1.BCP訓練とは?|緊急事態に業務を継続させるための練習
BCP(Business Continuity Plan)訓練は、緊急事態においても業務を継続するための訓練です。自然災害や事故、パンデミックなどの予期せぬ事態に直面した際、企業がどのように迅速に対応するかを学ぶことが求められます。業務を維持し危機を乗り越えられるようにするのが、BCPの目的です。
では、このBCPを遂行するための訓練の重要性や目的を詳しく見ていきましょう。
●BCP訓練の重要性| 危機管理能力の向上
BCP訓練は、企業の危機管理能力を向上させるために不可欠です。従業員が訓練を通じて緊急時の役割や対応策を理解し実践することで、組織全体の危機対応力が強化されます。BCP訓練により、実際の緊急事態においても迅速かつ適切に行動できるようにします。
●BCP訓練の主な目的|業務継続の確保
BCP訓練の主な目的は、業務継続の確保です。具体的には、緊急時における業務の優先順位を明確にし必要なリソースを特定して、迅速に業務を再開できる体制を整えます。企業は損失を最小限に抑え、顧客や取引先への信頼を維持できます。
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2.BCP訓練の種類5つ
BCP訓練の代表的な5つの訓練方法を紹介します。
①机上訓練
机上訓練は、シナリオに基づいて参加者が実際の環境でどのように行動できるかを会議室で議論する訓練です。実際の状況を模擬し、各自の役割や対応策を議論し理解を深めていきます。机上訓練は主にワークショップ訓練とロールプレイング訓練の2種類に分けられるので、それぞれ詳しく解説します。
┃ワークショップ訓練
ワークショップ訓練は、グループに分かれて与えられたテーマについて議論して、対応を考える訓練です。問題解決やアイデアの共有を促進し、BCPの改善点を見つけられます。グループ内での決定事項は発表してチーム内で共有するのも良いでしょう。
┃ロールプレイング訓練
ロールプレイング訓練では、参加者が実際の状況を模擬し、与えられた役割を実際に演じることで緊急時の対応を体験します。詳細なシナリオに沿って訓練するため、実践的なスキルを身につけられます。
②バックアップデータを取り出す訓練
この訓練では、バックアップデータの取り出しや復元の手順を確認します。システム障害やデータ消失時に迅速に対応できるよう、実際の手順を実践します。また同時に、普段行っているバックアップ作業が適切に行われているのかも確認しましょう。
バックアップデータの保存場所や復元に必要なツール、手順を詳細に確認し実際に行うことで理解を深めます。定期的に訓練を実施し、常に最新の手順を取り入れることでセキュリティを高められるでしょう。
③電話連絡網・緊急時通報診断
電話連絡網や緊急時の通報手段を確認する訓練です。緊急時に従業員同士が確実に連絡を取り合えるように、連絡手段が確保されているか、迅速に情報を伝達できるかを確認します。また、電話連絡網を常に最新の状態に更新するのもこの訓練の目的の1つです。
④代替施設への移動訓練
この訓練では、緊急時に代替施設(通常の業務を行う場所が使えなくなった際に、一時的に業務を行うための別の施設)に移動する手順を確認します。移転時のスムーズな業務再開を目指し、事前に訓練を行うことで実際の移動時の混乱を防ぎます。また、代替施設が使えないケースについても訓練しておくと良いでしょう。
⑤総合訓練
総合訓練は、BCP発動後から事業復旧までのすべての流れを実践する訓練です。全体像が見えやすくなるため、時間経過によって発生する課題や取るべき行動が具体的にイメージできます。総合訓練は、できれば近隣の自治体や企業と連携して実施するのをおすすめします。連携体制を作れば、緊急時にも互いに協力し合えるからです。
3.BCP訓練の進め方の基本

ここではBCP訓練の進め方の基本を解説します。BCP訓練を効果的に実施するため、以下のステップに沿って、BCP訓練を計画し実行してみてください。
1.BCP訓練の目的と方法を決める
2.シナリオを作成する
3.訓練を実施する
4.課題や改善点をまとめる
5.反省を元にBCPの改善・更新をする
それぞれのステップについて解説していきます。
①BCP訓練の目的と方法を決める
まず最初に、BCP訓練の目的を明確に設定しましょう。BCP訓練の目的は企業によって異なるものの、基本的なものは以下のとおりです。
・緊急時の役割の確認
・対応の精度と速度の向上
・対応の課題発見
・マニュアルの検証
明確に設定した目的は、訓練実施する前に確実に従業員と共有しましょう。
②シナリオを作成する
BCP訓練で使用するシナリオの作成手順例は以下のとおりです。
1.骨組み作成:どんな災害が発生したのかを具体的にする
2.登場人物:緊急時に連携が必要な社内外の人物などを決める
3.発生日時:過去の事例を参考に発生日時を決める
4.被害状況:オフィス・工場・データセンターなどの被害状況を具体的に決める
机上訓練はこのシナリオに沿って行います。シナリオは、実際に起こりうる緊急事態を想定したものでなければなりません。具体的な状況や役割分担を明記し、参加者がリアルな場面を想像できるようにします。
③訓練を実施する
シナリオが完成したら、実際に訓練を実施します。この際、参加者がシナリオに沿って行動できるように、事前に役割や流れを説明しておくことが大切です。訓練中は、進行役が適宜指示を出し、参加者が適切に対応できるようサポートします。また緊急時に使用するシステムやツールなども実際に試してみましょう。実際の緊急時を想定しながら訓練を行うことで、本番でも焦ることなくスムーズに対応できるようになります。
④課題や改善点をまとめる
訓練が終了したら、参加者からのフィードバックを収集し、課題や改善点をまとめます。どの部分がうまくいったのか、どの部分に問題があったのかを明確にし、次回の訓練に活かすためのデータを収集します。
⑤反省を元にBCPの改善・更新をする
最後に、訓練や実際の対応を通じて得られたフィードバックや課題を基に、BCPを改善・更新することが重要です。訓練を行う中で見つかった弱点や課題を反映させることで、より実効性のあるBCPを構築できます。定期的に訓練を行い、その都度BCPを見直していきましょう。
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4.BCP訓練の成功事例5つ
ここでは、BCP訓練の成功事例を5つ紹介します。どのようにして企業が危機管理能力を向上させたのかを見ていきましょう。
①加藤建設|総合実働訓練
愛知県海部郡蟹江町にある加藤建設では、南海トラフ巨大地震の大規模水害を想定した総合実働訓練を行っています。自治体と連携した訓練は、近隣住民にも好評で地域のサポート体制が強化されました。また本社が地域の避難所のため、住民への避難誘導も実施しています。
参考:国⼟交通省 中部地⽅整備局「建設会社における災害時の事業継続⼒認定 BCP訓練事例集
②グロージオ|情報伝達訓練
静岡県島田市にあるグロージオでは、全社員や地域住民を対象に情報伝達訓練を通じて、緊急時の連絡手段の確認を行いました。また外部講師を招いてのAEDの操作方法を取得する訓練も行っています。本社の駐車場を地域の避難所として提供しており、地域社会とのつながりを大切にしているようです。
参考:国⼟交通省 中部地⽅整備局「建設会社における災害時の事業継続⼒認定 BCP訓練事例集
③土屋建設|安否確認訓練
静岡県伊豆の国市にある土屋建設では、安否確認訓練を定期的に実施しています。この訓練では、従業員の安否確認方法や連絡手段を確認し、迅速に情報を収集する体制を整えています。また年に1度の安否確認訓練だけでなく、抜き打ち訓練も実施しています。反復して訓練することで、9割以上の社員から返信が得られるようになりました。
④鹿島建設|拠点立ち上げ訓練
2021年8月26日、東京都港区元赤坂にある鹿島建設では、拠点立ち上げ訓練を通じて、緊急事態発生時の代替拠点への移動や業務再開の手順を確認しました。震源地に近い関東支店が大きな被害を受けたことを想定し、茨城県に代替本部を立ち上げる訓練を実施しています。実際の緊急事態においても迅速に業務を再開できる体制が整い、事業の継続性が確保されました。
参考:鹿島建設株式会社「首都直下型地震を想定したBCP訓練を実施」
⑤医療法人社団 洛和会|図上訓練
京都府京都市にある医療法人社団洛和会では、最短30分の簡易な図上訓練を実施し、職員同士の災害時の役割を確認しています。図上訓練とはシナリオに沿って、地図や企業の図面を見ながらシミュレーションする訓練です。30分という短い時間ですが、繰り返し訓練を行うことで防災意識の向上に貢献しています。
参考:内閣官房「383 介護施設が実施する災害図上訓練(DIG)」
5.BCP対策には「Jackery Solar Generator」がおすすめ
BCP対策には、太陽光パネルとポータブル電源をセットしたソーラー発電機「Jackery Solar Generator」がおすすめです。緊急時においても業務を継続できるようにするためには、電源の確保が欠かせません。ここでは、Jackery Solar GeneratorがどのようにBCP対策に役立つかを紹介します。
●太陽光発電システムで電源供給|PC・サーバーを動かして事業を継続できる
Jackery Solar Generatorは、太陽光パネルとポータブル電源がセットになっており、太陽光発電システムを利用して電源を供給します。停電や災害時でもPCやサーバーを動かし続けられるため、復旧作業をスムーズに行えるでしょう。また重要なデータの管理や従業員の安否確認などもPCを使って迅速に行えます。
●連絡手段の確保|従業員の安否確認や緊急連絡ができる
緊急時には、従業員の安否確認や連絡手段の確保が必要です。Jackery Solar Generatorがあれば、スマホやPCのバッテリーを充電できるため、連絡手段が途絶える心配がありません。従業員の安否確認がスムーズに行えるだけでなく、業務に関する連絡も迅速に行える体制が整います。
連絡手段の確保は、従業員の安心感も向上させるだけでなく、緊急時の混乱を軽減するために必要です。安心して業務に集中できる環境が整うことで、従業員は冷静に行動しながら、指示や情報を迅速に理解してくれます。
●従業員の安全確保|寒さ対策・暑さ対策できる
停電時に従業員の安全を確保するためには、寒さや暑さへの対策が不可欠です。停電時にJackery Solar Generatorがあれば、電気毛布やポータブルヒーターを稼働させられ、暖かさを保てます。
また暑い季節に停電が発生すると、冷房が使えず熱中症のリスクが高まります。しかしJackery Solar Generatorがあれば、扇風機やエアコンを稼働できるため、従業員の熱中症による業務停滞を防げます。さらに太陽光発電に対応しているため、電源が確保できない状況でも持続的に使用できるのが大きな強みです。Jackery Solar Generatorを会社に備蓄して従業員の安全を確保しましょう。
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まとめ
BCP訓練は、緊急事態において業務を円滑に継続させるために不可欠なプロセスです。リアリティのあるシナリオのもとにBCP訓練を実施することで、大地震や大津波などの緊急事態でも迅速に適切な行動が取れるようになります。
またBCP対策には「Jackery Solar Generator」シリーズがおすすめです。Jackery Solar Generatorがあれば、停電時にPCやサーバーへの電源供給が可能になり、連絡手段の確保や従業員の安全対策も万全になります。企業がBCPを強化し、緊急時に対応できる体制を整えるために、Jackeryの製品を検討してみてください。