災害時にドローンが活躍する6つの場面!活用事例や特例・必要な資格も紹介

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災害発生時、素早い情報収集と支援が求められる中、ドローンは被災地で大活躍します。ドローンが優れている点として挙げられるのは、高い機動力と機能性です。人が立ち入れない危険な場所を捜索したり、物資を効率的に届けたりと、ドローンは災害時に欠かせません。

 

そこで本記事では、災害時にドローンが活躍する場面について解説します。災害時にドローンを活用するメリット・デメリットや、ドローンを活用した事例も掲載しているので、大規模災害時にドローンを活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1.ドローンの災害時に適用される特例

 

ドローンを飛行する際には、航空法で定められる飛行禁止空域や飛行方法を遵守しなければなりません。国土交通大臣の許可を得ずに規制事項を行った場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。 

しかし、災害時に都道府県警察、国・地方公共団体から依頼を受けた者であれば、ドローンの上記の規制事項を申請なしで行えます。人命の捜索、救助は緊急性が高く、迅速化を図るために災害時のみ特例が定められているのです。 

ただし、都道府県警察、国・地方公共団体から依頼を受けていたとしても、安全確保の責務が解除されるわけではありません。人・物件の安全が損なわれないように注意しながら、ドローンを飛行させる必要があります。

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2.災害時にドローンが活躍する6つの場面


災害時にドローンが活躍する6つの場面

災害が発生した際、人命救助や物資輸送には迅速さと正確さが求められます。小回りの利くドローンであれば、人ではできない捜索・救助活動が可能です。災害時にドローンが活躍する場面を詳しく見ていきましょう。

救援物資を輸送する

ドローンは、災害時の救援物資を飛散者の元に輸送する際に活躍します。大規模な災害が起きると、地割れや洪水などで陸路が通行不能になったり、ヘリコプターの離着陸が困難であったりと、人の手で救援物資を運搬するのが困難を極めます。 

小型のドローンであれば、陸路を使わずに狭い場所でも通過できるので、救援物資の効率的な輸送が可能です。負傷者の元に薬や血液を迅速に運搬できれば、助かる命も増えるでしょう。近年では、積載量が最大200㎏もあるドローンの開発が進められています。

被害状況を調査する

ドローンを使用すれば、災害時に被害状況を迅速に把握できます。被害状況が分からなければ、救急活動に必要な人・機材などのリソースを確保できません。ドローンは準備するまでの時間をほとんど要しない上に、狭い場所や危険な場所でも調査できる点が魅力です。 

上空に離陸すれば、広範囲の情報を素早く収集できます。被害状況がスムーズに把握できれば、被災者に安全な場所を共有し、避難する際の危険を未然に回避できるでしょう。

行方不明者を捜索する

地震や台風などの大規模災害が起きた際には、行方不明者の捜索にドローンが活躍します。ドローンに装着したカメラやセンサーで映像や点群データを取得すれば、人の有無を解析できます。 

さらに、赤外線サーモカメラが搭載されたドローンを使用すると、人から放出される熱を視覚化して、人の目にはできない捜索が可能です。 

避難誘導を行う

ドローンは、行方不明者の捜索だけでなく、避難誘導も行えます。機動力に優れたドローンであれば、人が行けない危険な場所にも迅速に到達し、安全な場所へと誘導できます。 

ドローンにスピーカーを搭載すれば、音声アナウンスで正確な情報を被災者に伝えることも可能です。視界の悪い夜間に災害が起きた場合でも、装着したLEDライトで辺りを照らして安全を確保しながら、避難誘導を行います。

電波を中継する

電波が届かない場所でも、ドローンで電波を中継すれば、臨時でサービスエリアを構築できます。スマホに搭載されたGPSから位置情報を特定できるようになり、行方不明者の捜索にも役立つでしょう。 

ソフトバンク株式会社は、国立大学法人東京工業大学と共同で「有線給電ドローン無線中継システム」を開発しました(※1)。本システムは、ドローンで電波を中継することで、災害によって障害が起きたサービスエリアを迅速に復旧します。 

※1参考:ソフトバンク株式会社「有線給電ドローン無線中継システムの運用を開始」

被災者を救助する

ドローンは、被災者の捜索や誘導以外に救助の役割も担います。火災が起きている場所に消火剤を散布したり、水害時にロープや浮き輪を要救助者に届けたりと、人の手を使うよりも迅速な救助活動が可能です。 

また、救助者が火災現場や増水している河川などの危険な場所に入って救助を行う必要がありません。救助者の命を守るためにも、ドローンの活用は重要です。

3.災害時にドローンを活用するメリット

 

災害時、従来の手段では難しいことがドローンでは実現します。時間やコストといった資源も最小限に抑えられるため、まさに一石二鳥です。災害時にドローンを活用するメリットについて、詳しく見ていきましょう。

危険な場所でも使用できる

ドローンは、災害によって倒壊した建物や、地滑り・洪水・火災が発生した区域など、救援者が直接立ち入ることが難しい危険な場所でも飛行できます。 

通常、ヘリコプターで救助を行う場合は、複数人が搭乗して危険な場所に入る必要があるため、危険と隣り合わせです。救援者の代わりにドローンを使用すれば、救援者が危険に晒されるリスクを最小限に抑えられます。

閉鎖空間でも使用できる

ドローンは、天井裏や倒壊した家屋の中、水道管などの人が立ち入れない閉鎖空間でも使用できます。ドローンにカメラやセンサーを搭載すれば、取得した情報から被害状況の把握や危険因子の特定が可能になるでしょう。情報収集がより広範囲に対して行えるようになるので、二次被害の軽減につながります。

人の目では難しい作業もできる

ドローンは、煙や暗闇で視界が悪いエリアや特定の物を視認しづらい広範囲など、人の目では難しい状況でも作業が行えます。赤外線カメラを搭載したドローンを使えば、物体から放出される熱の視覚化が可能です。人力では時間がかかる現場でも、ドローンで空撮すれば、広範囲から瞬時に要救助者を見つけ出せます。

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初動を迅速に対応できる

災害時には、初動の早さが被害の拡大を抑える鍵になると言っても過言ではありません。ドローンは、他の有人航空機と比べて迅速に現場へと向かえます。ヘリコプターの場合は、要請から出勤まで時間を要しますが、ドローンの場合は準備にほとんど時間を要しません。 

また、ヘリコプターは小回りが利きにくいので、着陸できる場所も限られます。一方のドローンは、捜索や救助が必要な場所に対して最短距離で向かい、到着したら即座に作業を始められます。結果的に人命救助に大きく貢献し、被害を最小限に抑えられるでしょう。

コストを最小限に抑えられる

小型かつ無人航空機であるドローンは、他の有人飛行機と比較してコストを大幅に削減できます。ヘリコプターであれば、本体価格や維持費、メンテナンス費用、操縦者の育成費用などに多くの運用コストがかかり、導入障壁は高くなりがちです。一方のドローンはコストが安いため、複数台を導入でき、広範囲の被災地をカバーできるでしょう。

4.災害時にドローンを活用するデメリット

 

災害時にドローンを活用するデメリット

災害時に大活躍するドローンですが、メリットばかりではありません。有人飛行機の方が優れている点も多々あるので、状況に応じた使い分けが重要です。災害時にドローンを活用するデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

天候・通信状況に影響される

強風や豪雨、雷などの悪天候下では、ドローンの飛行が制限され、精度や安全性が低下します。最悪の場合、墜落によって二次被害の危険性も高まります。国土交通省によると、風速5m/s以上でのドローンの飛行は、推奨されていません(※2)。 

また、ドローンは遠隔で操作しているので、通信状況の影響を大いに受けます。電波が悪い環境で操縦すると、墜落するリスクも高まり危険です。 

※2参考:国土交通省「無人航空機飛行マニュアル」

操縦士の育成が必要になる

災害時にドローンを有効活用するには、操縦士の育成が欠かせません。操縦スキルが乏しい操縦者がドローンを飛行させると、墜落や衝突によって二次被害を生む恐れがあります。ドローン操縦士の人員確保と育成には、ある程度のコストが必要になるでしょう。

長時間飛行するのが難しい

一般的に販売されているドローンの飛行時間は、20〜30分程度です。急加速や動きの多い飛行、強い風にあおられながらの飛行などでは、さらに飛行時間は短くなります。万が一、飛行中にバッテリー切れを起こすと、墜落して人に危害が加わるリスクもあるでしょう。

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積載可能荷重が少ない

一般的に販売されているドローンの積載可能荷重は、それほど多くありません。災害時に救援物資を小分けにして、複数回運搬せざるを得ない状況も想定されます。時間と労力がかかるため、場合によっては有人飛行機の方が迅速に運搬できる可能性があります。

5.災害時のドローン活用事例3選

 

ドローンは近年、災害現場でも活用されるようになりました。導入実績は決して多くありませんが、人命救助に大きく貢献しています。近年発生した災害時にドローンを活用した事例は、以下のとおりです。

2017年|九州北部豪雨

2017年7月に発生した九州北部豪雨では、ドローンの空撮によって土砂災害の状況調査や現場までのルート確保が行われました(※3)。内閣府の要請によって航空法の特例措置が適用されたため、目視外飛行が実施されています。 

※3参考:ACSL「九州北部の豪雨災害、東峰村にてACSLドローンによる現状調査を実施」

2020年|長野県豪雨

2020年7月に発生した長野県豪雨では、土砂崩れのあった地域でドローンによる状況調査が行われました(※4)。電波途絶状況の中で、動画と静止画による状況把握が実現しています。調査では、最大約3.5㎞の長距離を往復して調査が行われました。 

※4参考:ACSL「VFRとACSLが長野県豪雨の被害状況調査にドローンを活用」

2024年|能登半島地震

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、土砂崩れの空撮や建造物内の被害状況調査、避難所への配送でドローンが活躍しました(※5)。2月14日以降は捜索救助の特例が適用され、航空法の許可なしでドローンの飛行が行われています。 

※5参考:国土交通省「能登半島地震でのドローン活用について」

6.災害時のドローン活用に役立つ「ポータブル電源」

 

災害時のドローン活用に役立つ「ポータブル電源」

災害時のドローン飛行で課題となるのは、飛行時間の短さです。そこでポータブル電源があれば、長時間の飛行が可能になります。ポータブル電源とは、内部に大量の電気を蓄え、コンセントが使えない場所でも電化製品に給電できる機器です。 

ドローンの飛行時にポータブル電源を常備しておくメリットを紹介します。 

ドローンを複数回満充電にして、長時間の飛行を可能にする

ドローンに搭載したカメラや操縦するためのスマホを常に満充電にしておける

屋外でもモニターを稼働し、ドローンが撮影した映像を大画面で確認できる

冷暖房機器を稼働し、快適な気温でドローンの操縦が行える 

また、ポータブル電源はドローンの飛行以外に、自宅での停電対策にも活用できます。大規模な災害が起きると、3日以上に及ぶ停電が発生する可能性があります。停電中も電気の供給を継続するためには、ポータブル電源の備蓄が欠かせません。 

災害時に使用するポータブル電源は、創業から13年間で世界販売台数500万台を突破した実績を誇るJackery(ジャクリ)製品がおすすめです。耐久性と放熱性に優れた素材を採用し、振動・衝撃・落下にも耐える性能を有します。 

防災製品等推奨品認証やフェーズフリー認証といった防災に関する認証を取得しているので、災害時に活躍することは間違いありません。純正のソーラーパネルを使えば、ドローンを操縦しながら、太陽光発電でポータブル電源を充電できます。

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7.災害時のドローン活用に関するよくある質問

 

最後に、災害時のドローン活用に関するよくある質問を紹介します。ドローンには、航空法や飛行マニュアルによって厳しい規制が設けられているため、災害時に許可取りが必要なのか気になる方も多いでしょう。ドローン減災士の資格についても有用性を解説します。

災害時にドローンを活用するためには許可が必要?

災害時には、ドローンの飛行が禁止されている空域や禁止されている飛行方法での飛行が無許可で行える特例が適用されます。特例が適用されるのは、以下の適用者です。 

都道府県警察、国、地方公共団体

都道府県警察、国、地方公共団体から依頼を受けた者 

国や地方公共団体などから依頼を受けていない事業者には適用されないので、航空法や飛行マニュアルで定められた規制の範囲内で活用しましょう。

災害時に役立つ資格「ドローン減災士」とは?

ドローン減災士とは、災害に関する幅広い知識やドローンの専門的な知識、操縦の技術を習得できる資格です。ドローン減災士の資格を持っていれば、災害時にドローンを使った減災活動や被災者・被災地への支援などが行えます。ドローンの操縦技術を証明できる資格なので、災害時に特例が適用される可能性も高まるでしょう。

まとめ

 

機動力と機能性に優れたドローンは、災害時に救援物資の輸送や被害状況の調査、被災者の捜索・救助などの用途で活用されます。ドローンは、人が立ち入れないような危険地帯や閉鎖空間でも使用でき、人の目では難しい作業もできる点が魅力です。 

この記事で紹介したポータブル電源も常備し、災害時にドローンを役立ててみてください。

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