企業の災害対策について解説|防災の具体的な取り組みや必要な備蓄一覧を紹介

2011年の東日本大震災では、多くの企業が被災し、事業継続のための復旧活動で苦しみました。そのことがきっかけで、企業における防災の重要性が見直されています。とはいえ、具体的にどのような対策をすべきか悩むでしょう。

この記事では、企業の災害対策の具体的な内容や必要な備品、災害対策を強化するコツについて解説します。企業防災の事例も紹介するため、自社を守るうえで何をすべきかというイメージがより具体的になるでしょう。

企業の災害対策の具体的な内容

企業の災害対策は、大きく以下2つのアプローチに分けられます。

  防災:人命や安全を守る

  事業継続:被災から早期の事業再開を目指す

以下で具体的なアプローチ方法について触れますが、前提として企業防災に関する知識をつけると、より理解が深まるでしょう。企業防災についてはこちらの記事で解説しているため、あわせてご覧ください。

※関連記事:「企業防災とは?災害対策や内閣府ガイドラインについて解説

BCP策定

BCPとは、事業継続計画のことです。被災による企業の損失を最小限に抑え、早急に復旧することを目指します。

BCPは、大企業は7割が策定済ですが、中堅企業は3割強に留まっています(参照:「令和元年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の概要①|内閣府)。BCP策定は義務付けられていないとはいえ、日本企業の防災意識はまだまだ低水準であるといえるでしょう。

BCPとは

BCPで策定した内容を実現するためには、安否確認システムの導入や、具体的な災害時対応の取り決めなどが必要です。BCPのより具体的な内容につきましては、下記の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。

※関連記事:「【BCPコラム第1話】企業の防災対策とBCP策定の基本

BCMとは

BCMとは、事業継続管理のことです。BCPが事業継続の計画自体を指すのに対し、BCMBCPを活用したマネジメント全般を意味します。要するに、BCMBCPを含むより大きな概念です。

防災マニュアル作成

災害発生時に適切な対応するためには、防災マニュアル作成が必須です。ただし、地域や企業によって、防災マニュアルで定めるべき内容は変わってきます。例えば、事業所が河川や海の近くに立地している場合、地震に付随する津波への対策も取り決めておくべきでしょう。

防災マニュアルでは具体的に、災害時の組織体制や緊急連絡網、情報収集や提供の方法などを定めます。自治体では、防災マニュアル作成の手引きや参考資料が公開されているため、ぜひ参考にしてみてください。

防災マニュアルは作成するだけではなく、従業員への周知や定期的な更新も行いましょう。防災マニュアルを作成しても、実現できなければ意味がありません。周知方法としては、マニュアル内容を記載したポスターを社内に掲出したり、マニュアルを従業員が携帯できるように加工したものを用意したりすることなどが有効です。

データの保護と復旧への対策

被災によって重要なデータが損傷してしまうと、事業継続は難しくなります。また、復旧が遅れることによっても、企業は大きな損失を被ってしまいます。そのため、データ保護と復旧対策は、企業防災において必要不可欠です。

データ消失を防ぐためには、遠隔地でのバックアップがおすすめです。なぜなら、近い場所でバックアップデータを保管しておくと、自社と同時に被災して使えなくなる恐れがあるためです。

遠隔地バックアップには、以下のものがあるため、自社に合ったものを選びましょう。

  バックアップ媒体自体を遠隔地に保管する

  遠隔地のバックアップセンターにネットワーク経由でバックアップデータを転送する

  クラウドサービスを利用する

また、データの早急な復旧には、電力の確保が必要です。電力がないと、パソコンやスマートフォン、Wi-Fiルーターなどが使えず、データの復旧ができません。被災による停電リスクに備えて、ポータブル電源などを用意しておくとよいでしょう。

設備保護施策

日本は、地震の発生頻度が非常に高い国です。そのため、什器の転倒や備品の落下による怪我などのリスクがあります。また台風時には、窓ガラスの破損、飛散の危険もあります。

これらを防ぐためにも、設備保護施策を行いましょう。例えば、什器の固定や備品の落下防止ネットの用意、室内免震装置の設置などが有効です。

従業員の安否確認システム導入

従業員の安否確認は、被災地に最優先で行うべきことです。もちろん人命を守るという意味がもっとも大きいですが、企業の場合はそれに加え、事業継続のために人手を確保する必要もあります。

被災地には、電話やメールが使えなくなることが多いため、安否確認システムを導入しましょう。普段から社内でチャットツールを利用している場合は、そちらで代替するのも選択肢のひとつです。

テレワーク環境整備

被災時には公共交通機関が停止し、従業員の出社が困難になる可能性があります。人員の確保ができなければ、事業継続も難しくなるため、あらかじめテレワーク環境を整備しておくとよいでしょう。テレワーク環境整備には、ワークライフバランスを改善するメリットもあるため、一石二鳥です。

定期的な防災訓練実施

防災訓練は、定期的に実施しましょう。なぜなら、時間が経つにつれて従業員の防災意識は薄れる傾向にあるためです。

実際に労務行政研究所の調査では、当時東日本大震災発生から1年も経過していなかったにもかかわらず、ビジネスパーソンの約6割が「震災の教訓への意識が薄らいでいると感じていた」ことが判明しています(参照:ビジネスパーソンの 6 割が「勤務先の震災対策は不十分」と評価|一般財団法人労務行政研究所)。従業員の危機意識を風化させないためにも、定期的な防災訓練を実施しましょう。

防災訓練では、具体的に以下のようなことを行います。

  発災時の避難誘導訓練

  初期消火訓練

  AEDの使用方法実習

  心肺蘇生法の訓練

  負傷者の救出や搬送手順のシミュレーション

  持病や障がいを抱える人への対応

もし社内でよい訓練アイデアが浮かばない場合は、有識者からアドバイスをもらいましょう。地域によっては、消防署や自治体による防災機器の貸し出しや職員の派遣、講習会などのサポートを受けられます。

リモートワーク導入などの理由で、従業員を社内に集めるのが難しい場合は「バーチャル防災訓練サービス」の利用がおすすめです。バーチャル防災訓練サービスとは、VRで社内環境を用意して、実際の被災状況に近い環境で防災訓練できるものです。このように、防災訓練を支援するもサービスが増えてきているため、ぜひ活用しましょう。

企業の災害対策として必要な備蓄一覧

発災からしばらくは、インフラが停止したり、物資の供給が行われなかったりします。また発災食後は、水や食料などの必需品がすぐに売り切れてしまうことが多いです。そのような場合に備えて、必要なアイテムは揃えておきましょう。

企業の災害対策に必要なものとして、おもに以下のものが挙げられます。

  飲料水

  食料

  バッテリー・充電器

  照明器具

  救急セット

  衛生用品・生理用品

  季節用品

  毛布・寝袋

  情報収集ツール

  簡易トイレ

  ガソリン

  ガスコンロ・カセットボンベ

  乾電池

詳細については、こちらの記事で解説しているため、あわせてご覧ください。

※関連記事:「【企業向け】災害時になくて困ったもの、防災グッズで実際に役立ったものは?

また、備品を用意しても、従業員が緊急時に使用できなければ意味がありません。したがって、備品の内容や使用方法などを従業員に周知しておく必要があります。

企業の災害対策を強化する4つのコツ

災害対策を強化するポイントを押さえておくことで、企業にとってよりよい施策を実施できます。最低限、以下の4点は必ず取り入れましょう。 

●  人命の安全確保を最優先する

●  二次被害まで想定して対策する

●  備蓄品に関する知識を深めるための教育を行う

●  周辺地域との連携を強化する

人命の安全確保を最優先する

人名の安全確保は、当然最優先すべきです。従業員だけではなく、顧客や取引先など、自社に関係するすべての人々を守る必要があります。

日本では、さまざまな自然災害が起こり得ます。そのため、あらゆるシチュエーションを想定した防災訓練を実施しましょう。また、人命救助にあたって最適な行動を取れるようにするための研修・教育は、従業員全員に対し行った方がよいです。

二次被害まで想定して対策する

自然災害は、二次被害を引き起こすこともあります。例えば、地震によるビルの損壊や津波、台風による河川の氾濫などが想定されます。 

防災マニュアルには、二次被害の対策まで記載しましょう。自社が受ける被害を想定する際は、自治体の災害ハザードマップを確認するのが有効です。

備蓄品に関する知識を深めるための教育を行う

備蓄品を用意しても、内容や場所、使い方を理解していないと、有事の際に使えません。それゆえ、備蓄品に関する知識を深めるための教育は普段から行いましょう。具体的には、以下のことなどを実践するとよいです。

  備蓄品の保管場所を従業員全員で確認する

  防災訓練で実際に備蓄品を使ってみる

  災害発生時と同じ状況(インフラが止まっているなど)で非常食を食べてみる

周辺地域との連携を強化する

普段から地域住民や近くの民間企業と交流しておくことで、災害時に助け合うことができます。手段としては、社用車を移動手段として提供したり、自社の商品やサービスを近隣住民に利用してもらったりすることなどが挙げられます。有効な方法は、業種や業態によっても異なるため、自社に適したものを検討してみましょう。

企業防災の事例

実際に企業防災の事例を確認しておくことで、自社の防災対策に活かせます。3つの事例を紹介しますので、ぜひご覧ください。

自動車部品用金型メーカーの災害対策事例

ある自動車部品用金型メーカーでは、被災時に従業員が各自の判断で動けるよう普段から教育しており、設備復旧手順マニュアルも整備していました。

また、パソコンを使った社内での防犯知識共有や、防災に関する毎月の勉強会を行っていました。その結果、震度6強の地震に見舞われた際も工作機械の点検整備がスムーズに実施できたため、製品出荷の遅れを1日に抑えることに成功しました。

電子部品メーカーの災害対策事例

ある電子部品メーカーでは、自然災害を想定した日々の訓練や、必要物資の備蓄を実践していました。それが功を奏し、2016年の熊本地震で被災した際も、予定よりも早い2週間で製品製造を再開できました。

スーパーを多店舗展開している企業の災害対策事例

新潟県のあるスーパーを多店舗展開している企業は、2004年新潟県中越地震の影響で22店舗が被災し、そのうち3店舗は閉鎖に追い込まれるほど甚大な被害を受けました。その反省を活かし、企業防災に力を入れるようになりました。

具体的には、以下の施策を行いました。

  第二物流センターを設置し、緊急時でも代替拠点で事業を継続できるようにした

  被災時に需要が高まる商品を把握し、それらの調達先を確保した

  地震計に連動する緊急停止装置を設置した

これらの施策により、2007年新潟県中越沖地震で被災した際も、7店舗中4店舗が当日中に営業再開、3日間のうちに全店舗で営業を再開できました。また、災害時の必要物資の確保による地域社会への貢献も実現しました。

企業防災には電力の確保が必要不可欠

企業防災には、電力確保が必要です。もちろん冷蔵庫やトイレなどの必需品を動かすのにも必要ですが、企業活動を早急に復旧するためのパソコンやWi-Fiルーターの使用にも欠かせません。

災害時には、電力の供給がストップしてしまうことが頻発します。そのため、蓄電池ポータブル電源を用意しておく必要があります。特に企業防災の場合は、多くの電子機器を同時に動かす必要があるため、大容量のポータブル電源を用意しておくことが望ましいです。

企業向け非常用発電機はJackeyのポータブル電源がおすすめ!

Jackey(ジャクリ)は、企業防災向けに大容量のポータブル電源を用意しています。そのなかでも、おすすめの2点を紹介します。

ポータブル電源1500Pro

Jackery ポータブル電源 1500 PTB152 (6550936813646)

企業防災用のポータブル電源は、最低でも1,000ワット以上のものを用意する必要があります。

ポータブル電源1500Proは容量面でも問題なく、企業防災に役立つさまざまな機能を備えています。おもなおすすめポイントは、以下のとおりです。

  容量が大きいため企業防災にも充分役立つ

  短時間で充電できる

  パソコンやスマートフォンなど同時に多くの電子機器に給電できる

  ソーラーパネルで発電できるため、コストが抑えられるうえ、環境にやさしく企業イメージもよくなる

  LEDライト機能がついているため照明器具が使えなくなった際も安心

 特に企業の被災時は、パソコンやWi-Fiルーターなどを早急に動かす必要があります。その点ポータブル電源1500Proは、素早く大量の電力を供給できるため、企業活動継続に大きく貢献します。

また保証期間は本来3年間ですが、公式サイトからご購入いただくことで2年間延長し、計5年間の保証がつきます。ご興味がある方は、こちらのリンクをご覧ください。

ポータブル電源2000Pro

Jackery ポータブル電源 1500 PTB152 (6550936813646)

より容量の大きいポータブル電源をご希望の場合は、こちらの2000Proがおすすめです。例えばパソコンの利用回数に関しては、1500Pro17回に対し、2000Pro23回使えます。そのため、同時に多くのパソコンを使わなければならないような状況でも安心です。

保証期間は1500Proと同様に本来3年間ですが、公式サイトからご購入いただくことで2年間延長し、計5年間の保証がつきます。ご興味がある方は、こちらのリンクをご覧ください。

まとめ

まとめ

企業の災害対策は、一度一通り行ったら終わりではなく、継続する必要があります。そうしないと、実際に災害が発生した際にうまく対応できないでしょう。そのため、日頃から防災意識を高め、従業員を教育しておくことが大切です。