1.エアコンの冷房と除湿それぞれの機能と仕組み
エアコンの冷房と除湿機能には以下の役割があります。
- ・冷房の目的|冷風で室温を下げる
- ・除湿の目的|部屋の湿度を下げる
ここではエアコンの冷房と除湿の役割について解説しているので、それぞれ見ていきましょう。
●冷房の役割|冷風で室温を下げる
冷房は、冷風で室温を下げる機能です。エアコンの冷房機能は室内の「空気」と「熱」を取り込みます。冷媒ガス(※)に熱を乗せて室外へ送り出し、熱がなくなった空気を再び室内へ戻すことで室温を下げる仕組みです。
夏の暑い室内を冷房で快適にするだけではなく、室温を下げることで熱中症対策にもなります。
※冷媒ガス:エアコンで室温を調整する時に使う各種物質のこと
●除湿の役割|部屋の湿度を下げる
除湿は部屋の湿度を下げる機能です。冷房と同じように部屋の「空気」と「熱」、「水分」を取り込んで、再び空気を部屋に戻して湿度を下げていきます。除湿の目的は部屋の湿度を下げることなので、弱冷房で急に部屋の室温を下げないように運転します。
湿度が高い日に使うとジメジメした室内を快適にしてくれるので、雨の日や梅雨時期は先に除湿した方が良いでしょう。
2.エアコン除湿の電気代は種類によっては冷房より高い
エアコンの除湿と冷房どちらがかかると言うと、「再燃除湿という除湿方式だと、冷房より電気代が高い」と言う答えになります。
エアコンの除湿って実は3種類もあるんです。
・弱冷房除湿
・再燃除湿
・ハイブリッド除湿
3種類のエアコンの除湿機能はどれも、空気の温度が高いほど水分を蓄えられるという性質を利用しています。いわゆる飽和水蒸気量です。エアコンの除湿は空気を冷やし、水と空気を分離してから、乾いた空気を排出して除湿を行います。
除湿の種類で電気代が変わってくるのは、乾いた空気を排出するときに冷たい空気を出すのか、暖めた空気を出すのかの違いです。
3種類の除湿について、もう少し詳しく解説していきます。
●エアコンの除湿3種類の特徴は?一般的なのは弱冷房除湿
エアコンの除湿3種類の特徴について、表にまとめたので参考にしてみてください。
エアコン除湿の種類 |
仕組み |
メリット |
デメリット |
弱冷房除湿 |
エアコンに取り込んだ空気の温度を下げ水分を取り除き、乾いた空気を排出 |
l 電気代が安い l 室温も下げる |
l 室温も下げるから、肌寒い日には使いづらい |
再燃除湿 |
エアコンに取り込んだ空気の温度を下げ水分を取り除いた後に、エアコン内で空気を温め直して排出 |
l 湿度だけを下げられる l 肌寒い日に便利 |
l 空気を暖め直すから電気代が高い l 室温は下がらない |
ハイブリッド除湿 |
エアコンに取り込んだ空気の温度を下げ水分を取り除いた後に、室内の空気と混ぜて排出 |
l 室温が下りづらい l 空気を温め直さないから電気代が安い l 年中使いやすい |
l 室温は下がらない |
次に、再燃除湿の電気代が高い理由について他の除湿方式と比べながら掘り下げていきます。
●電気代が高いのはエアコンの再燃除湿・安いのはエアコンの弱冷房除湿
先に述べている通り、エアコンの再燃除湿がもっとも電気代が高いです。東京電力が行った、エアコンの「除湿」モードの使用状況の調査にも、1時間ごとのコストが以下のグラフで掲載されています。
(引用元:東京電力 エアコンの「除湿」モードの使用状況(調査結果))
理由は単純で、冷やした空気を暖め直すからです。冷房や弱冷房除湿は、冷やした空気をそのまま排出するので「空気を冷やす」以外の電気代はかかりません。
一方、再燃除湿は空気を暖め直すので、余分に電気を使うというわけです。
ハイブリッド除湿にしても、室内の空気と混ぜるだけで、暖め直すほどの電気代はかかりません。
エアコンの電気代がかかる順番は、
1:再燃除湿
2:冷房
3:弱冷房除湿&ハイブリッド除湿
と覚えておきましょう。
また、エアコンの説明書やカタログを確認して、除湿方式も確認しておくと良いですよ。
3.エアコンの1時間・1ヶ月あたりの電気代【冷房・除湿別】
エアコンの1時間・1ヶ月あたりの電気代は、下記の冷房・除湿の種類ごとで異なります。
- ・【冷房編】
- ・【再熱除湿編】
- ・【弱冷房除湿編】
ここではエアコンの冷房と除湿ごとの電気代を1時間・1ヶ月あたりで計算しているので、参考にすれば電気代の節約にも繋がるでしょう。
●【エアコン冷房編】1時間あたり18.6円・1ヶ月あたり5,580円
エアコン冷房の電気代の目安は1時間あたり18.6円・1ヶ月あたり5,580円で、計算方法は以下の通りです。
1時間当たりの電気代=0.6kW(※2)×31円/kWh(※3)=18.6円
※1:エアコンの消費電力を600Wで想定
※2:0.6kW=エアコンの消費電力単位「600W」を1,000で割って「kW」に変換
※3:1kWhあたりの電気料金の単価31円(2024年7月時点)
次に1ヶ月あたりの電気代の計算方法です。
1ヶ月あたりの電気代=18.6円(※1)×10時間(※2)×30日=5,580円
※1:1時間あたりの電気代
※2:エアコンの1日の使用時間を10時間で想定
ただし、上記の計算方法はエアコン1台に対しての電気代です。複数使用する場合は、電気代が異なるため注意しましょう。 ※参考元
●【エアコンの再熱除湿編】1時間あたり14.9円・1ヶ月あたり10,728円
エアコン再熱除湿の電気代の目安は、1時間あたり14.9円(※1)で、1ヶ月あたり10,728円になります。計算方法は以下の通りです。(設定温度24℃・使用時間を24時間で想定)
24時間×30日×14.9円(1時間あたりの電気代)=10,728円
※1:1kWhあたりの電気料金の単価31円
※2:エアコンの再熱除湿の消費電力を480Wで想定
エアコンの再熱除湿は室内の温度を下げずに除湿する機能で、弱冷房除湿と比較して除湿量が大きいのが特徴です。ただし冷やした空気を暖めなおす際、多くの電力を消費し電気代が高くなるので注意しましょう。 ※参考元
●【弱冷房除湿編】 1時間あたり4.1円・1ヶ月あたり2,952円
エアコンの弱冷房除湿の電気代の目安は、1時間あたり4.1円(※1)で、1ヶ月あたり2,952円になります。計算方法は以下の通りです。(設定温度24℃・使用時間を24時間で想定)
24時間×30日×4.1円(1時間あたりの電気代)=2,952円
※1:1kWhあたりの電気料金の単価31円
※2:エアコンの弱冷房除湿の消費電力を133Wで想定
弱冷房除湿は、除湿と部屋の温度を下げる機能です。再熱除湿よりも1時間あたりの電気代が安く、梅雨時期の気温が高い日に適しています。 ※参考元
関連記事:エアコンと扇風機の電気代はいくら違う?電気代の比較や節電方法を解説
4.エアコンの冷房と除湿の使いわけポイント
夏や梅雨は、冷房と除湿を上手く使い分けると快適に過ごせます。
例えば、外気温が30℃を超えるような日に節電したいからと弱冷房除湿を使っても、室温が下がりにくいばかりか暑さで体調を崩してしまうかもしれません。節電ばかり考えていて、入院してしまったら電気代よりも出費がかさんでしまいます。
基本的に、
・冷房:真夏など気温が高いとき
・除湿:梅雨や雨で湿度が高いとき
という使いわけで大丈夫です。冷房と除湿の使い分けについて、詳しく解説していきます。
①室温26~28℃・湿度50%を目指して調整する
冷房とエアコンの使い分け方の前に、快適に過ごせる室温と湿度を知っておきましょう。人には快適に感じる室温と湿度があります。
具体的には、室温26℃〜28℃・湿度50%が心地よい環境です。環境省が推進するクールビズでも、室温は28℃が目安としています。
注意したいのが「室温28℃」であって「エアコン設定温度28℃」ではないという点です。エアコンを28℃の設定にしても室温が28℃になるわけではありません。室温の高さに応じて、エアコンの設定温度を下げるなどの対応をしましょう。
また、湿度は60%以上で汗が乾きにくくなるため、湿度50%を目指してエアコンを設定してください。目指すべき条件がわかったところで、冷房と除湿の使い分けを紹介します。
②室温を下げたいときは冷房
真夏の30℃を超える日など、とにかく室温を下げたいときには、冷房を使いましょう。
弱冷房除湿は、冷房ほど室温を下げる効果はありません。また東京電力の調査を見ると、実は冷房がもっとも除湿能力が高いことがわかります。
引用元:東京電力 エアコンの「除湿」モードの使用状況(調査結果)
湿度を下げたいからと言って、室温が高いのに除湿だけで過ごす必要はないと分かります。暑い日は、冷房を使って室温も湿度も下げて快適にお過ごしください。
③涼しく湿度を下げたいときは弱冷房除湿
涼しく湿度を下げたいときには、弱冷房除湿を使いましょう。
弱冷房除湿は、吸い込んだ空気を冷やして排出する除湿です。冷やした空気を部屋に流してくれるので、湿度と合わせて室温も下がります。電気代も冷房と比べて安いので、少し室温を下げたいときも弱冷房除湿が良いでしょう。
室温はそこまで高くないけど、湿度が高くて不快な日などは弱冷房除湿がおすすめです。
➃室温は下げたくないけど湿度を下げたいときは再燃除湿
再燃除湿は、除湿して温度の下がった空気を暖め直して排出するため、湿度だけを下げたいときに便利です。
「湿度だけを下げたいときってあるの?」と思う方もいますよね。
例えば、梅雨で雨が続き少し肌寒い時ってありませんか?
そんな日は湿度が高いため洗濯物が乾きにくいのに、冷房や弱冷房除湿だと涼しくなりすぎてしまいます。再燃除湿なら、室温は下げずに湿度だけを下げてくれるため、肌寒い日でも快適に除湿を使えます。
電気代は冷房に比べても高くなりますが、弱冷房除湿で寒い思いをして体調を崩してもいけません。肌寒い日の除湿は、再燃除湿を活用しましょう。
5.エアコンの電気代を安くする6つのアイデア
エアコンで除湿や冷房を使うときに、できるだけ電気代を安くおさえたいですよね。そこで、エアコンを使うときに電気代節約につながるアイデアを、以下6つ紹介します。
・温度設定を調整する
・サーキュレーターを使う
・フィルターをこまめに掃除する
・カーテンは閉めておく
・室外機も掃除する
・風量を自動運転に設定する
快適かつ節約につながるアイデアを紹介するので、チェックしていってください。
①温度設定で電気代を抑える
エアコンの温度設定を1℃上げるだけで、13%も消費電力を削減できます。
環境省が発表している「家庭でできる節電アクション」にも下記のように記載がありました。
“夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%(約70W)の消費電力の削減になり、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%の消費電力の削減になります。”
普段は26℃で温度設定しているなら27℃にしてみるなど、ボタン一つで節電につながるお手軽な対策ですね。ただし、暑いのに設定温度をあげて我慢するのは厳禁です。暑い真夏の室内は、熱中症のリスクがあります。
総務省消防庁の「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況 」では、熱中症による救急搬送が39.9%と最も多い割合を占めています。エアコンの設定温度を状況に応じて調整し熱中症対策をしましょう。
引用元:総務省消防庁報道資料 令和4年8月の熱中症による救急搬送状況
②サーキュレーターを使って空気を循環させる
エアコンから出た冷たい空気をサーキュレーターで循環させるのも、節電につながります。冷たい空気は下に溜まる、つまり床に溜まる性質があり、エアコンだけでは効率よく部屋を冷やせていない可能性があるんです。
思ったように室内が冷えないため、結果としてエアコンの設定温度を上げる原因になることも…
サーキュレーターを使って床に溜まった冷たい空気を室内に循環してあげれば、部屋を効率よく冷やせます。サーキュレーターの向きとしては、床に溜まった空気を動かしたいので、上向きにすると良いでしょう。
「エアコンつけたけど、なんだか部屋が冷えにくいな」と思ったら、設定温度を下げる前にサーキュレーターを使うアイデアも試してみてください。
関連記事:エアコンの停電で健康被害に!季節別の対策や復旧時にやるべきことを解説
③フィルターをこまめに掃除する
エアコンのフィルターはこまめに掃除をしましょう。エアコンフィルターは空気の通り道にあります。フィルターが目詰まりを起こすと、空気をうまく吸い込めずエアコンの運転効率が下がってしまいます。エアコンは、低い運転効率でもがんばって部屋を冷やそうとするので、余分に電力を使ってしまうわけです。
環境省によると、フィルターをこまめに掃除すると冷房時で約4%の消費電力削減につながるそうです。
フィルター掃除は2週間に1回か、説明書に記載してある頻度を目安に、以下の手順でキレイにしてあげましょう。
1. 掃除機でホコリを吸う
2. 水洗いができれば、シャワーと歯ブラシでキレイにする
3. 陰干しで乾燥させる
かんたんなことですので、エアコンを毎日使う時期は、フィルター掃除に取り組みましょう。
➃カーテンは閉めておく
カーテンを閉めておくと、室温が上がりにくくなり節電につながります。
夏の家に入ってくる熱の71%は、窓から入ってくると言われています。入ってくるということは、冷房の冷気が出ていくのも窓からということです。
夏にカーテンを閉めておくと、
l 太陽光による室温の上昇を防ぐ
l 冷房の冷気が外に逃げるのを防ぐ
などの効果が期待できます。
エアコンで効率よく部屋を冷やすなら、カーテンは閉めておくと良いでしょう。
⑤室外機も掃除する
室外機の掃除もしないと、エアコンの運転効率が悪くなり、電気代が高くなります。
エアコンの冷房では、室内機から吸い込んだ空気を、室外機で冷やし、室内機に送り返して冷たい空気を届けてくれています。
室外機をキレイにしていないと、熱の温度調整で余分な電力を使ってしまうというわけです。
室外機の掃除方法としては、
1. 室外機全面の吹き出しグリルをほうきで掃除
2. 室外機背面の熱交換器(フィン)をブラシやほうきで優しく掃除
になります。
注意点として、室外機を動かしてまでフィンを掃除しないでください。無理に動かすと、室外機と室内機がつながっている配管を壊してしまう恐れがあります。無理のない範囲で、室外機の掃除を行いましょう。
⑥風量を自動運転に設定する
電気代を安くするアイデアとして、風量を自動運転に設定することをおすすめします。実はエアコンの電気消費率が高くなるタイミングは、室内が設定温度になるまでの時間です。
風量を自動運転にしておけば、設定温度になるまで強風で調整し、それ以降は微風で効率よく消費電力を抑えるため、電気代を抑えられます。
6.電気代の節約は太陽光発電機「Jackery Solar Generator」の活用もおすすめ
電気代を節約するなら、何もエアコンの節電だけで考える必要はありません。ソーラーパネルを使えば、太陽光で発電した電気を生活家電に使えば、その分電気代はかかりません。「でもソーラーパネルって、屋根への取り付け工事が大変でお金がかかりそう」と思う方も多いはず。確かに、屋根に取り付けるソーラーパネルは、工事費用+ソーラーパネルで費用は高額になります。そこでおすすめしたいのが、一般家庭でも安く導入できる、設置工事不要で持ち運びもできる太陽光発電機「Jackery Solar Generator」です。
Jackery Solar Generatorは、ポータブル蓄電池と置き型ソーラーパネルがセットになったソーラー発電機で、以下のような特長があります。
・屋根に取り付けない折り畳みソーラーパネルだから手軽に導入できる
・発電した電力をポータブル蓄電池に貯めてどこへも持ち運べる
・災害時に停電になっても、電気が使える
・コンパクトで持ち運べるので、キャンプや車中泊などアウトドアでも活躍
Jackery Solar Generatorのソーラーパネルは、ポータブル型だから屋根への設置工事が必要ありません。ベランダや庭に広げて出すだけで、太陽光発電が可能です。使わない時も540×615×40(mm)のコンパクトサイズになるので、収納しやすいのもおすすめポイント。
発電と充電をまかなえるセットでだから、キャンプや防災用品から節電にいたるまで使い方の幅が広く、汎用性の高い商品となっています。
●Jackery Solar Generatorで電気代を節約する2つの方法
①ソーラーパネルでの太陽光発電を活用する
Jackery Solar Generatorなら太陽光発電した電力をポータブル電源に充電して使えるので、家庭の電力を使うことなく家電製品を動かせます。例えば、Jackeryポータブル電源2000PLusで動かせる家電といえば、以下のようなものがあります(下記に限りません)。
・スマホの充電
・サーキュレーター
・ポータブル冷風機
・ドライヤー
・ノートパソコン
・テレビ
・プロジェクター
ポータブル冷風機やサーキュレーターを活用すれば、家電それぞれの電気代だけじゃなく、エアコンの温度設定を1℃でもあげて節電ができますね。
②雨の日でもポータブル電源の活用だけで節電できる
Jackery Solar Generatorは、晴れていなくても節電ができるんです。「太陽光発電なんてできないじゃないか」と思いましたよね。
確かに雨の日は、太陽光発電はできません。しかし、ポータブル電源を夜間の安い電力で充電して、昼は充電されたポータブル電源で暮らせば節電になります。
例えば、東京電力の夜トクプラン「夜トク8(エイト)」の電気量料金は、
・ 午前7時〜午後11時:1kwhあたり32.71円
・午後11〜翌午前7時:1kwhあたり21.75円
と、夜間の方が1kwhあたり約10円もお得です。
基本的に夜は寝るだけという方は、ポータブル電源を充電しておけば朝から夕方にかけて、節電しながら過ごせます。
まとめ
エアコン除湿の電気代は、
・再燃除湿なら冷房よりも電気代が高く
・ 弱冷房除湿なら冷房よりも安い
となります。
再燃除湿は電気代が高くなるデメリットがありますが、室温を下げないメリットもあり。使い分けが大切です。電気代が気になる夏は、上手にエアコンを使ってお得に過ごしましょう。
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