1.台風に強い家はズバリ「鉄筋コンクリート造」
日本建築で使われている素材は、大きく分けると「木造住宅」・「鉄骨造住宅」・「鉄筋コンクリート住宅」の3種類が主流です。その中で“台風に強い家”と言えば、ズバリ「鉄筋コンクリート造」の住宅でしょう。その理由も含めて、“台風に強い家”についてくわしく解説します。
●鉄筋コンクリート造の家が強い理由
鉄筋コンクリートでつくられている家は、「PCパネル」という素材でつくられています。この「PCパネル」はとにかく固く頑丈で、長持ちする特性を持っていて、一般的に使用されているコンクリートよりも約2倍の強度を持っています。台風によって起こる住宅被害は、
・防風による屋根や外壁の破損
・飛来物による外壁や窓ガラスの破損
があげられます。PCパネルは海底トンネルや橋の建設など絶対に壊れてはいけない建造物に使われていることが多い素材である分、その強度は折り紙つきです。
●木造建築でも台風に強い構造の家にできる
では、木造建築は台風に弱いのか?という声を耳にしますが、実はそうでもありません。取り扱う木材や工法によっては台風に耐えられる家をつくることができます。
「巻き上げる力」
「引き抜き力」
暴風によって引き起こされるこの2つの力に耐える構造にすることで、木造建築でも“台風に強い家”にできます。具体的な対策は、
・「屋根の瓦施工/ルーフィング」を強化し”巻き上げる力”に耐え飛ばない屋根にする
・「ハリケーンタイ」を使用しがっちり補強する
・「耐風圧シャッター」を取り付けて“引き抜く力“に耐える
この3つの施工方法を用いれば、木造建築でも“台風に強い家”にすることができます。
2.台風に強い家にするための方法
“台風に強い家”を考える場合、台風による被害は“暴風”による被害だけでなく、様々な関連する被害から家を守る手立てが必要です。ここでは台風がもたらす3つの被害から、台風に強い家づくりについて考えていきます。
●台風災害「風害」「水害」「高潮害」への対策が必要
台風がもたらす被害は大きく分けて3つあります。
・「風害」:風速20m/sを超える風がもたらす被害
・「水害」:激しい雨がもたらす被害
・「高潮害」:海面の上昇が引き起こす被害
これら3つの被害を想定した台風対策が、本当の意味での“台風に強い家”と呼べるのではないでしょうか。以下に、それぞれの被害に対する対策をまとめていますので、参考にしてください。
●風害対策の手段
風速20mを超えると、看板の落下や飛来物の危険性が出てくると言われています。また、風速30mを超えればトラックの転倒や電柱、街灯の倒壊が発生すると言われており、大型台風の接近ともなれば、それ以上の被害が出る危険性も考えておかなければなりません。
たとえば、2022年(令和4年)9月14日、小笠原近海で発生した台風14号は、鹿児島県屋久島で観測された最大瞬間風速は、50.9m/sを記録しました。このような大型台風が襲来した場合では、飛来物が家に飛んでくる可能性が高く、屋根材が剥がれたりすることもあるため、外壁や屋根の補強の必要性があります。考えられる対策は以下の4つです。
・風の影響を受けづらい陸屋根にする
・強風に耐えられる屋根材を利用する
・凹凸が少なく四角形に近い形にする
・窓にシャッターを取り付ける
これらの対策を十分に取ることで、風害に強い家づくりが可能です。
●水害対策の手段
水害は風と共に大きな被害を引き起こします。大雨による急激な水位の増加は、河川の氾濫や土砂災害につながる可能性があります。河川の氾濫が発生した場合は、家への影響は浸水するケースでしょう。大雨によって外壁などから室内に雨が入ってくる場合も想定しておかなければなりません。これらを踏まえたうえで、水害への対策は、
・1階部分を駐車場にする
・防水性能のある外壁を使用する
・ハザードマップを参照して家を建てる土地を選ぶ
などがあげられます。1階部分を駐車場にしておけば、地域全体が浸水被害にあっても2階から3階の居住スペースは浸水を免れる可能性が高く、被害を最小限に抑えることができます。
●高潮害対策の手段
台風がもたらす気圧の差によって引き起こされる高潮害は、沿岸部や低地を浸水させる被害をもたらします。また、市街地や道路が冠水すると、移動(避難)の妨げや停電といったライフラインを寸断させます。家に対する対策は、浸水への対策「水害対策」と同じですが、
・速やかに避難できる防災リュックの備え
・停電による電気が使えない状態への備え
・ライフラインが寸断されたときの備蓄の備え
など、災害に対する“備え”が重要になってきます。高潮害での被害は広がるのが早いため、沿岸部や低地にお住まいの方は、警報が鳴ったら速やかに行動できる備えをしておくことが大切です。
3.台風に強い家に使われている素材
ここでは“台風に強い家”に使われている素材についてくわしく解説します。注文住宅で家を建てることを予定されている方や、これから家を購入する予定のある方は、購入する建物がどのような素材で造られているのかを知り、宅建選びの参考にもなるかと思いますので、知っておくと便利です。
●衝撃に強い「外壁タイル」
台風の被害から家を守るために、外壁に求められる性能は、台風による飛来物が飛んできた時に外壁損傷を最小限に抑えられることです。「外壁タイル」はタイルを貼る際に、一般的に外壁材として使用される強度のサイディングを下地として弾性接着剤でタイルを貼っています。
よって、厚く強い二重の外壁となって飛来物による外壁破壊の心配を最小限に抑えることが可能です。
●外に外れない「耐風圧シャッター」
「耐風圧シャッター」は、樹木が根こそぎ倒れるような強風2000Pa(風圧)でも耐えられる仕様になっています。従来の住宅用サッシの性能では、1200Pa(風圧)を想定した耐性を持つシャッターが使用されているのが基本です。大型台風が“引き抜く力”に負けて両端のレールから外れてしまう被害を防ぎ、家を台風の被害から守ってくれます。
●雨水の侵入を防ぐ「高性能サッシ」
窓ガラスが割れると、室内に強風が吹きこみ“巻き上げる力”によって屋根が飛ばされてしまう被害が発生する可能性があります。そのため、強風に強く雨水の侵入を許さない「高性能サッシ」が使われている家が台風に強い家となります。また、窓ガラスが割れない工夫
・テープを使ってガラスを補強する
・耐貫通性が高い合わせガラスに変更する
・強化ガラスを採用する
を施しておくのもより強固な台風対策となります。「高性能サッシ」とともに導入を検討するのも良いですね。
●飛ばない屋根「防災瓦」
台風による強風で“巻き上げる力”に対抗するためには、とにかく「飛ばない屋根」にすることが重要です。そのために必要なことは、
・防犯瓦を使用する
・瓦やスレートなどの屋根材の下に葺く(ふく)防水建材「ルーフィング」を採用する
ことです。基準風速38m/sに対応した防災瓦とレベルの高いルーフィングを採用しているかはチェックしておきましょう。
4.台風に強い家に住む以外にも必要な備えとは
台風対策として考えるなら、“台風に強い家”に住むこと以外に防災面にも意識を向けて、備えることも大切です。ここでは防災による備えに必要なものをくわしくまとめています。
●台風による停電への備え
台風による災害では、浸水や冠水、土砂崩れによって引き起こされる停電への備えが大切です。土砂崩れによって道路が分断され孤立してしまうケースも珍しくない中で、もし電柱や電線が破壊され長期的な停電となってしまったときのために、予備電源を確保しておきましょう。
予備電源として考えるなら、手軽に家に置いておけるポータブル電源が最適です。ポータブル電源とは、モバイルバッテリーよりも容量が大きく、家庭用コンセントを含めた様々な電気機器に電力を供給できます。その中でもJackery(ジャクリ)製品なら一般社団法人防災安全協会の認定を受けているので、高い安全性と充実したアフターサービスで安心して利用できます。
・累計400万台以上の販売実績があり世界的に有名なメーカー
・AC100VはもちろんUSB-A,USB-Cなどの幅広い家電に電力供給ができる
・ソーラーパネルとセットになった製品もあり太陽光から自己発電も可能
・EPS機能やパススルー機能など防災面で役立つ性能を持ち合わせた高品質な製品
などの特徴を持っているため、台風による停電への備えに万全な対策を取ることができます。もし避難が必要になったときにも手軽に持ち出すことも可能なので、一家に一台あると便利な予備電源です。Jackery(ジャクリ)についてくわしく知りたい方は以下のリンクから公式サイトをご覧ください。「Jackery(ジャクリ)公式サイトはこちらへ」
●台風による土砂崩れで孤立したときの備え
もし、台風による土砂崩れによって道路が分断され、孤立してしまった場合、家にある備蓄があればライフラインが復旧する数日を耐え忍ぶことができます。台風などによる災害への備えとして必要なのが備蓄による備えです。備蓄するものとしては、
・日用品の備蓄による備え
・長期保存できる食料品の備え
・飲料水や生活するうえで必要となる水の備え
などがあげられます。目安は“家族が最低3日間は過ごせるくらいの備蓄”です。ライフライン(電気・水道・ガス)が使えなくなった場合を想定し、熱源(カセットボンベ)なども含めた備えをしておくと安心できます。
●避難が必要になったときの備え
もし、避難勧告が出され家族の命に危険が迫るような状況に陥った場合は速やかに最寄りの避難所に移動できるよう、「非常持ち出し袋」・「防災リュック」の備えが必要になってきます。
持っていくものとしては、
・飲料水・すぐに食べられる非常食
・衣類・ひざかけ・軍手
・衛生用品(常備薬や救急セット、簡単な洗面用具、生理用品など)
・携帯トイレ・トイレットペーパー
・モバイルバッテリー
・現金
などを「非常持ち出し袋」・「防災リュック」に入れておきましょう。大きさや重さを考えて、持ち運びやすさを考えた重さに留めておくことがポイントです。これを玄関など持ち出しやすい場所においておけば、いざというときにサッと持ち出せて避難もスムーズになります。
5.台風被害に合ったときのために火災保険の補償内容をチェック
“台風に強い家”を手に入れたとしても、被害を受けてしまったときのために保険に入っておくとより安心です。台風災害の場合、火災保険が使用できる場合があります。住宅を購入する際に、恐らく火災保険に加入している方も多いはず。
でも、あまり詳しく詳細を理解していないと損をする場合もあるので、現在火災保険に加入している方は、事前に詳細を確認しておくことも大切です。ここでは具体的に火災保険の補償内容をくわしく解説します。
●風災補償
台風を含む竜巻、旋風、暴風などの風による損害を受けた際に使用する補償です。
・強風で屋根の瓦が飛んでしまった
・台風による飛来物で負傷してしまった
などの場合に保証が受けられます。強い風を伴う台風被害では多く見られる被害は風害にあたるため、火災保険にこの保証が付属している場合は適用されることが多いです。火災保険によって風采保障のランクもあるので、よく確認しておきましょう。
●水災補償
台風の影響による豪雨や、洪水、土砂崩れによる被害を受けた場合に受けられるのが水害補償です。たとえば、
・土石流に家屋が飲み込まれてしまった
・豪雨の影響で家財や家屋に被害が出てしまった
などの被害であれば、この保証が適用されることが多いです。自分が住んでいる地域の水害例を参考に補償内容を決めると良いでしょう。
●落雷補償
主に落雷で屋根に穴が空いてしまった場合に使用できるのが落雷補償です。この補償では、家財が補償対象になっているかがポイントとなってきます。
・落雷によって電化製品が故障してしまった
・落ちた雷から飛び火して火災になった
などの内容も補償対象として認めてもらえるように、適用範囲は家財も含めるようにしておいた方が安心です。
まとめ:台風に強い家と備えで災害対策を万全に
今回の記事では、“台風に強い家“とはどんな家なのか。その構造や使用される素材についてくわしくまとめました。
・台風に強い家はズバリ「鉄筋コンクリート造」
・台風に強い家にするための方法
・台風に強い家に使われている素材
そのほかにも、台風災害のための「備え」にもついても一緒にまとめているので、台風災害にたいしてより強固な対策が取れるでしょう。対策と備えを万全にして、近年の多発する自然災害への意識を持っていただけると幸いです。