう。その後に火元が消えているかを確認し、ブレーカーを落としましょう。
外へ避難するときに慌てて飛び出すと大変危険です。安全が確保できたら、スニーカーなどの歩きやすい靴を履いて落ち着いて外へ脱出しましょう。
屋外で地震が発生した場合は、落下物や倒壊する建物に気をつけながら、広い場所である公園や平地駐車場などに避難しましょう。もし近くに避難できる場所がない場合は、比較的耐震性が高いと思われる新しい鉄筋コンクリートの建物の中に避難してください。
地震に備えて用意しておくべき防災グッズ11選
●食料
地震が起きたらライフラインが中断する可能性があるため、備蓄食料などを常備しておくことが重要です。
特別なものを準備する必要はありません。むしろ、日常生活で利用している食品などを備えることが有益です。
食料や生活必需品の備蓄は、家族の人数に合わせて用意することが基本です。災害発生時には、最低でも1週間分の備蓄が望ましいとされています。
日常的に消費期限の近い食品を消費することや、非常時に備えた非常食を用意することで、適切な備蓄が可能となります。
災害時に備えるための備蓄は、家族の安全と安心を守るために欠かせない対策です。
●水
飲料水の備蓄だけでなく、生活用水も重要です。トイレの使用や衛生目的に必要ですので、日頃からペットボトルなどに水道水を備蓄しておくことが大切です。
飲料水は、1人あたり1日につき3リットルを目安に備蓄しておくことが望ましいです。非常時には飲料水として使用します。
地震が起きたら水道が止まってしまうことが考えられるため、水の確保と飲料水・生活用水の備蓄は非常に重要です。
●簡易トイレ
地震が起きたら、便器の破損や家屋の倒壊、断水などの影響でトイレが使用できなくなる可能性があります。そのため、簡易トイレの準備が重要です。簡易トイレは水を必要とせず、どこでも簡単に使えるため、災害時におけるトイレ問題を解決する一助となります。
排泄は日常的な生理現象ですが、食事とは異なり、特に意識することが少ないかもしれません。そのため、防災備蓄においては非常食に重点を置くケースが多いですが、トイレが使えなくなる状況も考慮して備えることが重要です。
避難所にはトイレが設置されていますが、倒壊や断水の影響で使用できない場合もあります。
以上のことから、トイレの使用が困難となる状況を考慮し、簡易トイレの準備をしておきましょう。
●救急箱
地震発生後の行動によってはケガのリスクがあるため、消毒薬と共にガーゼや絆創膏なども用意するのがよいでしょう。
特に最近では、手指の消毒液の使用が増えており、肌荒れが起こりやすい傾向がありますので、保護対策を行うための薬やハンドクリームを準備しておくと安心です。
●懐中電灯
大きな地震が発生すると家具やガラスが倒れ、夜間の避難であれば視界不良に直面します。このような状況下で懐中電灯が役立ちます。懐中電灯は周囲を照らすことができるため、危険物を避けながら避難することができます。
避難時には使いやすい形状の防災ライトを選ぶことが重要です。例えば、両手が空くヘッドライト型、寝室からの脱出には小型で軽量な懐中電灯、室内を照らしたい場合にはランタン型など、使用シーンに応じて適切な形状を選びましょう。
さらに、懐中電灯の中にはスマホの充電機能やラジオなどの付加機能が備わっているものもあります。情報収集にスマホが必要な場合や通信が不安定な状況でも、付加機能があれば安心です。
●ポータブル電源
ポータブル電源とは、様々な電子機器や生活家電に給電できるコンパクトで持ち運びできるポータブル蓄電池のことです。地震が発生した後に停電が起きた場合は、ポータブル電源が非常用電源として非常にお役立ちます。
大容量ポータブル電源を持てば、冷蔵庫やテレビ、炊飯器などへの電力供給が可能となります。特に寒冷な環境では、電気毛布や熱風送風機などへの迅速な電力供給ができるので、災害時停電が起きた場合でも、普段通りに生活を送れます。
さらに、懐中電灯、スマートフォン、ラップトップ、プロジェクター、カメラなどのさまざまな充電ができます。
Jackeryポータブル電源は、ACコンセントからの充電だけではなく、ソーラーパネルでの充電も対応できるので、地震や台風などの災害で長時間に停電しても太陽光さえあれば、ポータブル電源の電源切れがございません。
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●カセットコンロとカセットガス
通常の日常生活では電気が復旧すれば調理に支障はありませんが、大規模な災害時には電力供給が長期間にわたって途絶える可能性があります。そのような状況で、カセットコンロの備蓄は非常に重要です。
災害時にはガスが停止し、ガス調理や暖房器具の利用、お風呂の沸かしもできなくなります。しかし、カセットコンロはカセットガスさえ用意しておけば、ライフラインが遮断されても問題なく調理が可能です。そのため、災害時においては頼りになる防災グッズと言えるでしょう。
●ラジオ
停電が発生しても利用できるのが充電式や電池式のラジオです。テレビは停電によって視聴できなくなりますが、ラジオは非常電源が備えられているため、停電時でも情報を受信することができます。
インターネットが使用できなくなるような大規模な災害では、ラジオは信頼できる情報源となります。ラジオ放送局はリスナーからの情報を活用して番組を制作しており、災害時には必要な情報を迅速に提供することができます。
災害発生後の復旧状況や施設の再開状況、手続き方法、ゴミ収集など、生活に関わる重要な情報を入手することができ、ラジオは常に手元にあるため、いつでもどこでも情報を聞くことができます。
そのため、停電や通信の途絶によってインターネットが使えなくなった場合でも、ラジオを活用することで必要な情報を手に入れることができます。災害時にはラジオが頼りとなる存在となります。
●現金
災害時に備えて現金を保管する際には、小銭や千円札を多めに用意することがおすすめです。1万円札や五千円札を使って小額の買い物をする場合、おつりが大きくなり店舗での支払いが難しくなる可能性があります。
また、水害などでお札が濡れてしまい使用できなくなるリスクも考えましょう。銀行での交換は可能ですが、すぐに行けない場合もあります。防水性のあるジッパー付きのビニール袋に入れると安心です。さらに、小銭の中に500円玉なども混ぜて保管すると便利です。
100円ショップで入手できるプラスチック製のコインケースを使用すると、10円玉や100円玉を種類別に整理でき、枚数を把握しやすくなります。
ただし、大量の現金を保管する場合は、盗難に遭わないよう家族以外には見つけにくい場所に保管するなど、注意が必要です。安全を考慮した上で現金を保管しましょう。
●着替え
緊急避難時には「1日分程度」の必需品を持ち出し、避難所生活では「3日から1週間程度」の着替えを用意することが重要です。
災害発生後、自宅にすぐに戻ることができない場合も考えられるため、衛生的な環境を保つためには、緊急避難用の荷物には十分な下着を用意することが安心です。
もし、避難上生活用に1週間分の着替えを用意する際に、下着の枚数が不足する可能性もあるかもしれません。
その場合は、洗濯グッズを一緒に準備するとよいでしょう。おりものシートを利用して同じ下着を数日間使用したり、100円ショップで使い捨てのパンツを手に入れたりすることも考えられます。
また、避難所では支援物資の配布や救助活動など、活動的な場面もありますので、動きやすい衣類の準備も忘れずに行いましょう。
ジャージは洗濯後の乾燥が早く、寝る際にも適していますのでおすすめです。また、汚れが目立ちにくい黒や紺色のジャージであればなおよいでしょう。
まとめ
地震には、地震などの直接的な要因によって引き起こされる災害を指す一時災害と、最初に発生した災害が引き金となって別の災害が発生することを指す二次災害と呼ばれる災害があります。
地震が起きたら屋内にいた場合も、屋外にいた場合も、まずは慌てずに身の安全を確保しましょう。人が多ければ多いほど災害時はパニックになりますが、落ち着いて情報を集め、状況に合わせた行動を取るようにしましょう。
ご参考になるサイト:ITOITO-STYLE
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