冬キャンプを快適に過ごすポイントを専門家に聞く
澄んだ空気だからこそ見える、星空の美しさ。凛として静かに流れる時間の中で見つめる、焚き火の温かさと炎の美しさ。これらは冬キャンプだからこそ味わえる醍醐味です。これまで400組以上のキャンパーのデビューをサポートしてきた「キャンプ民泊NONIWA」のオーナー・青木達也さんと江梨子さん夫妻に冬キャンプを快適に過ごすポイントと気をつけたい点を伺いました。
冬キャンプを始めよう
テントについて
冬場のテントは、TC素材と呼ばれる火の粉に強いポリコットンでできたものがおすすめ。冬は風が強いことが多く、焚き火の火の粉が飛びやすいため、万が一の際にも燃え広がりや穴が開きづらい、ポリコットンを選ぶと良いでしょう。生地が分厚く防風効果が高いので、テントの中が温かくなりやすいことも魅力です。
青木さん夫妻オススメのテントは地面部分のフロアシートがない、土間タイプ。フロアシートがあるタイプは、夜露を朝乾かしても乾かず、濡れたままになってしまう、またストーブなどが持ち込みやすく、換気をしやすいこともメリットなのだそう。
テントに付いている「スカート」は隙間風を防いでくれる効果がありますが、有無は好みに応じて考えましょう。
「自己責任になりますが、テント内にストーブを持ち込む場合、最も怖いのが一酸化炭素中毒の危険性です。それを考えると我が家は換気しやすいスカートなしを選んでいます(換気は下部と上部のベンチレーション(換気口)
暖房について
テント内は火気厳禁のため、テント内での焚火や、
もしもテント内でストーブを使う場合には、30分に一度は換気を行いましょう。テント上部には一酸化炭素チェッカーを取り付けて状況を確認できるようにすることが大切です。
また、就寝時のストーブの使用は絶対にNG! 温かいので、ついそのまま付けておきたいという気持ちはわかりま
一酸化炭素は、無色透明でニオイも無いため、気づかないうちに濃度が高くなる可能性があります。一酸化炭素チェッカーを使用しているから、と過信せずに、定期的に換気を行う。もしも頭痛やめまい、吐き気などを感じた場合は、すぐにテントを開け、外に出て空気を吸うようにしましょう。
冬キャンプの醍醐味を楽しむためには、火を扱うアイテムの取り扱いには十分に注意し、正しい方法で行うことが重要です。特に灯油ストーブをテント内で使ったことによる、悲しい事故は毎年起きているので、必ず自己責任で換気をしながら行ってください。
冬キャンプの装備とは
服装について
江梨子さんに自身の冬キャンプ時の服装を聞きました。特に冷えやすい方は参考にしてみてください。
インナーには超極暖のヒートテックの上下を装着。
使いやすいアイテムの定番は使い捨てカイロです。靴の中に入れるタイプは用意したいもの。そのうえで腰やお腹、足や肩甲骨のあたりにカイロを貼ると冷えから体を守ってくれます。ネックウォーマーの間に使い捨てカイロを挟むのもオススメです。
焚き火を眺めたりとじっとしていることも多いキャンプ。首、手首、足首の“三首”部分や冷えやすい耳はニットキャップなどで特にしっかり守ってあげることが重要です。
装備について
冬キャンプ初心者は、ポータブル電源を用意する、あるいは電源サイトを選んだほうが安心です。というのも、電気毛布や電気アンカがあると温かさが格段に違うから。
「ホットカーペットもありますが消費電力が高いので、消費電力が少なくて確実に温まる電気毛布はキャンプにとても向いていると思います」(江梨子さん)
ポータブル電源は初期投資はかかりますが、モデルによっては電気毛布やホットヒーター、こたつやホットカーペットも使えるため、冬キャンプには必須のアイテムといえます。
関連リンク:【冬キャンプ】電気毛布におすすめのポータブル電源とは?|2枚使える容量や一晩に必要な容量を紹介!
また、モバイルバッテリーなどにUSBでつないで暖かくなるUSBヒーターベストやUSBヒーター毛布、電熱マット類なども手軽に使えてオススメです。
火を扱う時の注意点
ガスについて
ガスバーナー用のガスは、寒冷地仕様の「パワーガス」(写真右側)が冬キャンプの心強い味方です。ただし価格は、普通のガスの1.5倍程度。冬場のキャンプでありがちな、外気温の低さゆえ、ガスの缶も冷えてしまい、お湯が沸かないなんて事態は避けられるでしょう。
焚き火が終わって眠る前までや朝起きて火が付くまでが最も寒くなる時間帯です。寒い冬は普通のバーナーやライターなどは気化しづらく、火がつきにくい場合があります。水に強いマッチなどを用意しておくと意外と重宝することも。
なお、ガスボンベやスプレー缶を火やストーブの近くに置いてしまい、破裂したり引火するというような事故も起きています。
「見慣れているものなのでうっかりしがちですが、気をつけてください」(達也さん)
寝袋周り・就寝時の注意点とは
冬キャンプのススメ
これまで見てきた冬キャンプですが、さらなる魅力は、虫がいない、設営などのときに汗をかかない、人が少ないので静かなど。さらにはクリスマスや年越しのお祝いなど、特別感のあるイベントをキャンプで過ごすのも一興です。
暖かい季節とは装備も準備も異なりますが、この時期しか味わえない心も体も温かくなる体験が待っています。しっかりと防寒対策をして、楽しみながら臨んでくださいね。
取材協力:キャンプ民泊NONIWA
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