1.手動発電機の基礎知識を知って正しく活用しよう
電源の確保は、情報収集や通信手段の維持に必要な防災対策です。手動発電機は人力で発電でき、停電時に役立ちます。基本的な使い方や特徴を理解して、いざという時に慌てず活用できるよう準備しましょう。
●手動で使えるので災害時に役立つ!手回し式の発電機
手回し式発電機はハンドルを回すことで発電し、電化製品を動かせる手動の発電機です。人力で発電できるため、災害による停電で電力の供給が止まっている場面で役立ちます。主な活用例は次のとおりです。
・夜間に避難するときの懐中電灯の電源
・情報収集をするラジオの電源
・家族と連絡を取るためのスマホ充電
災害時の停電は想定以上に長期化する可能性があります。懐中電灯やラジオは電池切れが心配ですが、手回し発電機なら繰り返しの発電が可能です。コンパクトで軽量なので、避難時に持ち運びしやすい利点があります。
参考:政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」
発電方法・充電方法は他にもあるので、各家庭に合った方法を検討しましょう。
» 「手動式よりも簡単に使える!災害時に役立つ充電器4選」はこちら
●手動発電機の仕組みとは?電気を作る原理を解説
手回し発電機は、手回しハンドルを回転させることで内部の磁石が動き、磁石の動きによって電気が発生する仕組みです。「電磁誘導」という原理に基づいています。発電の流れは以下のとおりです。
1.ハンドルの回転で内部の磁石が動く
2.磁石の動きによってコイルに電流が発生する
3.発生した電流が整流回路を通って直流電流に変換される
4.蓄電池に充電される、または直接機器に供給される
上記の仕組みにより、人力だけで持続可能な電力供給ができます。
●スマホの充電にかかる時間は?手動発電機の充電効率
スマートフォンの充電に必要な時間は、手動発電機の性能や回す速さにより異なります。一般的な手回し発電機では、約1〜3分の手回しによりスマートフォンで約1〜3分間の通話が可能です。発電効率の良い製品では、1分の手回しで約5分の通話ができます。
以下のポイントに注意して活用すると、手動発電機の発電効率が上がります。
・一定の速さで継続的にまわす
・推奨回転数を守る
・適切な充電ケーブルを使用する
・バッテリー残量が極端に少ない状態を避ける
充電には労力と時間が必要ですが、通信手段の確保など緊急時に役立つアイテムです。完全な充電を目指すのではなく、必要最低限の充電量を確保する使い方をしましょう。
関連人気記事:自家発電の方法を徹底解説!ソーラーパネルとポータブル電源の併用をおすすめする理由とは?
2.手動発電機を選ぶとき確認すべきポイント5つ

手動発電機を選ぶときは、災害時に活用する点を意識する必要があります。以下の5つのポイントを参考に、いざという時に役立つ製品を選びしましょう。
①災害時に持ち運びしやすいサイズである
災害時に避難するとき、持ち出したい防災グッズは手動発電機だけではありません。他にも多くのものをカバンに入れることを想定して、発電機は持ち運びしやすいサイズと重量のものを選びましょう。
バッグやポケットに入るサイズであれば携帯しやすく、普段の保管場所にも困りません。注意点は小さすぎると発電効率が落ちるため、携帯性と性能のバランスが取れた選択が必要です。
②ソーラーや乾電池など手回し以外の充電方法がある
手回し発電機だけでなく、以下のような複数の発電・充電方法に対応している製品を選ぶと、より確実な電源確保ができます。
・太陽光発電
・乾電池での充電
・車のシガーソケット
・蓄電池への充電
太陽光発電機があれば日中にソーラーパネルを活用した発電で充電でき、乾電池対応であれば電池を使用した充電も可能です。複数の充電方法を備えた発電機で、状況に応じた最適な発電方法を使いましょう。
③発電効率が良いと楽に充電できる
発電効率は製品選びの重要なポイントです。1分間の手回しで得られる電力量は製品ごとに異なります。製品によって表示内容が異なるため比較が難しいですが、一般的に1分間の手回しによって発電できる電力量の目安は、以下のとおりです。
・スマホ通話:1〜3分
・LEDライト:5〜30分
・ラジオ:3〜15分
発電効率が高いほど手回し回数が減り、腕への負担も軽くなります。サイズや金額に差がない場合は、発電効率が良いものを選びましょう。
④防水対応だと水害のときも安心して使用できる
防水機能は、悪天候下での使用や水害時でも安心して電源を確保するために必要な性能です。
防水性能は、「IPX◯」の表記を確認しましょう。◯に入る数字が大きいほど防水機能が優れています。「IPX4」以上の防水性能であれば、多少の雨や水しぶきにも耐えられるため、非常時の備えにおすすめの製品です。
▲IP規格とは?
IP規格(International Protection Code)は、国際電気標準会議で定められた表記です。防塵や防水性能を示す規格で、電気製品の耐久性を数字で表します。「IP〇〇」と表記され、防塵性能(最初の数字)と防水性能(後ろの数字)が記載されています。「IPX◯」と書かれたものは、防水機能のみを備えた製品です。
⑤ライトやラジオ機能は災害時に役立つ
一台で複数の機能を備えた製品を選ぶと、保管する防災グッズを減らせます。手回し発電機はライトやラジオ機能がついている製品が多く販売されています。ライトとラジオ機能は、災害時の安全確保や情報収集に重要な機能なので、合わせて備えておけると良いでしょう。
目安として、ライトは50ルーメン以上の明るさがあれば、十分に足元を明るく照らせます。ラジオはAM/FM両方の受信が可能なものがおすすめです。
3.災害時におすすめの手動発電機2選
実際に評価の高い手動発電機を、特徴や用途に応じて紹介します。製品の特徴を理解して、自分に適した商品を選択しましょう。
①備蓄多機能LEDランタン

ランタン・ライト・AM/FMラジオ・充電器の機能があり、一つの発電機で4役を兼ね備えた防災グッズです。充電方法は手回し発電に加えて、乾電池とUSB電源の充電にも対応しており、状況に応じて最適な充電方法を選べます。蓄電装置は長期保存可能なもの(スーパーキャパシタ)を使用しているので、長期間の保管でもいざという時に活躍します。
USB出力端子付きで、スマートフォンの充電も可能です。1分間の手回しで約2分間の通話ができます。1台でさまざまな機能がついている手回し発電機を求めている方におすすめの商品です。
参考:備蓄多機能LEDランタン
②AudioComm 手回しラジオライト

ラジオ・簡易ライト・充電器・サイレンの4つの機能があり、サイズが小さく保管しやすいことが特徴です。サイレン機能があり、助けを求めたい時など緊急時に活躍します。ラジオ機能はスピーカーだけでなく、イヤホンでも聞けるので、避難所でも周りを気にせず使用可能。USB出力ポートを搭載しているため、スマートフォンなどの充電もできます。
本体重量は258g(乾電池含まず)と軽量で、携帯性に優れています。保管する場所が狭く、できるだけコンパクトなサイズの手回し発電機を探している一人暮らしの人などに良いでしょう。
参考:AudioComm 手回しラジオライト|RAD-M799N 07-3799
4.手動発電器は使えない?欠点と対策
手動発電機は災害時に便利なツールですが欠点もあります。特徴を理解して活用しましょう。
●手動で回すのは疲れる
手動発電機の最大の欠点は、発電に体力を使うことです。特に高齢者や子どもにとって、長時間の手回し作業は負担の大きな作業になりかねません。家族で交代しながら発電を行うことや、こまめに休憩を取りながら充電するなどの工夫が必要です。発電効率の良い製品を選ぶことで、必要な充電時間を短縮できます。
乾電池式や太陽光発電など別の充電方法を主な使用方法とし、緊急時の予備として手回し式の発電機を活用するのが良いでしょう。
●音がうるさい
手回し発電時に発生する機械音は、避難所など人が大勢いる場所や深夜・早朝の使用時に問題となることがあります。
避難所などの共同生活をする空間では周囲への配慮が必要なため、以下のような対策があげられます。
・昼間のうちに充電を済ませておく
・屋外など機械音が気にならない場所で使用する
・定期的にメンテナンスをする
購入するときは、実際に動かして音がどのくらい発生するか確認しましょう。
●PCなど大容量の電力が必要な電化製品には使用できない
手動発電機の出力は限られており、ノートパソコンやテレビなど消費電力の大きな電化製品の充電には適していません。スマートフォンや懐中電灯のようなバッテリー容量が小さい機器でも、フル充電には相当な時間と労力が必要です。
消費電力が大きな家電用にはポータブル電源をおすすめします。ポータブル電源はUSB出力だけでなくACコンセント出力も可能です。電気毛布や電気ケトル、パソコンなどさまざまな家電の充電に活用でき、非常時に役立ちます。
5.手動発電機よりも簡単に使える!災害時に役立つ充電器4選
手動発電機は発電に労力と時間がかかるうえ、スマホなど多くの電力を必要としない機器にしか使えません。以下を参考に、災害時に本当に役立つ充電器を選びましょう。
①ポータブル電源|消費電力の大きい機器にも使用可能
ポータブル電源は、大容量バッテリーを搭載した可動式電源です。電子レンジや冷蔵庫などの家電製品でも使用できる高出力が特徴で、長期の停電時に役立ちます。防災グッズにおすすめするポータブル電源の具体的な活用方法の事例は、以下のとおりです。
・電気ケトルでお湯を沸かす
・電気毛布で暖を取る
・電子レンジで食品を温める
・スマホを複数台同時に充電
容量は使用したい機器の消費電力と使用時間を考慮し、余裕を持った選択がおすすめです。
必要なバッテリー容量(Wh)は、家電の消費電力(W)×使用時間(h)の計算式で求められます。Jackery(ジャクリ)は99〜3,024Whと幅広い容量のポータブル電源があり、使用目的に合わせた製品を選部ことが可能です。
また、Jackery(ジャクリ)のポータブル電源はソーラーパネルとのセットモデル「Jackery Solar Generator」も多数あります。停電時など充電ができない状況でも、ソーラーパネルとの併用で持続的な電力確保が可能です。災害時にも継続的に電力を確保して、安心して過ごしたい方は、ソーラーパネル付きのポータブル電源が良いでしょう。
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②モバイルバッテリー|持ち運びが簡単
モバイルバッテリーは、コンパクトで携帯性に優れた充電器です。
10,000mAh程度の容量があればスマートフォンを3〜4回フル充電でき、日常的な持ち歩きに適しています。最新の製品では急速充電に対応したものも多く、効率的な充電が可能です。
ただし、バッテリーへ事前に充電しておく必要があり、停電時は追加での充電ができません。定期的に充電状態を確認して、常にフル充電の状態にしておきましょう。
③電池式の充電器|乾電池ですぐに使える
乾電池は長期保存が可能で価格も安いため、準備しておきたい防災グッズです。乾電池は入手しやすく、使用時に特別な技術も必要ないため、誰でも簡単に使用できます。
防災グッズは長期間保管したままになるので、電池の液漏れに注意し、定期的な点検と電池の交換をしておきましょう。
④太陽光発電|大容量で繰り返し使用可能
太陽光発電を利用した発電は、晴天時であれば継続的な発電が可能です。自宅に太陽光発電を設置すると普段から電気代を抑えられ、停電時も大容量の電気を使用できます。
しかし、太陽光発電は初期費用が100万円前後と高額であり、定期的なメンテナンスも必要です。避難する際に持ち運びができず、発電量が天候に大きく左右されるなどのデメリットもあります。
太陽光発電の設置は高額で難しいけれど、しっかりと停電時に備えたい方は、安価で向きを変えながら効率的に発電できるポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせが良いでしょう。
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6.手動発電機に関するよくある質問
手動発電機に関する質問をまとめました。状況に合った発電機を準備するときの参考にしてください。
●手回し発電機の作り方は?
家庭で手回し発電機の自作は可能ですが、安全性と発電効率の面から、市販の製品を使用するのがおすすめです。自作する場合は、モーターやLEDなどの部品が必要で、ある程度の電気の知識も求められます。
また自作品は発電効率が低く、スマートフォンなどの精密機器を充電する場合、機器を損傷するリスクもあります。災害時の確実な電源確保という観点から、信頼できるメーカーの製品を選択しましょう。
●手回し発電機は100均で買える?
100円ショップでも手回し発電機の購入はできますが、発電効率や耐久性に課題があることが多いです。
災害時という緊急事態に確実に使用できる信頼性を考えると、専門メーカーから販売されている製品の選択をおすすめします。
まとめ
手動発電機は、災害時の電源確保手段の一つです。製品選びのポイントを押さえ、定期的な点検を行うことで、いざという時に安心して活用できます。
手動発電機だけでなく、用途に応じて他の充電方法も組み合わせると、より確実な電源確保が可能です。たとえばポータブル電源とソーラーパネルのセットは、繰り返しの充電が手間なくできます。
日頃から災害への備えを意識し、自分や家族に合った電源確保の方法を検討しましょう。
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