1.消費電力の計算に関する基礎知識
電気代を効率的に管理するには、消費電力の正しい理解が必要です。以下では、消費電力に関する基礎知識を解説します。
●消費電力とは電化製品の使用に必要な電力
消費電力とは、電化製品を動かすために必要な電気エネルギーの量を表す指標です。
消費電力はワット(W)という単位で表わされます。家電製品のカタログやラベルに記載されており、製品の必要な電力量を知るうえで重要な情報です。
消費電力が高いほど使用する電力量が多くなり、電気代も高くなります。例えば、一般的なドライヤーの消費電力は1,000W程度、LED電球は10W前後です。ドライヤーの使用時間を1時間減らしたときの電気代節約量は、LED電球を100時間消したときに匹敵します。消費電力を把握すると、各機器の電力使用量を予測できるので効率的に節電できます。
参考:クール・ネット東京「家電製品の消費電力(W)はどのくらい?」
●定格消費電力|JIS規格にもとづく家電ごとの最大消費電力
定格消費電力は、電化製品が通常の使用状態で消費する最大の電力量を示します。取扱説明書やラベルに明記されており、JIS規格(※)に基づいて定められた値です。
※JIS規格:日本産業規格(JIS)は産業標準化法(JIS法)に基づく国家規格。製品や技術の品質や安全性を統一する基準のこと。
参考:経済産業省「日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2024年8月分)」
製品の最大出力時を想定した値であり、設定や使用環境によって実際の消費電力は変動します。例えばエアコンの場合、設定温度や室外温度によって実際の消費電力は大きく変化します。
定格消費電力は電気代を計算する際の目安となる指標です。
●年間消費電力量|家電を1年間使ったときに想定される消費電力の合計
年間消費電力量は、季節による使用頻度の変動や、一般的な使用時間を考慮して計算された1年間の総消費電力量です。家電製品の省エネラベルに表示されており、電気代の年間コストを見積もる際の指標になります。
製品カタログなどでは、年間消費電力量をもとにした目安電気料金が記載されており、概算の電気代の計算に役立ちます。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー消費機器の小売事業者等の省エネ法規制」
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2.消費電力の計算に必要な単位4つ

消費電力を正確に計算するには、電気に関する単位の理解が重要です。以下では、主要な4つの単位を解説します。
①ボルト(V)|電圧
電圧は電気を機器まで届ける推進力であり、単位はボルト(V)で表されます。電圧が高いほど電流が流れやすいことを示す値です。
日本の一般家庭では100Vが標準規格であり、エアコンや電子レンジなどの大型家電では200Vを使用する場合もあります。機器の仕様に合った電圧での使用が重要です。
②アンペア(A)|電流
電流は電気の流れる量を示す単位で、アンペア(A)で表示されます。
一般家庭では契約アンペア数(10A、20A、30Aなど)によって、同時に使用できる電気の量が決まります。
30Aの契約では、電子レンジ(12A)とエアコン(10A)を同時に使用しても問題ありません。
12A+10A=22A
しかし、加えて電気ケトル(12A)を使用すると、ブレーカーが落ちる可能性があります。
12A+10A+12A=34A
アンペア(A)は、機器の消費電力を計算する際に必要な指標です。
③ワット(W)|消費電力
消費電力は電気機器が消費する電力の大きさを表す単位であり、ワット(W)の単位が使用されます。
家電製品によって消費電力は異なります。主な家電製品のワット数は、以下のとおりです。
・電子レンジ(1,400W)
・ドライヤー(1,000W)
・掃除機(1,000W)
・洗濯機(400W)
・冷蔵庫(200〜300W)
・液晶テレビ(50W)
・LED電球(8W)
参考:クール・ネット東京「見える化のすすめ 家電製品の消費電力(W)はどのくらい?」
同じ電化製品でも消費電力が異なるものがあります。省エネを考えているなら、消費電力の少ない家電を選択選んだり、使用時間を減らしたりしてみましょう。
④ワットアワー(Wh)|時間当たりの電気使用量
ワットアワーは、1時間当たりの電気使用量を表す単位で、以下の計算式で算出できます。
消費電力(W)×使用時間(h)=時間当たりの電気使用量(Wh)
実際の電気料金は、時間当たりの電気使用量をもとに計算されます。一般的には1,000Wh(1kWh)単位で料金が設定されており、例えば1,000Wの電気機器を1時間使用すると1kWhです。
毎月の電気料金請求書に記載される使用量もkWh単位で表示されており、具体的な電気代を計算する際に必要な数値です。
電気使用量は検針票やスマートメーターでリアルタイムに把握できます。使用量や使用状況を知り、節電に役立てましょう。
3.消費電力をもとにした電気代の求め方・公式
電気代を正確に把握すると、効果的な節電対策を立てることが可能です。電気代を求める計算方法を解説します。
●電圧(V)と電流(A)から消費電力・電気代を求める公式
消費電力は電圧と電流を掛け合わせると求められ、計算式は以下のとおりです。
電圧(V)×電流(A)=消費電力(W)
100Vで2Aの電流を使用する機器の場合、消費電力は200Wです。
消費電力から電気代を求めるときは、以下の計算式を使います。
消費電力(W)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)÷1,000=電気代
電圧と電流から消費電力を計算すれば、そこから電気代を導き出すことが可能です。
●電化製品の消費電力(W)から電気代を計算する公式
電化製品の電気代は以下の計算式で求められます。
消費電力(W)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)÷1,000=電気代
500Wの電気機器を2時間使用し電気料金が30円/kWhの場合、使用量に対する電気代は以下のとおりです。
500W×2h×30円÷1,000=30円
上記の計算式を活用すると、各機器の使用にかかるコストを具体的に把握できます。
●年間消費電力量(kWh)から電気代を計算する公式
年間の電気代は、年間消費電力量に電気料金単価を掛けると算出できます。計算式は以下のとおりです。
年間電気代=年間消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)
家電製品に表示されている年間消費電力量を確認すると、機器の年間運転コストを予測できます。新しい家電の購入を検討する際の判断材料となるでしょう。
全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている目安単価は、31円/kWh(税込)です。ただし、実際の電気料金は電力会社やプランによって異なるため、電力会社から送られてくる検針票などで確認が必要です。
参考:全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A」
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4.統計からみる一般家庭の消費電力と電気代

1世帯が1年間に消費したエネルギーは、全国平均で電気が4,175kWh、電気代は約11.3万円です。
一般家庭の電力消費を、世帯人数や季節による違いを統計データから解説します。2023年度の資源エネルギー庁の調査によると、2人以上世帯の月間消費電力量の平均は約450kWhで、月平均の電気代は約11,500円です。単身世帯では月間約200kWh、電気代は約6,200円です。
電気代は地域や電力会社、家族構成、季節によって異なります。冬の季節は暖房機器を使用するため、他の季節に比べて電気代が高くなりがちです。自身の世帯の電力消費状況と比較して、より効果的な節電対策を立てましょう。
関連人気記事:【すぐわかる】消費電力と電気代の関係とは?電気代の計算と家電別の電気代も
5.電力消費を減らして電気代を節約をするコツ3選

節電して電気代を抑えるには、電力消費を効率よく減らす必要があります。簡単にできる電力消費を減らす方法を確認して、生活に取り入れましょう。
①電化製品を使用しないときはプラグを抜く
使用していない電化製品のプラグをこまめに抜いて待機電力を減らすと、年間で数千円程度の電気代を節約可能です。
テレビやPC(パソコン)、ゲーム機器などの電子機器は、電源を切っていても待機電力を消費します。コンセントを抜いたりや、コンセントタップの電源をオフにしたりする習慣をつけて待機電力を削減しましょう。
②省エネ家電に買い換える
最新の省エネ家電は、10年前の製品と比べて消費電力が大幅に削減されています。買い替えをすると省エネ効果が高い家電は、以下の3つです。
・エアコン
・冷蔵庫
・照明器具
10年前の製品と比較すると、冷蔵庫は約28〜35%、エアコンは約15%の省エネ効果があります。照明器具の電球型LEDランプは白熱電球と比べると約86%の省エネです。
全ての機器を一度に買い換えるのは現実的ではないため、使用頻度が高く、消費電力の大きな機器から優先的に買い替えを検討しましょう。
③電化製品の使い方を見直す
適切な使用方法で家電を利用すると、大きな節電効果が得られます。具体的な対策方法には以下があげられます。
・エアコンの設定温度を見直す
・洗濯物の1回の量を減らす
・冷蔵庫に熱いものを入れない
・フィルターを掃除する
エアコンの設定温度は夏は28度、冬は20度を目安とし、フィルターの定期的な清掃も定期的に行いましょう。洗濯機は容量の8割程度の量をまとめて洗うと、効率的に電力を使用できます。冷蔵庫は詰め込みすぎを避け、温かい食品は冷ましてから入れることで、消費電力を抑えられます。
参考:政府広報オンライン「節電をして電気代を節約しよう!手軽にできる節電方法とは?」
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6.消費電力を減らして節電!防災にも役立つJackeryのソーラー発電機
電気代を節約したい方は、持ち運びできる蓄電池「ポータブル電源」とソーラーパネルの活用もおすすめです。
ソーラーパネルを使った太陽光発電は、自家発電による節電が可能です。しかし、太陽光発電は初期費用が高く一般的なもので約100万円かかります。ポータブル電源とソーラーパネルを使用すれば、数万円~数十万円の初期費用で自家発電が始められます。
さらにポータブル電源は自宅での使用以外にも、キャンプや車中泊などでさまざまな場面で活用可能です。電気毛布のような暖房器具やホットプレートのような調理器具を使って、電源がない屋外でも快適に過ごせます。
ポータブル電源は非常時の電源確保にも使用できるため、防災用品に用意しておくのもおすすめです。停電時もポータブル電源からコンセントの電源がとれるので、電気ケトルでお湯を沸かしたり、ドライヤーを使用したりできます。
Jackery(ジャクリ)のポータブル電源&ソーラーパネルのセット「Jackery Solar Generator」は1人暮らしにピッタリなモデルから、4人以上の家族が使うのにも最適なハイスペックモデルまで幅広いラインナップをご用意。目的や用途に合ったものを選んでみてください。
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7.消費電力の計算に関するよくある質問
消費電力の計算に関するよくある質問を解説します。正しい計算方法を知り、電気使用量や電気代の管理に役立てましょう。
●定格消費電力と消費電力の違いとは?
定格消費電力は「最大値の目安」、実際の消費電力は「使ったときの本当の値」です。
定格消費電力は、機器が最大出力で動作する際に消費する電力を示す理論値です。実際の消費電力は、使用状況や設定によって変動します。
例えば、エアコンの定格消費電力が1,000Wだとしても、設定温度や室温によって実際の消費電力は200W~800W程度の範囲で変化します。
違いを理解すると、より現実的な電力使用量の予測が可能です。
●消費電力からkWhを求める計算式は?
消費電力(W)から電力量(kWh)への変換は、以下の計算式で求められます。
消費電力(W)× 使用時間 ÷ 1000=電力量(kWh)
例えば、500Wの機器を2時間使用した場合、電力量は500W × 2時間 ÷ 1000 = 1kWhです。
上記の計算式は、月々の電気使用量を予測する際に役立ちます。ただし、使用時間は機器の実際の稼働時間を考慮する必要があり、普段その機器を何時間使っているか正確に把握することが重要です。。
●1kWhの電気代を求める計算式は?
1kWhあたりの電気代は、以下の計算式で求められます。
使用電力量(kWh)× 料金単価(円/kWh)=電気代
計算する際は、基本料金と従量料金を考慮した計算が必要です。電気代の従量料金とは、使用した電力量(kWh)に応じて課される料金のことです。電力会社が提供する電気料金プランでは、基本料金に加えて従量料金が電気代の大部分を占めます。
一般的な電気料金プランでは、1kWhあたり20円~30円程度ですが、実際の料金は契約プランや使用量によって変動します。時間帯や季節によって料金が変動するプランもあるため、契約内容の見直しをして、生活スタイルに合った無駄のないプランになっているか確認しましょう。
まとめ
消費電力の計算方法は、電気使用量の把握や効果的な節電対策に役立つ公式です。
電圧(V)、電流(A)、ワット(W)、ワットアワー(Wh)の基本単位を理解し、適切な計算式を使用すると、正確な電力使用量の把握が可能です。待機電力の削減や省エネ家電の導入、家電の適切な使用により、効果的な節電ができます。
消費電力を減らすにはソーラー発電機の活用もおすすめです。防災にも役立つJackery(ジャクリ)のポータブル電源で蓄電をして、お得に電気を利用しましょう。
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